たけじいの気まぐれブログ

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内館牧子著 「今度生まれたら」

2023年06月02日 18時59分36秒 | 読書記

図書館から借りていた、内館牧子著「今度生まれたら」(講談社)を、読み終えた。好みの作家や好みのジャンルも異なるため、日頃、夫婦夫々、別々に図書館から借りているが、時々、返却期日までに余裕が有る場合等、お互いに回し読みをしており、先日、たまたま、妻が借りていた「今度生まれら」に手を伸ばしたのだった。これまで、ほとんど時代小説しか読んでいない爺さんで、内館牧子作品、これが初めて。老境を迎えた女性の、あるいは夫婦の揺れ動く本音、本性を描いている作品だが、佐藤愛子風とも思える、歯に衣着せぬ作風の、内館牧子著の痛快な文体に引き込まれてしまい、一気に読んでしまった。どうも、内館牧子著の「高齢者小説」ベストセラー、「終わった人」、「すぐ死ぬんだから」、「老害の人」に次ぐ作品だということも分かった。

▢目次
 第一章 ~ 第九章

▢主な登場人物
 佐川夏江(主人公、70歳、旧姓=今井)、和幸(夏江の夫、72歳)
 佐川剛(夏江と和幸の長男、46歳)、理沙(剛の妻、旧姓=友永)、梢(剛と理沙の娘)
 佐川建(夏江と和幸の次男、40歳)
 島田信子(夏江の姉、71歳)、芳彦(信子の夫、73歳)
 ミキ(信子と芳彦の娘、45歳)、シン(ミキの夫)、マナ(ミキとシンの娘、大学生、21歳)
 今井正平(信子、夏江の父親)、ハル子(信子、夏江の母親)
 山賀敏男(「北斗園芸」社長、68歳、旧姓=小野)、佐保子(「北斗園芸」の副社長、樹木医、70歳)
 高梨公子(有名な弁護士、70歳)
 春野トモ子(「トモ子のトーク・トゥナイト」という人気トーク番組を持っている)
 バンビ(島田芳彦と高校で同学年で美少女だった、73歳)
 川田勇一(元「平新電気」の乗務で、佐川和彦の上司で、和彦夏江の仲人だった)
▢あらすじ
70歳になったばかりの佐川夏江が、無防備に眠りこけている夫の寝顔を見て、「今度生まれたら、この人とは結婚しない」とつぶやくところから、この物語は始まっている。
佐川和幸は、エリートサラリーマンだったが、ある時不祥事を起こし、予想外の早期退職、シンガポール法人の設立を成し遂げ、現地社長になるはずだったのが水の泡になり、思い描いていた人生を歩めていないことも有る。
夫和幸と仲が悪いわけではなく、二人の子供にも恵まれ、フルコースの人生を味わえたことに満腹感を得ているものの、満足感が無いのだった。
夫は、退職後ケチになり、「蟻んこクラブ」というお金のかからない歩く会で、余生を楽しく過ごしており、二人の息子、は、独立して別の道を歩んでおり、自由に過ごせる時間が増えたが、これまでの自分の人生を振り返り、進学、仕事、結婚等、節目でしてきたこと、「本当にこれで良かったのだろうか?」「あの時、二本の道が有り、あっちを選んでいたらどうなっていたんだろうか?」等と悩むようになっている。
やり直しのきかない年齢になっているが、それでも、夏江は、本当にやりたいことを始めようとあがき始める。
そんなとき、有名な弁護士で、テレビの報道番組にも出ている高梨公子の講演会に、姉信子と共に、期待を膨らませて参加したが、高梨の「人生100年時代と思えば、まだ30年近くあるので、今日から具体的に考えて動いてください」「人生はいくつになってもやり直せます」等という、ありきたりな具体性のない励ましに、「つまんねー女だな」と思って腹が立ち、手を挙げて「期待していた話とは違って残念です」と意見を言う。それに対して、高梨から、「佐川さんは、自分にはこの先何もない、今と同じ暮らしが延々と続くのだと自分で決め込んでいるんです」と返された夏江、彼女の言葉をきっかけに新たな道に進めるかもしれないと考え始めるのだった。
彼女が過ごした青春時代は、「女の幸せを得る=男から幸せをもらう」のが常識だった。
夏江は、国立千葉大園芸学部に進学できるほど頭がよかったのに、敢えて短大を卒業し、一流企業に入り、お茶くみをしながら良い男を見つけ、寿退社をする人生を選んでいたのだ。
夏江は、就職した平新電気で、慕ってきた小野敏男を振り、佐川和幸と結婚し、バリバリの「勝ち組」だったはずだが、小野敏男は、今や有名な造園業社の社長となり活躍中、夏江よりもバカな高校を卒業した高梨公子は、今や有名弁護士になり、テレビの報道番組にも出演するほど活躍している。二人の息子たちも、思い通りにはいってなく、長男剛は妻が冷たく、家に居場所がないと言うし、次男建は仕事を辞めて、将来がなさそうな有名なギター製作家に弟子入りしスペインに渡ると言い出す。
夏江には、猫をかぶって、「つまんねー女」のふりをして過ごしてきた結果、自分の思い描いていた人生を歩めず、何ももっていない「70歳のバアサン」になってしまったという悔いが有るのだった。
そんな夏江の姿を通して、時代の価値観はすぐに変わるので、時代の風潮に自分を合わせすぎると後悔することになるということ、今、「勝ち組」だと誇っていても、いつ転落するかわからないこと、人生は思い通りには進まないこと、改めて自分らしく生きるためには新たな一歩踏み出す決断が必要なこと等々を描いているように思う。
信子の夫芳彦の友達のボクサーの言葉として、「相手のパンチを受けないように避けてばかりいると、間違いなく相手のパンチは当たらないから、ダメージは無い。だけど、前に出ないことだから、自分のパンチも相手に当たらない。だから勝てない」・・が、数回、使われている。楽しいことや変化やドキドキがやってこないのなら、痛い目を見ることになっても、自分から動くしかないのだという意味である。
「人生はいくつになってもやり直せる」等という常套句に腹を立てていた夏江ではあったが・・・・、迷いに迷った挙げ句、新たな一歩を踏み出そうとする。何事にも否定から入る夫和幸、ケチに徹する夫和幸は、果たして・・・・?、
「忖度してそう答えたが、今度生まれたらこの人とは結婚しない。やっぱり。」
で、完結している。

内館牧子著、「終わった人」、「すぐ死ぬんだから」、「老害の人」も、読んでみたい気分になっている。
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「悲しき雨音(Rhythm of The Rain)」(再)

2023年06月02日 09時32分04秒 | 懐かしいあの曲

天気予報通り、今日は、1日中、雨になりそうだ。
朝から、かなりまとまった雨が降り続いており、各地に、大雨に対する注意報も出ている。
雨の日は、雨の日で、デメリットも有るが、メリットもあるのではないかと思っている爺さん。
休養?、雨読?、音楽鑑賞?、・・・・、


気象庁からの「梅雨入り」の発表は、まだされていない当地だが、すっかり、梅雨の様相?
毎年、梅雨の時期になると、なんとなく脳裏に浮かんでくる曲の一つに、「悲しき雨音」が有る。「ブログ内検索」してみたら、5年前、2018年6月にも書き込んでいたことが分かったが、懐かしくなり、コピペ、リメイクすることにした。

今更になってネットで調べてみると
「悲しき雨音(Rhythm of The Rain)」は、1962年(昭和37年)にリリースされた、ザ・カスケイズ(The Cascades)」の代表曲だった。作詞、作曲は、ザ・カスケーズのメンバーの一人、ジョン・クラウド・ガモーで、恋人と離別した男が、雨に濡れながら、「どこで道を誤ったのか、別れた今でも、彼女が愛おしくて仕方がない。雨よ、もう降らないでおくれ」と、切々と歌う内容のバラード。当時は、アメリカンポップス大流行の時代、日本でも、ラジオ等から、盛んに流れていたような気がする。

ザ・カスケーズの「悲しき雨音」 (YouTubeから共有)

ザ・ピーナッツの「悲しき雨音」 (YouTubeから共有)

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ダンスパーティー、咲き始めたヨー!、

2023年06月02日 06時50分35秒 | 暮らしの記録

「ダンスパーティー、咲き始めたヨー!、」
昨日、畑から帰ってからのこと、猫額庭の一角に植わっているアジサイの一種、「ダンスパーティー」が、咲き始めているのに気が付いた。やはり、例年より、かなり早い開花のような気がする。


爺さんの備忘録的花図鑑「ダンスパーティー」
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