広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

あさぎり号

2012-05-23 22:49:00 | 旅行記
2月の静岡旅行記が終わっていません。今さらですが、続きです。※前回の記事
今回は、帰りに乗車した、「ロマンスカー」でありながらJRに乗り入れる列車「あさぎり」について。

この記事のように、行きは新宿から小田原まで、小田急電鉄の特急「ロマンスカー」に乗った。(乗車したのは「はこね」号、車両は30000形「EXE」)
計画当初は、帰りも同じルートで戻ろうかと思っていた。ところが、時刻表を眺めていると、時間的に沼津発小田急新宿行きの「あさぎり」が使えそうなのを発見。
実は、今年3月のダイヤ改正で「あさぎり」の車両の交代と運転区間の短縮が行われることになっていたこともあり、この機会に乗ってみることにした。
路線図
「あさぎり」は、小田急電鉄小田原線とJR東海の御殿場線を直通する列車。直通列車の起源は1955年までさかのぼり、長い歴史がある。
運転区間や使用車両は変遷があるが、1991年から今年3月までは、新宿-沼津間で4往復が運転され、使用車両は小田急とJR東海が折半していた。
今年3月からは、運転区間は新宿-御殿場に短縮(御殿場-沼津が廃止)、運転本数は3往復に削減(土日は1往復増発)、使用車両は両社担当分とも引退して小田急側の別の車両のみで担当することにそれぞれ変更された。
3月まで使われていた車両は、JR東海の「371系」と小田急の「20000形」。371系は団体用に転用され、20000形は廃車となった。
【2014年12月18日追記】その後、小田急20000形は山梨の富士急行へ譲渡。塗装変更・3両に短縮され、2014年夏から「フジサン特急」で運行開始。JR東海の371系も、JRでの運用終了後の2015年に富士急へ譲渡されることになり、小田急時代のコンビのまま富士山の向こう側を走ることになった。


今回乗ったのは沼津発10時30分、新宿着12時30分の「あさぎり4号」。使用車両は小田急20000形・RSE(Resort Super Express)。
運賃と特急料金合わせて3480円。今回の旅行で小田急を使ったのは「料金を安く抑える」というのが本来の目的であったはずだが、それはほとんど意味がなくなってしまうけれど(新幹線を使うよりは1000円ほど安い【24日訂正・1000円ほど安いとしたのは新幹線料金を指定席で計算していました】500円弱安い)。

面倒だったのが、きっぷの購入。「あさぎり」の指定席特急券は、かつてはJR東日本など全国の駅で購入できたが、2009年以降は場所が限られている。乗車券も2社にまたがる「連絡乗車券」だから、どこでも買えるものではない。
今回、指定席特急券は、行きに新宿駅の自動券売機ですんなり購入できた。細かな座席位置の指定はできなかったと思ったが、Suicaで決済できた。でも、乗車券の購入はできないようだった(窓口なら当然できるはず)。
乗車券は静岡県内に行ってから、JR東海の窓口で購入。「(小田急線)新宿」までと表示された乗車券が出てきた。沼津駅などでも券売機(近距離用・指定席券売機とも)では購入できない模様。


沼津駅へ「あさぎり」が乗り入れるのは、この時点であと1か月ほどとなっていた。
現在は、沼津には寝台列車「サンライズ」以外の特急は1本も通っていないことになる。
ホームへの通路の「発車ご案内」

ホーム。原則全席指定だが、沼津-御殿場だけは自由席が1両だけあった

ホームの発車標には「すてきな旅を」。行き先は「小田急」がつかない「新宿」だけ
ホームの「発車ご案内」では、下段に「特急「あさぎり」号の新宿までの所要時間は2時間です。すてきな旅をご満喫ください。」とスクロール表示され、心憎い。

車両は、おそらく朝いちばんに新宿から来たものの折り返し。いったん引き上げて整備されて、入線してきた。
現在はもう見られない光景

20000形RSE
あまり古さは感じない気もするが、どことなく1990年代チックな雰囲気が漂い、最新型ではないことは分かるのではないだろうか。
そして、JRの車両とも、小田急の他のロマンスカーともあまり共通性がないような、異質な印象も受ける。これは「あさぎり」の特殊性からして、仕方ないものだろう。
フォルムはロマンスカーっぽい?
白・ピンク・水色という、明るい色だけの組み合わせも珍しいが、嫌いじゃない。登場当時、時刻表の写真か何かでこの車両を見て、好感を持ったのを思い出した。
※3色は「スーペリアホワイト」「オーシャンブルー(タヒチアンブルー)」「オーキッドレッド(ピンク)」というらしい
側面には「odakyu」ロゴと「THE LAST RUNNING」のエンブレム
7両編成のうち、2両が2階建て、残りはハイデッカー構造。そのため、車内に階段がある。
ドアをくぐってすぐに階段
これがバリアフリーの妨げになり、比較的早期に廃車されることになってしまったそうだ。
行き先表示のLEDは画素欠けが目立つものも

車内へ。
 
車内は同年代のJRの特急とあまり違わないけれど、床がカーペット敷きなのと、座席がやや重厚感があるのは普通車にしては珍しいかな。
ただし、カーペット敷きなのに、通路を人が通る振動がどしどしと伝わってくるのが気になった。
平成2年 日本車輌製

車内の通路のドアの上にこんなものがあった。
右側
「自動」「手動」という押しボタンがあった。これで、通路のドアを手動扱いすることもできるのだ。
初代東北新幹線の「200系」にも同じ物がついていたが、今の列車にはないアイテム。


沼津を出ると、裾野、御殿場、松田の順に停車。松田までがJR御殿場線で所要時間50分。
乗車した車両の乗客は御殿場までは10人以下。みんな車内後方の席に偏って割り当てられていた。

東海道本線の駅どうしである国府津(こうづ)と沼津を遠回りで結ぶ御殿場線は、丹那トンネルが開通するまでは東海道本線だった。箱根の山越えの急勾配の路線で、かつては難所だった。
僕は以前、国府津-御殿場間は乗ったことがあったので、今回で残りの区間にも乗車できたことになる。
天気がよければ、車窓に雄大な富士山が望めるはずだが…
この日は厚い雲の中

座席には、他のロマンスカー同様、るるぶブランドの車内誌が備えられていた。(この車両が小田原方面のロマンスカーにも使用されるから、当然なのだけど)
それには、車内販売のメニューも掲載されている。JRとは違う、オリジナルのお弁当などが並び、これを食べながら旅を楽しみたいもの…
しかし、「あさぎり」には車内販売も自動販売機もない(乗車当時。現在の車両は自動販売機はあるそうです)。
車内販売は2011年春でやめてしまったそうだ。


御殿場駅には、訓練運転のためだろうか、3月から使われることになる小田急のメタリックブルーの電車「60000形・MSE」が1本停まっていた。
何人も乗り込んできたが、まだ空席が目立つ。「高速バスよりもこっち(あさぎり)のほうがゆっくりできていいね」と話す方々も。

昔は難所だったであろう急勾配をすいすいと下って、静岡県を後に神奈川県へ。松田からは小田急線に入る。
JRの松田駅に隣接して、小田急の「新松田駅」がある。
「あさぎり」はJRの駅に停まり(きっぷなど制度上はここを小田急新松田駅とみなす)、2社を結ぶ「連絡線」を通って、小田急線へ進んでいく。
連絡線通過中の車窓(列車は左へ向かって進んでいる)
御殿場線が上、小田急線が下にあり、連絡線で緩やかに下って行く感じ。

ここからは行きのロマンスカーと同じ。徐々に家が増え、街が大きくなっていくが、やはり思ったほどスピードは出ない。
小田急線内では本厚木と町田に停車。両駅で多数の人が乗り込んできて、ほとんどの席が埋まった。小田急線沿線では、「あさぎり」も新宿へ行くロマンスカーの1つに過ぎないのだ。

この列車では、日本語と英語の自動放送が流れていた。女声で、もしかしたら日本語と同じ人が英語もしゃべっているかもしれない。
だいぶ前に収録されたものらしく、話し方がどことなく“1990年代っぽい”。今、平成初期のテレビ番組を見ていて感じるような感じ?
禁煙や携帯電話使用に関するアナウンスが、その変更の都度、追加収録されたようで、それらの部分の継ぎ接ぎが目立った。
あと、「松田」の日本語でのアクセントを「ま」に置いていた。地元ではそうなのだろうか。それから英語の「本厚木(Hon-atsugi)」が「ホネツギ」に聞こえてしょうがなかった。【25日補足】「ホネツギ」に聞こえるのは「英語の」アナウンスでした。文中「英語の」が抜けていたので追加しました。
新宿に到着。このRSEに乗ることは、もうできない
乗り換えなしで、ゆっくりと座って沼津から新宿まで来てしまえたのは便利で快適。
でも、沼津駅で「すてきな旅を」と送り出してくれた割には、「そっけない旅」だった。もうちょっと、旅らしさ、特別な列車らしさの演出があれば、観光客には受けると思う。きっぷの発売場所とか車内販売を工夫すれば、もっと集客が見込めるかもしれない。
でも、そんなことよりも、御殿場や小田急沿線と新宿を結ぶ日常の交通手段としての利用のほうが多く、そちらをターゲットにしたほうが妥当なのかもしれない。

静岡での小ネタがいくつかあるので、おいおいアップするかもしれません。※次の記事はこちら
コメント (4)
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