はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

お茶にごす。

2007-08-28 15:41:13 | マンガ
「お茶にごす。」西森博之

 別に誰かを殴りたいわけじゃない。皆と仲良く暮らしていきたいだけなんだ。
そんな願望とは裏腹に、船橋雅矢・通称悪魔(デビル)まークンの日常は激しい。コンビニで立ち読みしていたら絡まれ、自販機でジュースを買っていたら絡まれ、海をぼんやり眺めていたら絡まれ……とにかく日常生活のあらゆる局面でケンカを売られる。返り討ちにすればしたで、その先輩・友達・兄貴・知人・OBなどが雨後の竹の子のようににょきにょきにょきにょきどこからともなく現れる。年中無休のバイオレンスな中学時代とおさらばするために、まークンは高校入学と同時に部活動を始めようと思い立つ。しかし将来の強面とガタイの良さ、中学時代に築き上げた武勇伝が災いし、誰も彼を勧誘しようとはしない。そんな中、唯一彼を誘ってくれたのは茶道部の姉崎部長だけだった。しとやかで優しい姉崎部長に自分の理想の生き方を見たまークンは、親友ヤマダにやんわりと止められながらも逆に気合いを入れて茶道部の戸を叩いた。
 女だらけの茶道部面子は、予想外の悪魔の乱入に怯えて顔も上げられない。姉崎部長ですらも膝をがくがく震わせるほどの迫力のまークンを強烈に敵視する夏帆は、正面からまークンと渡り合い、問題を起こしたら叩き出すと宣言する。
 厄介な約束に縛られたまークンは、先輩からの呼び出しを避けるため逃げまくる。しかし茶道部に入ろうとするところを捕まってしまい、慌てて隣のアニメ部に入るのだが、入ったら入ったで当然騒動が起こる。
 アニメ部の部員と打ち解けたまークン。自ら好んではしないが、人のために振るう暴力には躊躇がない。ヤマダや夏帆、茶道部の面々の目の前で、彼はアニメ部の漫画を破いた不良の単車を燃やす。一切の躊躇いなく、正義を断行する。即退部かと思いきや、それで彼への見方を変える人もいて……。
「今日から俺は!!」、「天使な小生意気」などヒット作を飛ばす西森博之。最新作は得意の不良ものだが、こともあろうに主人公はロハスを目指す。不良でもない人間が不良を志したり、不良じゃないのに不良扱いされたりという筋書きの作品はよく見かけるが、脱不良の話は珍しい。加えて茶道部ときては他に類を見ない。特有の「ギャップ」の笑いや、周囲を取り巻く人間模様のユニークさもあり、最後まで一気に読めた。

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