昨年、書棚に詰め込まれていた古い書籍、辞書等を大胆に整理処分したことが有ったが、その際に、多分、長男か次男かが学生時代に使っていたものに違いない、文英堂の「小倉百人一首」(解説本・参考書)が目に止まった。パラパラと ページを捲ってみたところ、なかなか詳しく、分かりやすく、子供の頃、正月になると、必ず家族でやっていた「百人一首かるた取り」を思い出して懐かしくなり、「今更、向学心?」なーんてものではなく、ブログネタに?、頭の体操に?等と思い込んでしまい、処分せず、以後座右の書にしてしまっている。「小倉百人一首」は、奈良時代から鎌倉時代初期までの百人の歌人の歌を、藤原定家の美意識により選び抜かれた秀歌であるが、時代が変わっても、日本人の心情が呼び起こされるような気がする。
今年も残すところ1ケ月、師走に入り、初冬から本格的な冬を迎える。「小倉百人一首」で、季節を詠んだ歌の中では 「冬」を詠んだ歌は非常に少なく、一般的には、6首のみとされているようだ。「雪」や「霜」、「白」等という文字が含まれている歌が多く、「冬」の印象的な風景が詠まれているという。今回、「冬」を詠んだ歌を取り上げてみることにした。
(ネットから拝借無料画像)
百人一首で 「冬」を詠んだ歌 その1
心あてに 折らばや折らむ 初霜の
おきまどはせる 白菊の花
出典
古今集(巻五)
歌番号
29
作者
凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)
歌意
もし手折るというのならば あてずっぽうに折ってみようか。
初霜が一面に降りて、
(白菊なのか霜なのか)
見分けがつかないように、人目をまどわせている白菊の花を。
注釈
古今集の枕詞に「白菊の花を詠める」と有り、
秋も終わり頃(初冬)の早朝、
白菊の咲く庭に初霜が降りた情景を詠んだ歌。
二句切れ、体言止め、倒置法により
余情、余韻を表出している。
凡河内躬恒
宇多天皇、醍醐天皇の時代の代表的な歌人、
三十六歌仙の一人、
「古今集」の選者の一人、
振り返り記事「百人一首」
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2017年12月31日「正月と百人一首」