433話)はげ山につくる植物園

 自然林がみつかったことで、私たちの「植物園」計画にもはずみがつきました。あのような自然林を自分たちで再生し、30年、50年、100年、300年と、長期に維持できたなら、それはまさに宝物でしょう。さっそくその候補地を探しはじめたのです。

 立花さんの考えでは、高低差があり、地形も複雑なほうがいいのだそう。たくさんの種類の植物を育てるのにつごうがいい。その点では問題はありませんでした。私たちが対象として考えた霊丘県南山区は太行山脈に属し、山地です。山はどこにもありますけど、平たい土地はほとんどありません。

 李向東たちに案内されて、つぎつぎに候補地をみてまわりました。そのどれもが、帯に短したすきに長しなんですね。いやいや、そうじゃない。日本の感覚でいえば、帯にもたすきにも短いのです。

 比較的に恵まれた土地があれば、そこの村は大きく、農家数が多いのです。農家1戸あたりの耕地面積は小さい。そんなところを選べば、あとでトラブルが避けられないでしょう。逆に、周囲に村のないようなところは、土のない石山で、水の便もよくありません。

 遠田宏先生と私とで見て回ったんですけど、くたくたに疲れたんですね。そのときに案内されたのが、いまの場所で、7つめでした。すっかり嫌気がさしていたんですけど、「もうちょっとあがれば全体がみれます」と李向東がいいますし、そこまであがったら「あそこに湧き水があります」というのです。水は生命線ですから、いかないわけにはいきません。

 ここに決めたんですけど、みごとなはげ山ですね。はげ山に植物園をつくる、というのですよ。
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