137)御河

 大同市街の東のはずれを北から南へ流れるのが御河(ぎょが)。北京の重要な水源=桑干河(そうかんが)の最大の支流でもあります。歴史上は氾濫を繰り返す暴れ河でしたが、近年はほとんど水がなく、河川敷が畑になったりしていました。数年前、大同の市街地よりの右岸を整備して、御河生態公園が建設されました。
 私たちのボランティアツアーに参加した人は、そんな私の説明をききながらバスで御河大橋を渡ります。ところが車窓からみる御河にはちゃんと水がありますよ。どうなってんの? でも、注意してみてください。河に人工的に堰(せき)をつくって水を貯め、プールにしているんです。公園ですから水がほしいけど、御河の水は流れるほどはない。そこでそんな工夫をしたんですね。堰より下は乾いていますし、上流にも水はありません。雲崗石窟(うんこうせっくつ)のまえの十里河にも同じ仕組みがありますが、こちらは上流に炭鉱が多いので、水も河底もまっ黒。
 石炭景気にわく大同ではものすごい勢いで住宅を建設中です。とりわけ目立つのが御河近くの高層住宅。1平方メートルが3千元ほどですが、公園と御河を見下ろせる部屋はプレミアムがつくそう。緑と水がみえるので気持ちが安らぐというんですよ。
 霊丘(れいきゅう)県の村でそれが話題になったとき、村の幹部が話しました。「ここのほうがずっといい。あそこの緑は作り物で、水は死んだ水だ。ここはどっちも本物!」。たしかに。ないのはお金だけ。
 【写真】人工的にせきとめてプールにしている御河。右側が御河生態公園。
(2007年6月5日号)
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