021)洪水

 この連載の第1回で紹介した民謡に「十の年を重ねれば九年は日照りで一年は大水…」とありました。その大水がきたんです。いちばん深刻だったのは大同県聚楽郷。私たちの大切な実験林「カササギの森」があります。
 7月25日のことです。朝10時ごろから豪雨になり、降水量は1時間で約50ミリ。あいだに10分ほど直径2センチものヒョウが降り、25センチも積もったそうです。樹木の葉や枝がたたき落とされ、地面には無数のくぼみができました。
 敷地中央には幅2百メートルの谷があり、きれいな流れもあります。ポプラの育ちもいいし、ヤナギやヤナギハグミの緑がどんどん濃くなっていました。まるで自然の公園だったんです。
 ここが洪水になりました。地元の人によると高さ4メートルもの濁流が押し寄せ、残ったのはただの河原です。一抱え以上のポプラまでなぎ倒されました。
 私たちの被害も軽くないんですけど、いつもお世話になる聚楽村では死者が4人でました。土砂が流れ込んで使用不能の畑が140ヘクタール、この村ではヒョウも鶏卵大だったそうで、経済損失は1700万元にもなりました。
 毎年のように旱魃が襲う、県でももっとも貧しい郷なんですよ。01年の1人あたり年収は159元しかなかった。どうしてそこに洪水までくるんですか。自然災害は、貧しい地域の貧しい人を狙い撃ちします。
  【写真】この家を土石流が襲い、内部の壁が倒れて、2人が亡くなった。
  (2003年9月5日号)
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