広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

日食

2012-05-21 23:37:25 | 秋田の季節・風景
昨日の記事の最後の通り、今朝、秋田でも6時26分から9時10分にかけて部分日食が見られた。

最初に、日食で太陽が欠けた割合の表し方について。
日食の欠けた度合を示すには、複数の方法があるらしい。
昨日の記事では「7時42分23秒が最大(面積で太陽の83.9%)」とした。これは、その通り、太陽の面積のどれだけが隠れたかということ。正式にはパーセントでなく少数で表す(0.839)ようで、国立天文台のホームページでは「面積比」と表記している。
もう1つ「食分」という表し方もあり、「月によって覆われた太陽の直径の度合い」だそうだ。これも小数で表し、秋田の7時42分は「0.892」。数字が1に近いほど、太陽が細く見えるということ?(皆既日食の場合は1以上となる。このように、見かけ上、太陽よりも月のほうが大きくなる場合があるから「食分」という数値を使うんだろう)

NHK秋田のニュースでは「午前7時42分には、太陽の80パーセント以上が欠けた状態になり」としており、結果的には食分、面積どっちでも正しいことになるが、ややいい加減。


では日食の模様を時間を追って紹介します。※画像の明るさ等を調整している写真もあります。
7時25分頃。
某所の2階建て自走式立体駐車場
ここは2階の床が、等間隔に穴の開いた板でできている。
そこを通して、1階の路面(地面)に光が当たって木漏れ日状態になっている。
こんな感じ!
辺り一面に無数の欠けた太陽が整列しているのです!
この段階では食分、面積比とも0.6を越えているはず

“本家”木漏れ日も、
ご覧のとおり(7時30分頃)
写真でも分かると思うけれど、肉眼でぱっと見ただけでも、明らかに通常の木漏れ日とは異なることが分かった。噂に聞いていた「欠けた木漏れ日」を初めて見られて感動。

皆既日食では周りが真っ暗になるというけれど、今回は暗くなるのか?
金環日食でさえ真っ暗にならないと聞いていたので、それほどでもないだろうと思っていた。
快晴だけど…
写真では普通の晴天だが、体感では曇りの日よりは明るいし、影がくっきり出ているが、若干太陽の光が弱いかなという感じ。感覚としては「快晴の日にうっすら“もや”がかかった状態」みたいな。心持ち、体感温度が下がったような気もしなくはないが、はっきりとは感じなかった。(ここ数日に比べると元々気温が高かったし、風速3m/s程度のそよ風が吹いてたので)
さらに細くなる(7時37分頃)

食分・面積比とも最大値とほぼ同じくらいまで欠けた(7時38分頃)
そして、いちばん欠けた7時42分前後。
木漏れ日は重なったりぼやけたりしたものもあり、芸術的

8時頃、食分0.750、面積比0.671。
再び立体駐車場
欠けた場所(位置)が最初と違っている(のですが、撮影した向きが最初と逆だったので、同じ場所が欠けているように見えます)。
魚の鱗みたい

昨日の記事で、穴の開いた硬貨などでもピンホールの原理で日食が見られるとしていたけれど、やってみました。
穴が大きいほど、投影される像は明るくなるが、投影場所までの距離(焦点距離)が長くなる。
まずは5円玉。
8時半頃。食分は0.5を切り、面積比は0.4以下
50センチ以上離さないと太陽の形にならなかった(それ以下だと穴の形になる)し、ぼやけて見えた。

もう1つ試したのは、今はあまり見かけなくなった、テレホンカードなど磁気式プリペードカードの残り度数を示す小さな穴。4つ穴が開いたオレンジカードを使用。
5円玉よりは近い距離(30センチくらい)でくっきりと像が浮かんだ
小さいけれどはっきりと見え、焦点距離の調整もしやすい。
小さな4つの太陽(肉眼ではもっとくっきり見えました)

ほかには、鏡で太陽光を反射させる方法も試してみた。
使う鏡の大きさの200倍の距離の場所に反射させないといけないそうで、鏡の大部分を紙で覆って1センチくらいだけ残してやってみたら、いちおうできた。
でも、反射させるという行為は体を太陽に向けて目で見ながら行うわけで、場合によっては目に光が入ってしまうし、反射させる場所を選んで、さらにその状態で鏡を保持するのが難しい。
屋外の広い場所で大勢で観察する場合などならいいかもしれないが、個人が屋内でやるにはやりにくい方法だと思った。

やはり、木漏れ日や身近な道具類を用いたピンホール投影がいちばん簡単で安全な日食観察方法のようだ。
秋田市は快晴で日食観察日和だったわけだが、金環日食となった東京などのように人々が足を止めて見入るような光景は見かけず、おおむね普段の朝の光景。
でも、出勤途中の信号待ちに観察グラスで太陽を見る女性を1人だけ見かけ、あとはちらりと太陽を見る男性、やけに専門的な日食の話をしながら登校する小学生の女の子がいるなど、皆さん興味はあったようだ。


さて、次に秋田で日食が見られるのはいつだろうか。
報道では、全国的なことを言ったり、秋田にしてもなんかずいぶん先のようなことを言っていたテレビ局もあったようだが…

「北海道大学情報基盤センター北館」という施設のサイト内に「地球上どこでも日食・月食・星食情報データベース」というホームページがある(http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~x10553/)。
これを使えば、世界中どこでも、将来いつ日食などが起こるかを調べることができるという、素晴らしいシステム。(日食の場合「局地情報」から)

それによれば、秋田市では、近い順に2016年、2019年に2回、2020年、2030年…と日食が見られる。
ただし、2016年のは最大食分わずか0.18をはじめ、2020年まではいずれも0.5未満。今回並みに大きく欠けるのは、北海道で金環日食になる2030年6月1日(秋田の最大食分0.885)。
日食があったとしても、その日晴天になるかどうかは分からないわけだから、今回の日食はとても貴重なものだった。
コメント (2)
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