025)冊田ダムの水,北京へ

 大同は北京の水源なのに北京人はそのことを知らない、と私が憤っていたら、なんと、北京の新聞が大きく取り扱いました。桑干河にかかる冊田ダムの水5千万トンを、北京の水がめの官庁ダムに流したんですよ。北京の用水量の8日分だそうです。9月26日に水門が開けられ、30日に流れの先頭が官庁ダムに届きました。国慶節にまにあわせたんです。
 北京は旱魃が5年つづき、密雲ダムも官庁ダムも、このままでは1年以内に水がなくなるため、史上初めて外地の水を北京に引水したのだそうです。といっても、官庁ダムも大部分は河北省にあるんですけどね。
 冊田ダムは大同県にあり、総容量5.8億トン、山西第2のダムですけど、運用開始から40年以上たち、土が堆積して貯水能力はもとの4割以下。
 発表された年平均流量3.3億トンは過去のもので、最近は流れなんてないんです。ダムの上流も下流もカラカラ。そんなところを2百キロ近く流しますから、官庁ダムに届くまでに半分近くが失われるそうです。
 大同は北京以上に旱魃と水不足がひどいんですね。大同からみると、北京の水の使い方はぜいたくですよ。水門開放の式典では「5千万トンの水を送り、首都に貢献する」ことが強調されたんですけど、市民の内心はどうなんでしょう?
 その大同から、損失を覚悟で、水を引かなければならない。それくらい、北京の水不足は深刻なんですよ。
  【写真】冊田ダムの水門を開き、5000万トンの水が官庁ダムに送られた。
  (2003年10月15日号)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« 024)ヒツジの... 026)環境破壊... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。