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はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

やはり俺の青春ラブコメは間違っている。

2011-10-24 19:14:30 | 小説
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫)
クリエーター情報なし
小学館


「やはり俺の青春ラブコメは間違っている。」渡航

 顔はイケメンなのにコミュニケーション能力に欠け、そのため生まれてこの方ずっとぼっちだった比企谷八幡。「高校生活を振り返って」という題目のレポートを女教師の平塚静に提出したところ、あまりにもリア充への妬み恨み嫉みが満載だったので、いきなり職員室に呼び出され、指導されるはめに。
 暴力を伴う平塚の強引な指導の結果、比企谷は奉仕部という謎の部活に入部させられる。この聞いたことのない部の活動内容は、悩みを持った人の助けになること。部員は比企谷も含めてわずか2名。もう1人の部員は雪ノ下雪乃。学内髄一の美少女で、学業も運動パーフェクトなリア充、かと思いきや、悪口雑言限りなしの性格残念美少女だったのだ……?

 タイトルまで含めてもはやテンプレとなりつつあるぼっち系ラノベ。案の定、2ちゃん用語もあふれんばかりなので、そういうのが嫌いな人は全力で避けるべし。文体、会話すべてにそういう匂いがするので。僕にとっては好物なのでまったく問題ないのですがね。
 んでまあ内容のほうはというと、これがけっこう面白かった。奉仕部を訪れる人たちの悩みを雪ノ下と比企谷が解決するというのがメインの流れなのだが、完璧人間な雪ノ下と、万事に後ろ向きな比企谷。合うはずもない2人がそれぞれのやり方で悩み解決に協力していくのが多角的で良かった。
 キャラクターも良い。残念美少女雪ノ下、暴力教師の平塚静、なんちゃってビッチの由比ヶ浜結衣、ぼっち仲間(?)の材木座義輝、男の娘・戸塚彩加。一筋縄ではいかないメンツが揃っていて、ツッコミ的にはおいしい。比企谷もツッコミ体質なので、全ページツッコミまくりで非常に忙しそう。
 恋愛要素的には、由比ヶ浜と戸塚は比企谷に惚れている模様。まあもちろんこういうものの基本として、比企谷は気付いていない。雪ノ下は……そのうちデレるんですかね……。
 まあでも、一番良かったのは比企谷かな。ぼっち暦が長すぎて、すでにぼっちであることに誇りすら抱いている比企谷の在り様が素晴らしかった。友達も恋人もいなくても、家で自分の立場がなくても、「だからなんだ?」そんなふうにしていられる比企谷はかっこいいと思う。
 2巻も当然の買いで。

月見月理解の探偵殺人

2011-10-22 13:23:00 | 小説
月見月理解の探偵殺人 (GA文庫)
クリエーター情報なし
ソフトバンククリエイティブ


「月見月理解の探偵殺人」明月千里

 人当たりが良く、誰にでも公平に優しい都築は、クラスで目立つというほどではないけど人気者だった。男女問わず好感度が高く、クラス委員長としての役割も無難にこなし、副委員長の宮越さんから惚れられていたりして、まったくリア充死ねばいいというのに感じなのだが、そんな彼に、ある日唐突に災厄が訪れた。
 それは一人の転校生のせいだった。病気療養から復学してきた、という彼女の名は衣梨花。常に特製の車イスで行動する彼女は、毒舌と悪意を隠すことなく表に出す変人で、転校初日からクラス中の顰蹙を買った。のみならず、都築に変にべたべたと接してきたり、いきなりキスをしてきたりして、都築までもがクラスにいたたまれないようになってしまった。
 聞けば彼女の本名(厳密には違う)は月見月理解。ネットゲーム「探偵殺人ゲーム」で数年前まで不敗を誇った伝説のプレイヤーだったのだが、その彼女にただ一度だけ土をつけた都築に話があって、わざわざ居場所を探し出し、クラスメイトにまでなったというのだ。
 しかも彼女は都築にこう告げる。飛び降り自殺した都築の父親の死の真相を探るためにきた。その犯人を見つけ出し、それが真実であれば殺すと。しかもその有力な容疑者は、都築の妹の遥香だという。
 理解の秘められた特殊能力や、探偵殺人ゲーム、一週間というゲーム期限、さまざまな要素が絡まる大カオスのミステリーが、いま始まった……。

 こうしてみると、なんてわかりづらいストーリーなんだろう……。やってること自体はそんなに難しくもないんだけどね……。なんか、理解の言動が突拍子もなさすぎて……。
 いや本当に、この女は痛い。痛いし怖い。ここまで真実の悪意を持って他人を貶めることのできるヒロインを、僕はいままで見たことがない。悪魔のような、という表現がまったく違和感なく使える。これ、作者は女性なのかな? 偏見かもしれないけど、そのせいだと思う。作中、彼女が女性を追い詰める時の語りが毒々しく生々しすぎた。
 主人公や妹の設定も、かなり強烈に歪んでいる。宮越さんが一服の清涼剤なのだが、その彼女もあんなことになってしまうし、うーん……。
 いずれにしろ、相当に読み手を選ぶ作品。昨今の萌えブームなんて吹き飛ばす、悪意のライトノベル。手に取るなら覚悟を持っていただきたい。
 作中に出てくる探偵殺人ゲームというもの自体は、実際にある「人狼」というゲームがもとらしい。やったことがないので知らないのだけど、人に化けた狼(?)を暴き出す側とバレずに人を食い殺す側に分かれ、最終的に残った人が勝ち、らしい(合ってる?)。

丘ルトロジック(3)女郎花萩のオラトリオ

2011-10-18 00:12:37 | 小説
丘ルトロジック3 女郎花萩のオラトリオ (角川スニーカー文庫)
クリエーター情報なし
角川書店(角川グループパブリッシング)


「丘ルトロジック(3)女郎花萩のオラトリオ」耳目口司

 沈丁花代表がしばらく家を留守にすることとなり、巡り巡って萩先輩の面倒を見ることとなった咲丘。いつもヘッドフォンをつけてて、手製爆弾の開発に余念のないマッドサイエンティストで、極度の閉所恐怖症でトイレのドアも閉めれなくて、でもめっちゃ可愛い萩先輩をもふもふできるとテンションの上がっていた彼の前に、突如として金髪ゴスロリ女が現れた。
 玲儀音。傲岸不遜で人に命令することに慣れた感じの偉そうな彼女は、とある事情からヤクザに狙われていた。護衛を雇ってはいたが、それは究極のM男・蜂須で、彼女らは咲丘と萩先輩のコンビに会うなり、半ば無理矢理に巻き込んできた。
 巻き込まれた咲丘は、申し開きをしても聞いてくれそうにないヤクザから逃れるために知略を尽くすが、そんなに頭がいいわけではないので全然いい手が思い浮かばない。勢い、裏道に詳しい蜂須に頼ることになるのだが、蜂須は蜂須でピンチが好きな奴だし、萩先輩とも理由ありだったりなんかして、逃避行は全然うまくいかないのだった。
 
 第3弾。
 さすがにここまでくると「わけがわからないことに慣れた」。蜂須や萩先輩の事情、沈丁花の謎スローガンにも目を瞑れるようになった。次巻で大きな話が動き出しそうなことは書いているけど、まったく期待していない。
 大丈夫、江西陀と清宮が可愛ければ、あとはどうとでも脳内で処理する。任せろ。
 というとあんまりなんだけど、でもしょうがないんだよ。僕にはさっぱり話の筋が理解できない。「え?え?」とキョロキョロしているうちに、彼らが勝手に理屈をつけて終わらせてしまう。
 でもいいんだよ。これはキャラ小説だから。咲丘、清宮、江西陀らのやり取りでにやにやできればそれでいい。とくに今回は、「江西陀のエロ本の趣味は咲丘を思わせる何か」だということがわかったり、江西陀が咲丘のために「作りすぎちゃったお弁当」を食べさせていたからそれだけで十分満足できた。さ、次巻も買うぞ!

まよチキ!(9)

2011-10-16 15:56:09 | 小説
まよチキ!9 (MF文庫J)
クリエーター情報なし
メディアファクトリー


「まよチキ!(9)」あさのハジメ

 家が燃え、代わりの住み家ができるまでの間、涼月の家に居候することとなった坂町兄妹は、しかし流れ上涼月の家を追い出され、代わりに宇佐美マサムネと同居することとなった。
 相変わらず不器用で素直じゃない宇佐美との、ほんのりと気持ちが温かくなる、仮初めの家族のような生活は、主に宇佐美自身に変化を与えた。紅羽とも仲良くなり、人当たりも柔らかくなった。ぼっち生活が長かった彼女にとって、それはとても幸福な時間だった。
 だが、隣の部屋に涼月がスバルと共に越してきた瞬間に、つかの間の幸せは終わりを告げる。宇佐美とジローの同居がバレ、涼月とスバルが付き合っている(!?)ことが明るみに出て、対外的にも、それぞれの人間関係的にも嵐が訪れた。
 涼月にジローと恋人になってほしいスバル。
 スバルにジローと恋人になってほしい涼月。
 2人の思惑のずれが、ヤミ月さんの登場だったり、スバルがジローの告白を断ったり、などというような事態に繋がってしまった。そのずれはとどまるところを知らない。涼月の行動の突拍子のなさに拍車がかかり、スバルはジローと一緒にいてもつらそうな顔をするようになった。それを勘違いしたジローはスバルを自ら遠ざける……。
 そして宇佐美。前述したようにぼっち生活が長かった宇佐美が、大好きなジローとの、短いとはいえ家族ようなの温かみのある生活の味を知ってしまった。もう、一人暮らしの寂しさには耐えられそうにない。そして彼女はジローへの告白を決断する。スバルの目の前で……。

 とまあ、激しく動きのあった9巻だった。
「おまえら不器用すぎだろ」とか、「もっと考えて行動しろよ」とか思わなくもないのだけど、これくらいの年齢の恋愛なんてそんなもんだよね。自分しか見えなくなって、それがすべてだと思ってしまうものなんだよね。もっとあの時自分に理性があったなら、そんなことを思ったりもします。個人的に。しみじみ。
 結果的に、涼月スバルらの互いへの感情の隙をついた宇佐美が一気にリードした形となった。彼女の思い切りの良さと勇気は素直に賞賛したい。1か0かの大きな賭けに出たのがすごい。僕自身は宇佐美派なので、もちろん大歓迎。
 なんだけど、まあ無理だろうな……。絶対サブヒロインルートとかないよ……。スバルへの想いを捨てられずにいるジローがいきなり宇佐美とってわけにはいかないだろうし。
 ちょっと意外だったのは、作者の踏み込み方かな。もっとぬるぬるハーレムエンドに向かうのかと思ってたんだけど、ここまで動かしちゃったら、いきつくとこまでいくしかないのでは? 風雲急を告げるの10巻の発売が待ち遠しい。

Xの螺旋

2011-10-14 10:27:27 | 小説
Xの螺旋 (徳間文庫)
クリエーター情報なし
徳間書店


「Xの螺旋」柳原慧

 白血病を患う女性患者の体から、突如有毒性のガスが発生。医療スタッフがばたばたと倒れていく中、主治医の剣持は、患者の胸部に手をかける。が、ツンとした刺激臭に襲われ、彼までもが意識を失って……。
 薬物テロのような大事件だが、奇跡的に1人の死者も出なかった。患者自身を除いては。
 原因不明の事件の真相を探るべく、微生物学者の森村菜々は、剣持、ジャーナリストの山南らと共に、事件の暗い闇へと一歩を踏み出した……。

 炭疽菌、タリウム、サリン……形状、種類は問わないが、世の中に、薬物テロの例は数多い。しかも種類が特定できなければ発見自体も容易ではないのが質が悪い。極端な話、二酸化炭素の濃度を濃くしただけでも人は死ぬし、カフェインだってとりすぎれば死に至る。問題は、それを扱う人間にある。
 本作は、ガスの種類も、犯人像もまったくわからないところから始まる薬学ミステリーだ。未知の細菌とか、異国の辺境の村での大量中毒死とか、興味深いキーワードが目白押しだった。
 問題があるとすれば視点のブレ。主人公の菜々以外に剣持と山南の視点があるのだが、視点変更が多くて読みづらかった。菜々(8割)と剣持(2割)ぐらいで良かったのではないだろうか。落ち着かなかった。
 あと、この3人は同じ研究室にいたらしく、薬学に関する知識をあらかじめ持っているのだけど、一人くらいはずぶの素人を混ぜたほうがよかったのではないだろうか。それだけで、もっと効果的な説明ができたはず。特別わかりづいらいわけではなかったけど、もうちょっと、ね。
 ラストは拍子抜けだった。例のブツも、犯人も安易な扱いで、肩透かしをくらった気分。そこまでは面白かっただけに残念。
 川端裕人の傑作「エピデミック」を頭に置きながら読んだというのもあるけどね。それでハードル上がったかな?

なれる!SE(5)

2011-10-11 01:08:11 | 小説
なれる!SE 5 (電撃文庫 な 12-10)
クリエーター情報なし
アスキー・メディアワークス


「私のこと……好き?」

「なれる!SE(5)」夏海公司

 初めてのプロジェクトマネージャーのお仕事も無事にこなし、ほっと一息の桜坂。自身の負担する業務的にもひと段落で、なんと三日間の連休がとれることに!(これをなんとといってしまうのがわびしい)
 しかしすっかり社畜の桜坂。ちょっとこれを片付けてから。あっちもこっちも気になる、なんとかせねば。と自主的に残業を重ね、気が付いた時にはすでにとっぷりと日が暮れて……家に帰ったはずの室見さんが戸口に立っていて……。
「本当……会えてよかったわ」
 というわけで、連休ぶっ潰しのお仕事をさせられることになった桜坂。今回は初の出張。旅先でおいしいものを食べたり名所めぐりをしたり……なんてうまくいくはずはもちろんない。室見は北へ。桜坂は西への単独行。それも詰まりに詰まった強行スケジュールな挙句、依頼相手の担当者も現地スタッフも適当な仕事ばかりで、各仕事は押しに押しまくる。
 大阪でようやくひと息と思いきや、もはや完全にストーカー化している姪乃浜さんが、偶然を装って待ち伏せていた。聞けば地元だというが、「獲物」とか「紹介したい人が」とか不穏なつぶやきのオンパレードで……。
 
 面白い。
 いや本当に、巻を重ねるごとに面白くなっていく作品だ。
 前回プロジェクトマネージャーなんて偉そうな仕事をやってしまって、少し天狗になっていた桜坂の鼻をへし折ってもぎとるような、過酷な現場の仕事の数々が良い。いや、仕事自体は相変わらず大変そうで、キレてもかまわないレベルのアクシデントが沢山振り掛かってくるのだけど、それを自力と他力で無理矢理乗り越えていく様が良いのだ。なんだかんだこなしてはいるけど、基本的な知識や技術に欠けるところのある桜坂の、彼独特の交渉術が、いかに仕事を、そして人間関係の歯車を回すかが毎回楽しみで、今回も面白かった。
 で、その人間関係としては、姪乃浜さん……はかなり強烈なキャラになってしまった。仕事はできるし、桜坂のことを好きなのは事実だし、いっそいくとこまでいっちゃえよとは思うのだが、なんか、あとが怖いのよねこの人……。ちょっとしたきっかけで豹変しそうで。ヤンデレそう。
 室見さんは、相変わらず全然恋愛って感じじゃないけども、桜坂に心を許しているのが言葉の端々にうかがえるようになって嬉しかった。今回さらに垣間見えた彼女の過去については、「何もない」のか「何もなくなるように仕事に打ち込んでいる」のかはわからないけど、桜坂がそこにどう対応していくのか、興味深く楽しみになった。正直、あまり期待していなかった部分だっただけに、これは嬉しい驚きだった。

ファンダ・メンタ・マウス(2)

2011-10-08 12:15:58 | 小説
ファンダ・メンダ・マウス2 (このライトノベルがすごい!文庫) (このライトノベルがすごい!文庫)
クリエーター情報なし
宝島社


「ファンダ・メンタ・マウス(2)」大間九郎

 マコチンの件も、後継ぎ問題も解決し、平和な日常を満喫していたマウス。そんな彼に、やっぱり今回も困難が振り掛かる。
 父のロンから与えられた第3夫人(第一はネーネで、第二はマコチン)のゴスロリ少女(13歳)キンバと、どこからか降って湧いた10キロのヘロインを狙う者たちが現れて、そいつらはマウスをもターゲットにしていて、ブレインは今回も腹に一物あって、ミチルちゃんは腹黒いフィクサーで、美月はなぜだか巻き込まれまくっていて……まあ、前回と同じように、なんとも説明のしづらい混沌としたハードボイルドだった。
 説明しづらい。ストーリーが破綻している。普通ならそれだけで作品として成立しないし、二度と読みたくならなそうなものなのだけど、この人の場合はなんか違う。「整合性など犬にでも食わせちまえ」そう思わせるパワーがある。
 リズミカルなマウスの一人称。テンポのよいシーン転換。キレ味鋭いキャラ達。なんか、楽しいのだ。彼らの演じるドタバタ活劇を、もっとぼーっと見ていたい気分にさせてくれる。そういった説明のしづらい楽しい感覚が、このシリーズにはある。
今回は美月メインの回だったが、マウス一味の中で唯一の常識人の彼女なので、マウスや他の無茶なメンツとの絡みが映えていた。
 一方、マコチンやネーネの出番が少なすぎたので、そのへんは改善を要求する。でも、今回獲得した美月のポジションが良すぎるので、たぶん2人足しても美月のそれにはかなわないと思うけども。
 ……あ、これはネタバレか?

変態王子と笑わない猫(4)

2011-10-02 15:10:31 | 小説
変態王子と笑わない猫。4 (MF文庫J)
クリエーター情報なし
メディアファクトリー


「変態王子と笑わない猫(4)」さがら総

 変態王子こと横寺と、笑わない猫像によって人間性を左右されまくる女の子たちのお話。第4弾。
 今回は短編集。猫像関係なし。
 ・実は筒隠月子と横寺が昔からの付き合いだった(横寺は覚えてない)というお話。
 中学時代の月子と横寺の……まあいまからするといつも通りのやり取り。でも月子の表情が豊か。
 ・小豆梓がモリヤモリイの女の子2人と沖縄旅行中してた頃のお話。
 完全に忘れてたけど、こんなギャルいたね……。モリイ視点が多いのがあれだけど、遠い沖縄の空で横寺のことを思って輝く小豆梓が可愛かった。
 ・あのお騒がせ娘・エミと横寺の出会いのお話。
 エミ……。まあ悪い娘でないのは今回でやっとわかった。初登場時のイメージが悪すぎて、それでもまだマイナスなのだけど。
 しかし横寺は、小さい娘に懐かれるね。隙があるし優しいからかね。変態だけど。
 ・鋼鉄さんこと筒隠姉と、鋼鉄さんを敬愛してやまない副部長と、副部長に敵対されている横寺が、密室で3人でいけないゲームに興じるお話(100%事実)。
 副部長がデレるとか、誰得なんだろう……。
 まあそんなこと(ひどい)はともかくとして、今回一番面白い話だった。月子考案のすごいことを実行させられる双六を、鋼鉄さんと副部長と横寺が3人で遊んでた。その光景もシュールだけど、やってることはもっとひどかった。
 鋼鉄さんのリアクションが可愛すぎた。もともといいキャラなんだけど、横寺と横寺弟がダブって見えるようになった模様で、その結果、ものすっごい照れまくり悶えまくりになった。厳密には浮気ではないのだけど(同一人物なので)、本人は浮気だと思っているので、行動がいちいち笑えた。
 ・小豆梓と2人で遊園地にデートに行った横寺が、運悪く月子と鉢ち合わせ、さらに最悪なことに、小豆梓との間にあったあのことを気取られてしまったお話。
 おお……小豆梓さん、本妻気取りですか? 何その余裕……。
 てぐらい今回は小豆梓に余裕があった。もじもじしながらも、やることはきちっとやって、傍から見ると本当に恋人にしか見えない。いつもはテンパりまくりでお話にならないのに……。
 それを見ての月子のリアクションも良かった。
 でも一番気になったのは、横寺。どうも、小豆梓の何かに責任を感じているようなのよね。それがストレートな方向にいくとはもちろん思えないのだけど、小豆梓派としては、どうしても期待してしまう。5巻に期待。

のうりん(1)

2011-09-30 15:31:02 | 小説
のうりん (GA文庫)
クリエーター情報なし
ソフトバンククリエイティブ


「のうりん(1)」白鳥士郎

 畑耕作は、県立田茂農林高校に通う高校生だ。ちょっぴり(?)アイドルオタクでちょっぴり(?)変態な他は、いたって普通の男の子。面倒見の良いテンプレ幼馴染の農や、理論派メガネ男子の継、巨乳のツンデレお嬢様・胡蝶、ワラビーの若旦那(名前)などに囲まれ、わいわい楽しく学校生活を送っていた。
 すべてが変わったのは耕作がかねてから憧れていたアイドル・草壁ゆかがアイドルを突如引退、本名を木下林檎という一農学生として転校してきてからだ。
 無口で無愛想で、でもなぜか耕作には懐いている林檎に、農業を一から教え込む耕作たち。耕作を誰にも渡したくない農の嫉妬や、農業の厳しさと楽しさが紙面狭しと飛び交いひしめき合い、とても楽しいギャグラノベに昇華した。
 これは本当に、嬉しい誤算だった。もやしもんを思わせる農業高校(向こうは大学だが)を舞台にしつつ、向こうとは違う、純粋に汗水垂らして農業を学問とする楽しさを伝えつつ、かつ耕作や農や継らのディープでエロいボケとツッコミで笑わせてくれた。旧スク水やブルマや変態仮面などが飛び交う様は、ちょっと下ネタに走りすぎてる部分もあり、読む人を選ぶとは思うが、ひさしぶりに波長の合うギャグの応酬に、心から笑わせてもらった。
 個別のキャラについていえば、やはり農だろうか。耕作のツッコミかつ変態マゾな体質も楽しいのだが、農の方言はもっと魅力的だった。どこの方言かはわからないが、あらためて訛ってる女の子はかわいいと思わせてくれた。次巻はもちろん買い。楽しみにしてます。

ソードアート・オンライン(8)アーリー・アンド・レイト

2011-09-26 10:59:22 | 小説
ソードアート・オンライン〈8〉アーリー・アンド・レイト (電撃文庫)
クリエーター情報なし
アスキーメディアワークス


「ソードアート・オンライン(8)アーリー・アンド・レイト」川原礫

「圏内事件」
 犯罪禁止エリア内では、完全決着モードのデュエル以外で人を殺傷することはできない。そんな不文律を犯すような形で、しかも衆人環視の下で殺人が行われた。SAOクリア前の、彼氏でも彼女でもない状態の、でもなんとなく互いを意識してはいるキリトとアスナが遭遇した不可思議な殺人事件。
 意外にもきちんとミステリ形式をとっている。オチはともかく、謎かけに力があった。不可能状態からの殺人、というキーワードには、人を惹きつけるものがある。
 殺人ギルドのPOHやザザなど、因縁深い名前も出てきて興味深い。
「キャリバー」
 ALO内で、聖剣エクスカリバーに関するクエストが発表された。キリトとリーファにとって因縁深いあの剣を、他人にとられてはなるものかと張り切る一行の活躍……もといキリト無双の大活躍をお楽しみください。ソードスキルのキャンセルなんていうのは、ある程度MMOに慣れてる人なら誰でも思いつきそうなものだがな……。
「はじまりの日」
 あの日、ベータテスターとしての知識を最大限に活用してスタートダッシュを切ったキリトは、同じベータテスターのコペルと共同戦線を張った。のだが……。
 生き馬の目を抜く状況、とはいえ、コペルの行動には誰もが疑問を抱くと思う(切羽詰まってたとはいえ、得が少なすぎる)。ベータテスターならなおさら。絶対そんなことはしない。これはちょっとうさんくさかった。
 
 3話からなる短編集。「キャリバー」はぬるすぎるし、「はじまりの日」はMMOをやってる人には納得いかない。「圏内事件」はちゃんとミステリしてて面白かったが、やっぱり長編じゃないとこの人の良さはいきないと思った。熱くないとだめなのよ。
 キリトを弄ぶキャラ。というシノンの開眼(?)はいい感じ。キリトにベタぼれな他の女の子とは違い、キリトをからかって楽しんでるのが新鮮で良かった。もはやシリカとリズベットの見分けがつかない僕としては、非常にありがたい。というか、2人ともおざなりすぎだよ。人数合わせで登場してるぐらいに適当な扱い。固有のシーンがほとんどないんだもんなあ……。