023)太陽照在玉米地上

 NO.23  太陽照在玉米地上
 題名をみてニヤッとした人がいるはず。丁玲の小説「太陽は桑乾河を照らす」をもじりました。玉米地はトウモロコシ畑です。
 桑干河に流れがなくなって数年はたちます。それでも数日前、応県でこの河を渡るとき驚きました。河川敷の全面がトウモロコシとヒマワリの畑に変わっているんですね。
 橋の下手には小さな水たまりがありますけど、川上側は水の流れるところが残っていません。本来の川幅は数百メートルあるんですよ。同行の人たちは「言われなかったら、川とは思わないで通りすぎました」。
 地表に水はないけど、水分は多いんでしょう。トウモロコシの育ちはふつうの畑よりずっといいんです。4月にここを通ったとき、農民が耕しはじめていました。でも、全面を畑にするとは……。水が流れてくることを、彼らは少しも期待して(恐れて)いないんでしょう。そのとおり、水はこなかった。
 流れのある桑干河を私が最後にみたのは97年夏です。この一帯、ことしは雨が多いんですけど、それでもこのありさま。
 桑干河は北京の重要な水源なんですね。だけど北京人の多くはそれを知らない。私はいらだって、「日本からみる北京は大発展中国のシンボルだけど、大同からみる後ろ姿の北京は砂上の楼閣」などと過激なことをいいます。私ひとりの勝手な思い込みならいいんですけど……。
 【写真】遠くにみえる橋がなければ、ここが河だとは誰も思わないだろう。
  (2003年9月25日号)
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