997話)トウモロコシ(玉米)

1992年9月、最初に一人で渾源県の農村にたどりついたときがちょうどトウモロコシの収穫期で、農家の作業を手伝ったりしました。

そのとき、「トウモロコシやコーリャンのように背の高い作物は、水と土の条件のいい、いちばんいい畑に作る」と聞きました。その意味がよくわからなかったんですね。

しばらくしてわかりました。私は以前、黄土高原のお皿の構造、などと呼んでいたのですが、高いところから農村のようすをみると、低いところの畑の緑が濃くて、高く上がるほど緑が薄くなる、みごとなグラデーションがあります。低いところほど水土の条件がよく、ここに背の高い作物を作るので、緑が濃いのです。

中国のトウモロコシは背丈が高いのです。条件がよければ3mほどにも育ち、日本のものの2倍はゆうにあります。日本ではトウモロコシの茎や葉はじゃまでしかなく、実さえできればその他のものは小さい方がいいわけです。

中国では茎や葉は、家畜の大事な飼料ですし、燃料にもなります。堆肥にして畑にすきこむにしても、大きい方が有利なのですね。作物が目的に従って改良されていることがよくわかります。

ところで写真のトウモロコシ、植わっているのは桑干河の河川敷です。全面がトウモロコシ畑になっていて、水の流れる余地はほとんどありません。
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