広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

三菱エアロスター

2012-05-08 23:57:22 | 秋田市営バス
4か月ぶりに秋田市営バスの話題。※前回の記事
今までお伝えしたように、旧秋田市交通局は国内のバスメーカー4社すべてと、ほぼ偏りなく取引があった。
しかし、貸切用、路線バス用は大型・中型・小型と車種は多様であり、中でも中型車が多数派だったため、それぞれの車種内では、メーカーに偏りがあった。例えば、路線用中型車で、新しい塗装になった1986年から1996年までに導入された79台中、27台と34%を占めていたのが、三菱自動車製(現・三菱ふそうトラック・バス)。

一方、同じ期間に33台導入導入された、路線用大型車。※ここでは日産ディーゼル製「普通型」5台を含む
その中では、三菱製はわずか2台しかなかった。今回はそんなお話。


三菱の路線用大型バスは、1984年以降は「エアロスター」という車種名を与えられている。(中型は1986年以降「エアロミディ」)
同じ1984年に国内で初めてのノンステップバスとなったのも、エアロスターだった。
1996年にモデルチェンジして、リコール隠し事件や日産ディーゼルとの一時的な提携などを乗り越えて、現在に至る。

上記の通り、市営バスが新塗装になってから2台のエアロスターが導入されているが、その直前にも2台導入されていて、秋田市交通局にエアロスターは計4台あった。


当時の三菱のバスは純正の車体を組み立てる部門が2つ(愛知の自社工場と富山の系列会社)あった。エアロスターはその両者でデザインが若干違い、「エアロスターM」「エアロスターK」と区別されていたそうだ。
物影の弘南バスのエアロスターK(2011年撮影)
上の弘南バスは、「30214-9」号車なので、それから判断して平成「02」(1990)年製。どこかの中古だろう。
上の写真でも分かるように、運転席と反対側のフロントガラスの下が切り欠かれていて窓になっている。
この窓が、現行モデルにも受け継がれるエアロスターの大きな特徴で「視野拡大窓」とか「セーフティーウィンドウ」と呼ばれる。死角を軽減する目的の窓。
実際には、運賃箱に隠れて役目を果たさない(路線バスの場合)とか、ミラーで確認したほうが早くて確実であり、それほど重宝されていないようだし、この部分を埋めた仕様で発注・購入するバス会社もある。
たぶんエアロスターM。中古と思われ、視野拡大窓がない。Kより全体的にやや角張っている(2002年撮影)
【6月6日訂正】↑中型バスのエアロミディとのご指摘をいただきました。(コメント欄参照)
※エアロスターMについてはこの記事後半参照。


秋田市交通局の4台は、どれも富山の呉羽自動車工業→新呉羽車体工業という企業(現・三菱ふそうバス製造)が製造した「エアロスターK」だった。

1985(昭和60)年度。
秋田市交通局では、三菱製の2階建てバス「エアロキング」の「みはらし号(181号車)」、それにモデルチェンジしたばかりのいすゞ「LVキュービック」を使った、路線・貸切兼用の大型車(通称ワンロマ)を6台(182~187号車)導入するなど、積極的な新車導入が行われた。
再掲)いすゞLVキュービック。まさに箱型

その年、数は少なくて目立たなかったが、2台のエアロスターがやはりワンロマ仕様で導入された。
それが、194・195号車。
194号車(2001年撮影)
いすゞの6台と同一仕様だったが、吊り手(つり革)がある(いすゞは棒だけ)、座席の背もたれに黒い突起物がある、窓枠の降車ボタンが立ち上がらないと押せないほど高い位置にある、といった程度の差異があった。
【9日追記】前面の号車番号の表示が、いすゞではグレーの部分に黒文字、三菱では赤い部分に白文字なのも異なる。あと、赤(エンジ)色の色合いも微妙に異なるような気もする。
194号車後部(2001年撮影)
当時は、新屋に南営業所があり、三菱製のバスが集中配置されていたので、この2台もそうだったかもしれない。
当時の僕は、6台あったいすゞのほうも、見たり乗ったりすればうれしかったが、こちらはわずか2台で、乗る機会は極めて少なかったはずで、たまに見かけるだけでうれしかったものだ。
視野拡大窓の存在により、正面が左右非対称になっていることになり、これも斬新に感じたのだろう。
いすゞキュービックは、1980年代らしい角張ったデザインでかっこいいと思ったが、エアロスターもまた、その希少性とデザインが憧れだった。


1986年度は、路線バスの車体塗装が新しくなり、大型車だけ3メーカーから計7台を導入。
日野といすゞは3台ずつで、三菱は208号車1台だけ。
この年の路線バスは、窓や座席などが当時としては豪華な仕様で導入された。(そのわりに床は板張りだった)
非常に写りが悪いですが、2001年撮影の208号車
視野拡大窓によって赤いラインが途切れていたり、「208」の表記が狭いところに小さく書かれているのがちょっとおもしろい。
上の写真で分かる「豪華さ」といえば、「秋田市営」の行灯。それにヘッドライトが四角いこと。
1996年のモデルチェンジ以前のエアロスターのヘッドライトは、原則として丸型だったはず。秋田市交通局では、わざわざオプションで四角くしたのだろう。
【あいまいな記憶から余談】1986年の7台のうち、ごく一部の車両(1台くらい?)は、当初、行き先表示の幕(方向幕)が「白地に黒文字(または青文字)」ではなく「黄緑色(秋田市の色の若草色?)地に白文字」だった。とても見づらかったので、後に他と同じものに交換されたようだ。根拠はないけれど、もしかしたらそれが208号車だったかもしれない。


1987年度はバスが1台も導入されず、1988年度からは中型車を中心として導入が進む。
1988年度に導入された大型車は5台。いすゞと路線用では初導入の日産ディーゼルが2台ずつで、三菱はまたしても1台だけ。
それが214号車。ろくな写真がないのですが、
2000年撮影
この年の大型車は、窓などが普通の仕様になってしまった。正面の行灯はなく、ヘッドライトは丸型だったはず。
ちなみに、この214号車を担当していた運転士だった秋田市職員が、交通局の人員削減にともなって他部局へ異動後、趣味でその模型を作っているということが、当時何度か報道されていた。

この後、大型車自体が1992年度まで導入されなかったが、三菱製のものは最後まで導入されずに終わった。
4台とも、2000年度末(2001年春)で廃車となったはず。


秋田市交通局でエアロスターの導入が少なかったのは、何らかの意図があったのか、それとも単なる偶然だったのかは分からない。
全国的には、三菱のバスを好んで採用しているバス会社が少なくないため、エアロスターはそんなに珍しいバスではない。
しかし、秋田県では、かなりの少数派。現在、秋田市内で見かけることはほとんどない。
羽後交通は中古車など何台か保有しているが、秋田市内へは来ないようだ。
秋田中央交通は、大型車はいすゞ(と市営バスから譲受した日野と最近見かけないけど日産ディーゼル)の中古車ばかり。三菱製の新車は高速バス用がほとんど。(秋田市には来ない秋北バスも、いすゞオンリーなのでなし)
強いて挙げれば、県立特別支援学校のスクールバスや自動車教習所の大型2種教習車くらい。

秋田市のバス路線をエアロスターが走る日は、もう来ないのだろうか。


と思っていたけど、もしかしたら近いうちに何かあるかもしれません。(思わせぶりな終わり方ですみません)
※その後、「何か」ありました(中古のエアロスターが導入された
コメント (4)
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