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はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

つぐもも(6)

2011-07-14 15:04:50 | マンガ
つぐもも(6) (アクションコミックス(コミックハイ!))
クリエーター情報なし
双葉社


「つぐもも(6)」浜田よしかづ

 すなおとの激戦を終えボロボロになったかずやは、手足もまともに動かせないほどの重度の疲労状態。ここぞとばかりに桐葉に「ごほうび」をもらったり、完全に懐いたくくりに食事の世話どころか入浴や下の世話(!)までしてもらう体たらく。
 人間として、男としての大事なものを失いつつも復活を遂げたかずやは、なぜかすなおの家に呼び出される。首をかしげつつ向かってみると、そこには母親の強引な説得の末、かずやと結婚を前提にしたおつき合いを強要されたすなおが待っていて……。

 きました、サービス回。バトル展開の続いたあとの反動か、今回は色々とスレスレの過激なシーンが満載。思わず成年マークを探してきょろきょろするほどのあれなので、なんとも説明しようがない。できない。5巻まで読んできた人ならわかるはず。恐ろしい漫画だ。
 ……しっかし、すなおはいきなりかわいいツンデレ娘になったな。そのうえ二人でけっこういきつくとこまでいってしまうし、このまますなおエンドもあり……なのかねえ……。

妖精消失

2011-07-09 09:58:39 | マンガ
妖精消失(リュウコミックス)
クリエーター情報なし
徳間書店


「妖精消失」安堂維子里

 虫の羽を生やして自然素材の服に身を包んだ金髪の少女たち。
 ごくありふれた、古典的といっても過言ではないステレオタイプの妖精が見えてしまう主人公・壮一郎は、とある薬品研究所で働いていた。
 脳腫瘍に悩まされる彼は、痛みと日々の苛立ちが募り、半ば自暴自棄になって、しきりにこちらへコンタクトを試みてくる妖精の指示に従うことにする。言われたとおりに薬品を調合し、装置を整えスイッチを入れて、さあできたものはというと……。

 妖精を製造、というよりは、妖精がこちら側で行動するための憑代を造った、というほうがイメージ的に正しいかもしれない。
 人間世界に顕現した、何もかもに興味津々な妖精・イレーヌと出会い、彼女とのやりとりのひとつひとつが、ささくれ立った心の傷を埋めていく。その様が心地よかった。
 そのぶん、別れはきつい。
 タイトルでもわかる通り、二人には別れが訪れる。意外といえば意外なような、そうでもないような……詳しくはネタばれすぎるので書かないが、妖精の解釈の仕方がどことなくSFチックで、そこが面白かった。向こうの世界とこちらの世界の在り方に、ロマンと切なさがあふれていて、じんときた。自分自身に当てはめてみて、もし自分が幼いころに思い描いた世界との関係性もこうだったら楽しいのになあ、となんだかうらやましかった。僕だったら号泣ものだけども。
 巻末のはやぶさ帰還の話もそうなんだけど、題材への愛おしさが満ち満ちた、良作だった。

「ネクログ(1)」

2011-07-05 12:21:47 | マンガ
ネクログ(1) (アフタヌーンKC)
クリエーター情報なし
講談社


「ネクログ(1)」熊倉隆敏

 物書きの青年・宋(ソン)は、キョンシー化した幼馴染のシュエ姉ちゃんを蘇らせようと、道士の胡(フー)に弟子入りすることに。
 しかしこの胡がとんでもない奴で、見た目は少年なのに、姉ちゃんを使役するわ、その辺の一般人に平気で術をかけるわとやりたい放題。まあ、一般人に関しては、かけられても文句の言えないような柄の悪い奴らなのでいいけども、キョンシー化したとはいえかなり生前の面影を残している(見た目ではそれとわからない)姉ちゃんの体が傷つくのは正視にたえない。
 ということで、頑張る宋なのだ。いやでも……ほとんど何も教えてもらってないように見える。資質がないのか、胡がわざともったいぶってるのか。ほとんど胡の使用人でしかない宋の、明日はどっちだ?

 おお、懐かしい!
 ひさしぶりにキョンシーとか見た。
 今の若い人にはぴんとこないかもしれないけど、昔、僕が子供のころにはキョンシーブームがあった。漫画雑誌で特集が組まれ、映画が何本も公開されていた。とくに人気があったのは登場人物のテンテンとスイカ頭で、ゴールデンハーベスト的身のこなしで画面狭しと暴れまくる彼らの活躍に、小さい胸を焦がしたもの。しみじみ。
 そんな懐古的な視点はさておき、中身はかなり面白い。中国の街並みのごちゃごちゃした感じや、怪力乱神な道士・妖怪たちのバトルなど、見どころが豊富。とくにバトル面に関しては、西洋ファンタジー風な炎メラメラ雷バチバチなんていうのは全然なし。中華的な、というのか、物の在り方を変転させて、それを使って戦うのだけど、いちいち意表をついてくれて楽しい。
 途中、胡の昔なじみの道士仲間・管(チェン)が登場するあたりで話も動き出し、次巻への期待も高まった。文句なしの良品。おすすめ。 

ヴィンランド・サガ(10)

2011-07-03 17:50:52 | マンガ
ヴィンランド・サガ(10) (アフタヌーンKC)
クリエーター情報なし
講談社


「ヴィンランド・サガ(10)」幸村誠

 親の仇を失い、目的を失ったトルフィンの農業生活はまだ続く。
元農夫で奴隷仲間のエイナルの指導の下、必死で畑を耕し麦を植える様には、かつての鬼神の姿はない。むしろすくすくと麦が育つ喜びを感じて、様々な農の知恵に感じ入って、精神的リハビリは順調に進んでいる。エイナルのほうも奴隷仲間の女性といい感じになってきて、これはいったい、この漫画はどういう方向に進んでいくのか……と心配なような嬉しい気もちでいた矢先、奴隷でない、普通の小作人からの嫌がらせで、畑がめちゃくちゃにされてしまう。
これにはさすがにキレたトルフィン。すわ血の雨が降るのかと思いきや、殴る程度で済んでしまう。しかも、そのことにけっこう凹だんりしている始末で、見ているこっちがやきもきしてしまう。いや、脱戦士はいいことだとは思うんですがね……。

 相変わらず、漫画とは何かを感じさせてくれる作品で、非常に楽しく拝見させていただいた。一心不乱に最後まで鬼神なトルフィンのほうがいいと思う自分と、そうでない自分。エンターテイメントか人の道か、こんなことで悩めるのは、きっと平和だからで、きっといいことなんだと思う。いっそこのまま農業漫画でいってくれてもいいのかな……?
 まあ、たぶん無理だとは思うのだけど……。

鉄風(4)

2011-06-30 00:28:07 | マンガ
鉄風(4) (アフタヌーンKC)
クリエーター情報なし
講談社


「鉄風(4)」太田モアレ

 来たる女子格イベント「Ggirl」に参加するべく、続々と精鋭が紙面に集う。グラップリング最強・本間三津子、対する東の女帝・紺谷可鈴。リンジィにユズコ、女子プロ連……。 
 是非出なければと焦る夏央に課されたのは、可鈴からの課題。グラップリングのみのイベントに出場し、参加させるだけの説得力を魅せること。この土壇場で、夏央の秘められた才能が開花する……。

 個人的に、女子プロって好きじゃない。女性同士が髪を掴んで「うらー」とか「バカヤロー」とか叫んでるのは美しくない。今もその思いは変わらず、そのせいか、女子格も見たことがない。男子に比較してミニマムなイメージがあるのもある。
 でも、最近株価が上がってきた。「オールラウンダー廻」のマキちゃんや、この漫画の夏央たちのおかげ。彼女たちは美しい。それは見た目というだけでなく、精神性まで含めて。闘争心、求道心、システマチックな思考の筋道のたどり方のひとつひとつが美しいと思う。
 夏央の場合は、ユズコを圧倒し、ぼろぼろにしてやろうという黒い人格が素敵。他の人間はその踏み台にしかすぎないという思い切り方も。本巻では、その性格に加えて秘められた才能までも開花して、とんでもないことになっている。いやまさか、こんなに強くてひどいとは……。これで引きこもりのお兄さんパートがなければ最高の漫画だけどなあ……。

鉄風(3)

2011-06-16 15:32:53 | マンガ
鉄風(3) (アフタヌーンKC)
クリエーター情報なし
講談社


「鉄風(3)」太田モアレ

 女子格闘技界のスター・紺谷可鈴のジムに入門し、本格的に総合格闘技を学び始めた夏央。アマチュアの大会に出場し、早速1RKOするなどさすがの実力。
 さて、馬渡ゆず子と戦うためにはどうしたらいいのかしら? と思ってそちらに目をやると、ゆず子と同レベルの実力のリンジィが、日本の女子総合格闘技界の次期エースを鼻歌まじりで粉砕していた。
 奴らの領域はいまだ遠い。寝技がおぼつかない今の私では、きっと相手にもならない。でも、夏央は思うのだ。私が頑張ったら、絶対いける。いって、戦って、その笑顔を潰してあげる……。

 MかつSなビッグ女子高生・夏央のダークな感情が相変わらず素敵。僕っ娘空手家・我如古の挑戦を圧倒的戦力で退け、心折れるまでいたぶる様にはぞくぞくさせられた。こういう主人公で、しかも女子ってのはなかなかいない。この先も是非続いてほしい。

ミル(2)

2011-06-05 01:30:59 | マンガ
ミル 2 (ビッグコミックス)
クリエーター情報なし
小学館


「ミル(2)」手原和憲

 見た目は女子高生なのに、中身は猫でばあちゃん。86歳の化け猫・ミルとの同居生活にも慣れたアキの前に、新たな化け猫が現れた。彼女の名はハナ。通称鼻ピンク。ミルと違って見た目も中身も15歳だけど、そのぶん経験が足りず、野生っ気が抜けない。アキの通う大学構内で人気者だった(猫時代に)彼女がもう猫の姿に戻らない理由とは? アキも所属する猫好きサークル「CCC」の操作網を、彼女は逃れられるのか? 

 佐賀弁ばりばりの化け猫・ミルが可愛いシリーズ第2弾。
 携帯電話を買いに行ったり、アキと2人で学祭を回ったり、アキの家でサークルメンバーとハナと共に鍋をつついたり……ミルがいるそれらの風景が、そんなに長く続くものではないと知っているから、とても面白くて悲しかった。失うことばかり考えてないで、今を楽しもうというミルとハナの会話もいじましくて切ない。彼女らの生活が楽しそうなだけに、そのあとのことばかり考えてしまう。だってなあ……ミルはあの外見のまま歳をとらないわけだもんな。アキが良くても、周囲の目があるし、なら同じ場所には10年以上住めないし、サークルメンバーの前にだって、いつかミルが姿を見せるわけにはいかなくなる。アキだって、仕事とかどうするんだ? そう考えると、暗い未来予想図にぞっとせざるを得ない。
 ともあれ、面白かった。中高年には共感され、若者達にリスペクトされるミルの価値観と生活能力と対人スキルが、外見とのギャップで効いている。こういうおばあちゃんっぽい娘が現実にいたら「ほお~」と感心して眺めてほっこりしてしまうと思うもんなあ。うん、ミルいいよね。
 ラストの引きも良かった。実家に帰省したアキの前に転がり込むトラブルと切なさとミルの嫉妬。早く3巻出ないかなあ。でも月刊誌だからな……本誌購入するか、うーん……。 

ゆうやみ特攻隊(6)

2011-05-31 23:42:32 | マンガ
ゆうやみ特攻隊(6) (シリウスコミックス)
クリエーター情報なし
講談社


「ゆうやみ特攻隊(6)」押切蓮介

 黒首島に巣食う鉄一族と、彼らの信奉するミダレガミの魔手と戦う決意を固めた翔平。なんとか花岡隊長を救出したものの、さすがの彼女も前巻での痛めつけられ方が半端ではなく、まだ完全復調とはいいがたい。
 一方で、萌・紗由・執事の黒井・うわばみ隊数名は、島の中枢で、鉄一族の要・翠・龍生と遭遇。戦闘になるが、うわばみ隊は翠の魔眼であっさりと全滅。さすがの黒井も、一族最強の龍生の前には逃げるしかなく……。

 様々な人間の思惑が絡み合い、複雑になってきた。押切蓮介の描くキャラは見分けがつきづらくて、読んでるとだんだん混乱してくるのがさらに困りどころ。 
 それはもとより、相変わらず面白い。黒首島に住まう人たちの異様な残虐性。攻撃と破壊の衝動の凄まじさ。それらに直面したうえでの翔平の心の成長。尋常な物語の主人公にはない、生々しい勇気に感動させられた。
 他に良かったのは黒井。鉄指の紳士と呼ばれる彼の強さが際だっていて燃えた。立ち回りの鮮やかさでは花岡隊長をも凌駕する。
 ところで、もはやどこにも「夕闇通り探検隊」の面影がないね。いや、無理に残さなくていいのだけど。

アイアムアヒーロー(5)

2011-05-28 16:16:43 | マンガ
アイアムアヒーロー 5 (ビッグコミックス)
クリエーター情報なし
小学館


「アイアムアヒーロー(5)」花沢健吾

 なんとか樹海を脱した英雄と比呂美。「標高が高いところではウイルスの進行が遅い。みんな富士山の5合目に集まっている」という情報を聞きつけ、流れに乗ることにした2人は、当然のようにそこでもゾンビ症の大量発生に巻き込まれる。
 カメラマンの荒木の助けにより虎口を脱した2人は、別ルートでひとまず5合目を目指すことに。道中、荒木から聞いた話では、今ネット上では来栖という名の「予言者」がいるのだという。元ニートでゾンビ症を発生した母をさっくり撲殺した彼は、この騒ぎの先鞭を握り、多くの指示を集めているとか……。

 面白い。もう多少のことでは動じないと思っていたのに、1ページめくるたびにぎょっとさせられる。まさかあれがああなるとは、これがこうなるとは、という良い意味での裏切りが新鮮で、最後まで息つくまもなく一気に読んでしまった。
 しっかし本当に、人間が無力な話だよね。ゾンビ症罹患者が強すぎるというのもあるけど、自衛隊や在日米軍などの近代兵器で武装してる集団ですら崩壊しているという現実がきつすぎる。狭い日本という国土の中で、逃げる場所なんて限られてるし、閉塞感がハンパない。ゾンビものにもっとも必要な要素だから、それはもちろん良いことなんだけどね。もし自分が同じ状況に追い込まれたとしたら、どうだろう。一部の人たちのように、「目覚め」ちゃうのだろうか。楽しい世界……な気がする。

牙の旅商人(1)

2011-05-25 01:21:38 | マンガ
牙の旅商人 1 (ヤングガンガンコミックス)
クリエーター情報なし
スクウェア・エニックス


「牙の旅商人(1)」原作:七月鏡一 漫画:梟

 開拓民の子・ソーナは、極悪非道なハイドラ一味に襲われ、家族を目の前で陵辱・虐殺される。さらには犠牲者の焼き印を手に押され、砂漠に打ち捨てられる。
 飢えと渇きに、死を覚悟するソーナ。その目の前に、一人の美女が現れた。武器商人ガラミィ。家族との暖かい思い出を抱いて死ぬか、剣をとるか選べといわれたソーナは、悩んだ末に剣を選んだ。
 命を助けた対価として、ガラミィに金貨100枚で買われたソーナは、彼女の下僕として旅に出ることに。ソーナの小さな世界は飛躍的に広まった。奴隷にゾンビに獣人に囚われの姫君。荒野には、謎と冒険が散りばめられていたのだ……。

 おお、今日日珍しいダークファンタジー@荒野。ベタ主体の黒い絵柄と話の陰惨さがマッチしていて、とてもよい雰囲気だ。ガラミィの謎めいたたたずまいと強さ、ソーナの青さ、そして渋い脇役たちの一挙一動のどれもが好み。これはひさびさの当たりかな。