803話)何重にも役立つアンズ

 これが呉城村のアンズ園の夏のようすです。繰り返しますけど、黄土高原の雨は6月半ばからの3か月ほどのあいだに集中します。ときとして1時間70mmもの豪雨になり、土を流します。この浸食谷も、そうやってできたもの。ほぼ垂直の壁になります。

 ところがこうやってとなりの木と枝葉が重なるまでに、アンズが茂ってくると、降った雨も直接大地をたたくことがなくなります。枝葉で受け止められ、幹を伝って地面にたっし、根に沿って地中に浸透するというわけ。そして、栽培するのがアンズになると、ほかの作物のように、毎年耕すことはしませんから、それによっても、水土流失は軽減されます。

 計算外だったのは、アンズはいい実をつけさせるために、毎年、枝を剪定します。それが生活燃料になるんですね。すると、周囲の山が荒らされなくてすみますし、トウモロコシの茎をはじめ、それまで燃やされていたものが、堆肥になって畑に戻る。だんだん土が肥えていくんですね。

 あ、そうそう。アンズの落ち葉だって、栄養豊富で、いい家畜の飼料になるといいます。それからアンズの種の殻、あれが活性炭の材料になるといいますし、枝は線香の材料になるとも。ほんとにムダにしないんですね。
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