282話)大きな苗に変えたわけは?

 私たちが山や丘陵にいちばんたくさん植えているのは、3種類のマツです。アブラマツ(油松)、モンゴリマツ(樟子松)、そしてカラマツ(華北落葉松)。

 以前、マツは2~3年生の子苗を植えていました。地上部が10~15センチで、草のように頼りなく、ボランティアツアーに参加した人たち、「こんなものが育つんですか?」といって不安がったくらい。でも扱いがカンタンで、値段も安かったのです。

 ところが問題がでてきました。人びとの努力でこの地方の山もだんだん緑が濃くなってきました。それとともにノウサギがふえたのです。とくに春先のエサが乏しい時期、マツの先端を噛み切ってしまいます。でも、あんなもの、ヤニ臭いだけで、まずくて、食べられたものではありません。それでやめればいいんですけど、つぎつぎに噛み切っていきます。へたをすると、全滅です。

 対策としてとったのが、大苗を植えること。ノウサギの口が届かない高さの苗を植えます。従来より2年ほど苗畑で長く育てます。大苗を活着させるには土をつけて移植しないといけませんので、ポリ袋に配合土をつめ、そのなかで育てるのです(写真)。

 苗の値段が10倍近くになります。輸送に手間がかかりますし、植える穴も大きくなります。以前の何倍も手間がかかり、コストも大幅にアップ。ノウサギは見た目には可愛いんですけど、私たちにとっては恨めしい存在です。
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