草枕

都立中高一貫校・都立高校トップ校 受験指導塾「竹の会」塾長のブログ
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政治家の偽善の例

2011年05月05日 21時03分46秒 | 
 こんばんは。本日朝日の4面で元参院議員・現東電顧問の加納時男が偽善を放言していましたので, 偽善の例として紹介することとしました。同じ紙面で自民党の河野太郎氏が脱原発の立場から原発推進派を批判しています。朝日の記事は「自民 原発推進派はやくも始動」という見出しで始まります。朝日は「国策として原発を推進してきた自民党」の原発推進派が「原発を守るために」行動を起こしたと説明しています。甘利明, 細田博之,西村康稔そして東電顧問の加納時男が幹部として名を連ねています。朝日によると自民党は中曽根康弘らを中心に「国策・原子力」の旗を振ってきた。1955年, 原子力基本法を制定し, 74年には電源三法を制定して立地自治体に手厚く補助金を出してきた。電力業界は資金と選挙で自民党を支援。80年代前半から11年間で65億円が党機関誌代の広告費として支払われたとされる。
 さて, それでは加納時男の偽善放言を要約してみます。
 福島の現状をどう感じているかという質問には, 「原子力を選択したことは間違っていなかった」といい, その根拠として「地元の強い要望で原発ができた」とし, 原発で「地域の雇用や所得が上がった」と言う。まず地元の強い要望というのは全くのウソです。原発誘致の地元では賛成派と反対派の激しい対立は訴訟にまで持ち込まれています。電力会社の手段を選ばない地元民の工作も激しいものでした。そしてそれよりも何よりも加納は自分が責められのが「つらい」とはいっても, 今なお事故に収束のメドがたたないほどの大事故を起こし, 福島県そして近県に放射能汚染をまき散らしていることについての反省がなにひとつないのです。一時は東日本は壊滅する, いや日本は終わりだとまで言われた事故でした。しかし,この男にはそのような危機意識というものがまるでありません。「新増設なしでエネルギーの安定的確保ができるのか」「二酸化炭素排出規制の対策ができるのか」「天然ガスや石油を海外から購入する際も, 原発があることで有利に交渉できる」「福島第一原発第5, 6号機も」まだ使えると放言しています。挙げ句には, 「低線量放射線は体にいい」とまで言い, 友人が「放射線治療で病気が治った」と実例をあげたつもりです。
 ガン治療に放射線が有効なのは知っています。その場合にも健康な細胞を死滅させるので細心の注意が必要とされています。つまり危険な副作用があるということです。有利に交渉できるから原発がいいなどというのは本末転倒の議論です。エネルギーの安定的供給の話は, 本当に電力が足りないのか, 原発でなければならないのかという点についての科学的データに基づく検証・根拠は何も示されていないスローガンレベルです。温暖化仮説はようやく最近になって原発推進論者の作り出した似非仮説の疑いを示す科学的データが出始めています。
 なによりも人間が住む土地そのものが一瞬にして消えてなくなるということについての何の認識もないようです。世界でも有数の地震国日本に54基もの原発が稼働しているということの異常さについて何も感じないというのはやはり推進派というのは人間の本来持つと言われる生存本能さえも鈍麻・退化してしまっているのではないか。放射線がそんなに健康がーにいいのなら福島の原発近くに移り住んでもらいたいものだ。
 河野太郎氏の主張の要点。
 ・使用済み核燃料など高レベル放射性廃棄物を捨てる場所が日本にはないのに原発を増やそうとしていることが最大の疑問点だ。
 ・土木学会原子力土木委員会津波評価部会のメンバーの多くは電力会社で占められていた。お手盛りで津波対策をつくりながら今さら「想定外でした」というのは通らない。
 ・自民党は電力会社からカネをもらい, 立地自治体に補助金を出しやすい制度を整えてきた。経産省は電力会社にカネを出させて公益法人を作り天下っている。
 ・東芝や日立などのメーカーに加え建設業界などの産業界も原発建設を後押しした。
 ・電力会社は大学に研究費を出し,都合の良いことしか言わない御用学者を作り出した。
 ・多額の広告代をもらうマスコミは批判が緩み巨悪と添い寝してきた。
 ・自民党がやるべきことは謝罪だ。利権で原子力行政をゆがめたのだから。
 ・与謝野馨の発言は明らかに東電を守ろうとしている。
 ・世論が原発に賛成なのは国民に正しい情報が伝わらない。
 ・海外では再生可能エネルギーが伸びているが日本では加納が原子力の邪魔とつぶしてきた。
 ・東電の賠償金はいずれ電力料金に上乗せされる。つまり国民が払わされる。

 加納は河野太郎氏に「原発反対派社民に行け。福島瑞穂はおれの後輩だから紹介してやる」などと暴言を吐いている。この先輩・後輩意識というのが, 日本の東大出身官僚が好んで使う言葉であるということを「官愚の国」の中で高橋洋一が指摘している。自分たちが特別の人間だと思って疑わない官僚の発想である。いずれにしても福島瑞穂氏と加納では人間の格が違いすぎる。
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