ACONY 1 (1) (アフタヌーンKC)冬目 景講談社このアイテムの詳細を見る |
「ACONYアコニー(1)」冬目景
「黒鉄」、「羊のうた」、「イエスタディをうたって」など、独特な雰囲気を持った作品を数多く手がけてきた冬目景の最新作……というと語弊がある。というのも、「ハツカネズミの時間」の執筆の影響で数年にかけて連載中断されてきた不遇の作品だからで、年次からいっても新しくは決してない。
内容はいたってシンプルな「人外の住む不思議なアパート」もの。家庭の都合上、じいちゃんの住むアパート「しきみ野アパート」の別の部屋に独居することになった空木基海(うつきもとみ)13歳は、座敷ワラシや蛇女などの妖怪や、幽霊たちが普通に人間に共存している光景に愕然とする。
若いからリベラルってこともなく、いたって常識人な基海は、新たな環境に慣れるのに四苦八苦。だが、外見は自分と同い年くらいなのに自称死人で23歳のハーフっぽい女の子・アコニーとの出会いで、少しずつ事実を受け入れられるようになっていく。
で、このアコニーと基海のやり取り。大人ぶった口調、尊大な態度、常に鋏を持ち歩き、ネズミをいたぶって遊ぶのが好き(あとがきとあわせて見ると面白い)なアコニー。構ってほしいくせに「もうあたしに構わないで」が口癖な彼女との距離感のつまり方の構図が、ほっこりと柔らかで心地よい。今後絶対に立ちはだかるであろう死人との壁も含めて、この先楽しみな作品だ。是非早めの続巻を……とは思うのだけどね……。
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