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今後はhttps://taic02.hatenablog.jp/で更新します

吉原本町

2012-02-15 23:10:03 | 旅行記
静岡旅行記。※前回の記事
雄大な富士山を見るため、富士市を訪れた。富士市は、富士宮市と共に富士山にもっとも近い街と言えるだろう。
以前も何度か触れているけれど、改めて富士市を紹介する。
富士市は静岡県東部の人口25万の特例市。静岡県内では、浜松、静岡に次いで3位の人口。市内には製紙工場が多くトイレットペーパー生産量は日本一で、自動車関連の工場もある。駿河湾に面した「田子の浦港」や富士川もあり、富士川を境に商用電源の周波数が変わる。富士川対岸の富士川町を2008年に編入したので、市内で50ヘルツと60ヘルツが混在することになる。

富士市の鉄道網はちょっと複雑。

富士市の大きな駅は、東海道本線(在来線)の「富士」駅と東海道新幹線の「新富士」駅。
新富士は在来線との接続のない新幹線単独の駅で、富士駅とは直線で1.4キロほど離れている。

富士市には「中心市街地」が2つあり、1つは富士駅周辺。もう1つが旧東海道「吉原(よしわら)宿」だった「吉原本町」で、富士駅からは直線で3キロほど離れている。吉原宿は江戸時代に津波の被害を2度受け、その都度内陸に移ったのだそうだ。ちなみに、いかりや長介は戦争中に吉原へ疎開していた。富士市役所も吉原本町寄りにある。
【2021年10月26日訂正・追記】1995年にNHKで放送された「BSおはよう列島 ふるさと旅列車 いかりや長介 〜静岡県 富士市〜」を見た。Wikipediaも合わせれば、疎開先は吉原ではない富士市内。終戦後も留まり、高校進学、製紙工場就職も富士市。1959年に上京。親はそのまま残ったので、実家が富士市ということになり、番組で訪問(岳南鉄道比奈駅から行っていたかな)していた。


このように、富士市は駅や市街地がだいぶ分散していることになる。
これらを結んで路線バスが走っているし、東海道本線の富士駅の1つ東隣「吉原」駅からは吉原本町方面へ行く私鉄「岳南鉄道」が出ている。


今回はとりあえず吉原本町付近にあるバスターミナルへ行きたかった。
本当なら、吉原で降りて岳南鉄道に乗り換えるのがベストだと思うが、たしか以前吉原駅に降りた時、コインロッカーがなかったと記憶している。富士駅なら確実にロッカーがあるので、富士まで行って荷物を預けてからバスに乗ることにした。

富士駅は北側が表口だが、正面には王子製紙の工場がでーんと構え、その左に商店街がまっすぐ伸びている(前回の記事の写真参照)。
その近くに、2年前に秋田店に先駆けて閉店した「イトーヨーカドー富士店」があった。※以前の記事
電車の窓からも見えるのだが、そこは、
すっかり更地になっていた

富士駅北口のバス乗り場はあまり大きくはないものの、案内所の窓口があった。
富士駅と吉原本町方面を結ぶバスは、昼間はおおむね毎時4本以上は運行されている。吉原本町にあるバスターミナル「吉原中央駅」行きと、そこを経由して各地に向かうものがある。経由違いがいくつかあるようだが、運賃は同額(300円)で時間もそう違わない(約20分)ようだ。
この路線はじめ、富士市内を走る路線バスの多くは富士急行系列の「富士急静岡バス」。他に同系列の「富士急シティバス」と山梨交通系列の「山交タウンコーチ」というバス会社も少し走っている。
塗装は富士急共通。新しい大型バスが多いが、このような古めの中型バスもいた
富士急系列のバスでは、PASMOとSuicaが運賃の支払いに使える。(整理券方式なので、乗車時と降車時の2度のタッチが必要)
乗った感じでは、ICカード利用者はそれほど多くない気もしたが、静岡でパスモが使えるのが意外。僕もSuicaで乗車したが、整理券を持たなくていいし、小銭の準備もいらないのが、とても楽ちん。ただ、運賃が高めなので残額には注意を。

富士駅前では5~6人ほどがバスを待っていた。JRから乗り継いだ人は少なそうで、ほとんどが地元の人っぽい。バスは駅を出て商店街を進む。
ところで、
吉原中央駅の時刻表の隣にあった路線図・運賃表。秋田にもこういうのがほしい
帰ってきてから写真を見て気づいたが、富士駅から500メートルほどの2つ目のバス停「富士銀座」から吉原中央駅まで乗ると250円。50円も安い!
秋田でも山王十字路、大町四丁目、総社神社前、笹岡入口とか、弘前でも中央通り二丁目とか大幅に値上がりするバス停があるんだよね。しかも、最近は車内の運賃表示器は「運賃が変わるバス停名」ではなく、「次のバス停名」が表示されるようになってきている(秋田中央交通ではごく一部の車両だけだが)ので、どこで上がるか分からないし。
【16日追記】富士急静岡バスは初乗りが150円。富士駅直前で50円値上がりするとはいえ、富士駅-吉原中央駅の距離の割に300円は高いようにも感じた。
ちなみに、初乗り160円の秋田市において、秋田駅(特記以外は西口)からの運賃が300円を超えるのは、新屋線:茨島四丁目、川尻割山線・新屋西線:上下水道局前、牛島方面各路線:二ツ屋上丁、神田線:神田、新国道経由各路線:日産サティオ前の各バス停以遠。
手形山団地線、泉ハイタウン線、桜ガ丘線(東口発)などは終点まで乗っても300円未満。
そう考えると、やっぱり富士駅-吉原中央駅300円はなんか高いな…


商店街を抜けると、住宅街のような道。正面または【18日訂正】左に、富士山が大きく見える。
秋田のように曲がりくねってはいないものの、住宅の間の狭い道を進むような区間もある。
「ロゼシアター」という文化会館のそばや総合病院、市役所前などを通り、乗ってくる人がちらほら(降りる人は少ない)。市役所前あたりからは郊外の幹線道路のような広い道で、ロードサイド店も並ぶ。
突然、道が狭くなり、家屋が密集する古くからの商店街っぽい道に変わり、また狭い道へ入ったかと思うと、終点「吉原中央駅」に到着した。


ところで、このバスターミナルは「吉原中央“駅”」という名称。
でも、鉄道が接続しているわけでも、昔は鉄道があったわけでもない。国鉄バスでも「自動車駅」、「バス駅」というものがあったが、それと同じようなものだろうか。

駅には5つのバス乗り場とタクシー乗り場、それに待合室やきっぷ売り場もある。
それらは、道路に浮かんだように島状の「ロ」の字型に配置されており、横断歩道を介して商店街へつながる。というか、横断歩道の上にバスが停まるような配置で、なんとも不思議な光景。
 
駅は壁はないけど(温暖だからね)、すっぽりと屋根で覆われている。屋根は一部が半透明の三角屋根で、柱は錆びていたりして、昭和の趣き。
バスターミナルの一角にあった、
「富士山にQ」で「ふじきゅう」=「富士急」?※これが正式なロゴなんですね。公式サイトにも出ていた

駅の時計には
「時計・宝石は富士急百貨店」
富士急百貨店は沼津駅前にあるようだが、ここから買い物に行く人はいるのかな。

駅からバスが来たのと反対側を見る
吉原中央駅の東には、アーケード付き商店街が続く。
吉原中央駅前の交差点の信号機に付いていた地点名は、
「中央駅」
秋田みたいに、なぜか1方向にしか表示がなかった。

アーケード側から見た吉原中央駅(写真左奥)
上の写真におもしろいものが写っているにお気づきでしょうか。

それは正面の信号機。宙に浮いているように見える。
ワイヤーを渡して、それに信号機を吊り下げている!
「懸垂式」と呼ばれるもので、存在は聞いていたが、実物は初めて見た。
秋田市にもあるようなまとめてアームからぶら下げた信号機も珍しいが、これも変わっている。※秋田のようなものも「懸垂式」と呼ぶ場合があるようだが、より正確には「集約式」だろうか。
【2023年5月8日追記】静岡県では、ここのような信号機をワイヤーに吊り下げて設置することが、たまに行われていて、静岡市清水区など県内のほかの場所にも複数存在するとのこと。信号柱が立てづらい環境の場合、他県では長いアームに設置することが多いが、静岡県警はワイヤーも主要な選択肢のようだ。


アーケードの商店街を歩いてみた。

古い建物が多く、空き店舗・空き地もあるが、それなりにお店はある。衰退が著しい秋田市中心市街地と比べてしまうからかもしれないが…
町の果物屋さんが生フルーツを使ったゼリーの店として有名だったり、ご当地グルメ・B級グルメで知られてきた「つけナポリタン」の店なども。
つけナポリタンって、昔から富士市に存在するのかと思っていたが、2008年にテレビ東京の番組と吉原商店街が企画開発したものなのだそうだ。今回は食べなかったけど。
アーケードのすき間に富士山

バスターミナル・吉原中央駅から600メートル東に進むと、アーケードの東端。
そこに、商店街の中にしては大きくて立派なビルがあった。
右側のビル
これは、「東京電力富士支社」だった。
なるほど。静岡県内でも50ヘルツのエリアは東京電力の管轄なわけだ。
東北電力では「支店」や「営業所」という組織はよく聞くが、「支社」というのは耳慣れない。東北電力の支社は、会津若松支社1つだけで「発電・変電・送電・配電・販売までの全ての組織を包括」しているという。東京電力では支社がたくさんあるが、業務内容は同じだろうか。(富士支社の建物は、秋田市山王の東北電力秋田支店や広小路の秋田営業所と大して変わらない規模に感じた)
東京電力といえば、昨今の事情により、厳重な警備が敷かれているイメージがあった。でも、この日は休業日だったとはいえ、富士支社の前には(関係者も部外者も)誰もいなかった。
東電富士支社・アーケード末端のすぐ先が踏切
これが岳南鉄道線。
踏切の向かいに小さな建物があり、それが、
吉原本町駅
思ったよりずっと小さな駅。ホームは1本だけで、弘南鉄道大鰐線の「弘高下」駅あたりにどことなく似た雰囲気。
これではバスの吉原中央駅のほうが立派だ。吉原本町商店街の両端に、バスと鉄道の駅があることになる。
吉原本町駅は日中は駅員がいるそうで、1時間に上下2本程度、首都圏のお下がりの電車が走るほか、沿線の工場でできた紙製品などを輸送する貨物列車もある(が先行きは明るくないような話もある)。
岳南鉄道も富士急行の系列会社で、1998年まではバス部門もあったそうだが、富士急静岡バスへ移管されている。

いつか岳南鉄道に乗ったり、つけナポリタンも味わってみたいが、今回は吉原中央駅へ戻ってバスに乗る。続きはこちら
※中心部のバス「ひまわりバス」についてはこちらで少し取り上げています
コメント (4)
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富士山

2012-02-12 19:46:43 | 旅行記
静岡旅行記。※前回の記事
今回、富士山をしっかり見られたのは、1日だけだった。
富士山の姿は過去に何度か紹介しているが、2010年末に新幹線で通過した時と比べると、雪が少ない。
「富士山の火山活動が活発化して雪が融けている」という噂が一部であるようだが、そうではなく、気象上の問題で、そもそも雪が降らないのが原因だという。
Googleマップより。上の赤丸が富士山
以下、上の地図で赤い四角で囲った箇所付近からの見た富士山です。東から西へ紹介します。

泊まった三島駅前のホテルから、富士山が見えた。
朝日を浴びる
三島から見ると、正面に「宝永火口」が見える。
日が昇ってから

東海道本線(在来線)に乗って西へ。
沼津付近のはず
手前の「愛鷹山」に隠れて控えめ。
右側の斜面の方が雪が多い。

沼津市西部の「原」駅で下車してみた。「はら」のアクセントは、「は」に置く。
※降りた理由は、三島-富士間通しの運賃より、原で分割したほうが20円安くなるからです…
駅の外の自転車置き場の向こうに富士山
駅前に出ると住宅に隠れてよく見えず、駅のホームからの方がよく見えた。
宝永火口が右に動いた
こちら面は、だいぶ山肌が見える。

東海道本線では富士山にもっとも近い一帯、富士市の富士駅で下車。
※「富士宮」や「富士川(現在は富士市内)」は別の駅・町です。
商店街の向こうに雄大な富士山
この辺りから見ると、宝永火口は右に位置し、火口は見えない。その部分にできた寄生火山「宝永山」が右に出っ張って見えるのだが、上の写真では建物の影。
富士市内はじっくり見たので、また後日。

夕方になって、さらに西へ。
富士川を渡る
富士市の街並みの向こうに、夕日を浴びる富士山。
東海道本線の電車は、蒲原(かんばら)、由比(ゆい)、興津(おきつ)と海沿いの旧東海道に沿って進む。
以前登った「さった峠」などの山が海に迫っており、一時、富士山が見えなくなる区間がある。

由比を過ぎた付近では、見えるには見えるのだが、横の窓からは見えない。
後部の窓からなら見えます!(上り電車では前)
正面に富士山。右に国道1号線と東名高速、そして海という風景。(道路があるので海はあまり見えません)
山と海岸線に沿って線路がカーブしているため、富士山は若干動く。
 

そして、清水で下車。日が落ちて、暗くなる直前。
清水駅自由通路から(空の白い物体は照明の映り込み。手前の輪はオブジェ)
翌朝、清水港からの富士山が見られるかと思っていたが、霞んでいて輪郭がぼんやり見えただけだった。
どんな富士山に出会えるかは、その時の運。

※次の記事はこちら

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まる子バス

2012-02-08 21:33:45 | 旅行記
今回の旅行(前回の記事)では、静岡市より東側を中心に回ったので、昨年10月に新駅ビルができたという静岡鉄道新静岡駅など、旧静岡市へは行くことができなかった。
でも、静岡市清水区(旧清水市)には少し滞在した。
※静岡県には、三島と沼津の間に駿東郡「清水町(しみずちょう)」という自治体もあってややこしいのだけど、以下、ここでは静岡市清水区を指して「清水」と表記することにします。

清水といえば、三保の松原、はごろもフーズ、サッカー、次郎長などなど。
秋田市御所野にも一時期出店(2010年6月閉店)していた「戸田書店」の本店・本社が、JR清水駅近くの商店街「清水銀座」にあったのだが、2011年1月で店舗は閉店(本社機能は継続)してしまっていて、シャッターが下りていた。※以前訪れた時の記事
秋田市でいう、昔の加賀谷書店とか三浦書店みたいな「街の大きな由緒ある本屋さん」の店構えだったかと思う。清水銀座は比較的空き店舗が少ない商店街だと思うが、書店がなくなってしまったのは寂しい。

清水銀座の裏側を「巴川」が流れており、その近くで生まれ育ったのが、さくらももこ。

以前はなかったかと思うが、JR清水駅のホームからエスカレーターで改札のある2階へ上がると、こんなパネルがあった。
「まるちゃんが生まれた町清水へようこそ!」
20代とおぼしき女性2人連れが2組、「わー! まるちゃんだ!」と喜んで写真を撮っていた。
駅からも遠くない、海に面した商業施設「エスパルスドリームプラザ」内にある「ちびまる子ちゃんランド」の宣伝を兼ねたパネルのようだ。

清水の人物といえば、今は次郎長よりもさくらももこというかちびまる子ちゃんと言えるかもしれない。

ちなみに、上のパネルは、現在放送中のアニメーションと同じタッチ。
長期間続いているアニメは、途中あるいは同時期でも担当者によってキャラクターのデザインが違ってしまうことが多い。(ドラえもん、クレヨンしんちゃん、忍たま乱太郎など)作画の方針などのためだろうが、初期から見続けている者としては、違和感を感じてしまう。
「ちびまる子ちゃん」もそうで、1990年の放送開始当初は回によってデザインが違うことがあったが、徐々に統一されたようだ。1992年からの中断を挟んで1995年の放送再開当初はまた異なるデザイン(目が顔の中央に寄っている)だった。
その後、ここ何年か(もう10年くらい?)は、顔がバタっとした平べったくて頭でっかちなデザインになってしまい、個人的にはかわいくないと思う。原作とも違うようだが、今もアニメの脚本監修をされているさくら先生はこれでいいと考えているのだろうし、若い人たちにはこれがまる子なのだろうけれど。


静岡市との合併(2003年)と政令都市化(2005年)があり、今は静岡市の一部になった清水だが、新しい静岡市はさくらももこの出身地であることをPRに活用しているようだ。
例えば、JR清水駅の自由通路両端の出口「江尻口」「みなと口」の表示には、さくらももこのイラストが使われている。(おそらく2010年頃から)

今回は、こんなものを発見。
さくらももこのイラストのバス
記事冒頭の写真も参照いただきたいが、全面がピンク色ベースで、正面には明らかにさくらももこのタッチ(アニメではなく原作の)の人物の顔と「静岡市はいいねえ。さくらももこ」の文字。
行き先表示は「清水まちなか巡回バス 100えん」と表示されている。

まず、「清水まちなか巡回バス」とは、静岡市が運行している市街地循環100円バス。運行は地元のバス会社「しずてつジャストライン」西久保営業所が行う。
駅・観光施設・公共施設などを30分かけて1周し、昼間に毎時3本、片方向で運行されている。
2007年から運行されているらしいが、2011年7月11日からはこのさくらももこによるイラストのラッピング車両が使われている。

「静岡市はいいねえ。」というのは「静岡市シティプロモーション」という、静岡市が行う観光事業(?)のキャッチフレーズらしく、車体に市章と「静岡市」と表示されているので、静岡市が広告主となったラッピング広告だと考えられる。
また、これと似たデザインの静岡市PRのラッピングバスが、2008年に東京都営バスで走っていたそうだ。

ところで、正面に描かれた顔。
清水駅自由通路出口のイラストと同一人物のようだが、僕は最初、まる子の姉の「さきこ」さんに見えた。一般的なちびまる子ちゃんはおかっぱ頭だけど、こちらはおさげだし。
しかし、よく見るとお姉ちゃんとは少し違う顔立ちで、「ちびまる子ちゃん」以外の自伝的作品に登場する、成長したまる子に似ている。
おそらく、「ちびまる子ちゃん」の小学校3年生当時より少し大きくなったまる子=さくらももこの姿だと思われる。
したがって、これを「ちびまる子バス」としてもいいだろう。

このバスを見た観光客らしき女性たちも「これってお姉ちゃんでしょ?」「お姉ちゃんメインなのかね?」などと会話していた。
まあ、多くの人がさくらももこの絵であると認識できるだろうし、清水はさくらももこの出身地であることは知れ渡っているし、実際に名前も書いてあるからいいだろうけど。

他の面のデザインも見てみる。
運転席側
運転席側は、前(上の写真右)から順に、三保の松原(清水区)、久能山東照宮(駿河区)、富士山・港・茶摘み(清水区・駿河区の日本平?)。所々でミカンが実っている。
どのイラストにも、まる子がいる。久能山東照宮の建物はかなり精密な絵。
駿河区は清水ではなく旧静岡市なので、清水に限らず合併後の新・静岡市全体の風物が描かれていることになる。
三保の松原の天女がまる子

ドア側
前(写真左)はマグロ、顔が描かれた中ドアを挟んで後部は富士山と桜えびの天日干し。こちらもミカンがなっている。
上のパンダのイラストは、バス会社の所属営業所識別のステッカー
マグロを見ているまる子は、背が小さく子どものようだが、右(車体後部)で桜えび干し作業をするのは、大人のまる子だろうか?
清水より東に位置する、桜えびの水揚げで有名な「由比」や干し場がある富士川河口の「蒲原」は、それぞれ2008年と2006年に静岡市と合併し、清水区の一部になった。

後部
後ろは富士山とまる子の顔。
4面とも「静岡市はいいねえ。」のフレーズが書かれている。

このラッピングバスは、同デザインが少なくとも2台は在籍し、清水まちなか巡回バスの専用車両となっているようだ。
しずてつジャストライン西久保営業所には、いすゞと日野ブランドの大型バスが多い印象だが、この車両は中型バス。
車種は縦に2つ並ぶヘッドライトが特徴的な「いすゞエルガミオ」かと思ったが、
「HINO」!(1つ上の写真のリアウインドウにも表示がある)
HINOと表示してあるからには、いすゞエルガミオと同仕様で、いすゞが製造して日野に供給して発売される「レインボー2」だ。(現在は製造部門が合弁会社に統合されている)
現在発売中の日野レインボー2は、ヘッドライトのデザインが違う(左右1つずつ)ので、そこで区別ができるのだが、2004年から2007年まで製造されていた初代は、いすゞと日野でまったく同一の外観だったのだ。(ブランド表示を見ない限り識別できない)
ということは、そんなに新しい車両ではないということになる。

よく見ると、バンパー、屋根のクーラー、タイヤホイールは、しずてつジャストラインの一般塗装車の色が見えており、あくまでも一般路線バス車両にラッピングバス広告としてこの塗装にしたものなのだろう。(一方で、ミラーのアームはピンク色になっている)

凝ってるなと感じたのが、LEDの行き先表示。
あまりうまく撮れてませんが
左端はバスが笑っていて、右端は100円玉。
そして「清水まちなか巡回バス」の書体がおもしろい。楷書体にも見えるが「教科書体」だろうか。
後部の表示は文字だけで明朝体のようだ。
長野市の川中島バスでは、正月の回送時に、毛筆体(楷書体)で「謹賀新年」と表示しているのだが、行き先表示にゴシック系以外の書体が使われるのって、全国的にこれらぐらいではないだろうか。


この「ちびまる子バス」と「清水まちなか巡回バス」を踏まえて、我が秋田市を見ると…
・ラッピングバス
まる子バスは、今や絶大な知名度と人気を誇るさくらももこが手がけ、そしてラッピング広告バスの経験が豊富なしずてつジャストラインの組み合わせ。
それだけに、例えばタイヤや中ドア周りの処理がしっかりしていて、大事なデザインが欠けたりせず、ドアが開いても問題ないように配慮されている。
どの面からも「静岡市はいいねえ。」のフレーズを見ることができ、意図が明確に伝わる。

それに引き換え秋田市。この記事などで何度かアップしたように、秋田市が広告主となって、公募した秋田らしいデザインのバスを走らせている。
でも、タイヤやドアを考慮しないデザインだったり、説明がないので知らない人は誰が何の意図でこんなバスを走らせているのか分からず、もったいない。
【9日追記】そういえば、モチーフとなったのはどれも合併前の旧秋田市の風物ばかりで、旧雄和町、旧河辺町のものは取り上げられていないのも、静岡市と対照的。

秋田市には登場から10年経つ「三平バス」もあるが、これもぱっとしない。
秋田中央交通創業80周年を記念して、同社社長と旧知である秋田出身の漫画家・矢口高雄氏に依頼してデザインしたもの。しかし、そんないわれは知らない人がほとんどだろうし、矢口氏の出身地や釣りキチ三平の舞台は、秋田県内ではあるが秋田中央交通の営業エリアとはあまり関係ないのだから。

・市街地循環バス
清水は“巡回”バスというネーミングが珍しいと思うが、市街地を中心に、地元の人も観光客も使えるコース設定という点、片方向のみの運行、運行時間帯、運行距離などからすると、弘前市の弘南バスの「土手町循環100円バス」とよく似ているように感じる。
清水の場合、駅周辺は一般路線バスも100円で乗車できるようになっているので、利用しやすい。

誰でも乗れる100円バスがなく(別に100円でなくてもいいとは思うが)、市街地循環バスもない秋田市。
他の都市にどんどん差をつけられて置いていかれそう。



ところで、フジテレビ系列で放送中のアニメ「ちびまる子ちゃん」は、先日2月5日の放送が999回目。
次回、12日の放送(1時間特番)で放送1000回目だそうだ。
また、昨年は作品誕生(原作)25周年も迎えていて、すっかり国民的作品になったと言える。
僕はけっこうちびまる子が好きでして、機会があればウンチクでもお届けします。

※旅行記の続きはこちら

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ロマンスカー

2012-02-07 23:31:19 | 旅行記
新幹線で上野駅に着いてその続き。
実は今回の旅行の目的地は静岡なので、さっそく向かう。とりあえずの目的地は、静岡県東部の三島市。
以前試算したように、秋田-東京都区内間で「えきねっとトクだ値」を使った場合、秋田から静岡方面まで通しのきっぷを買うよりも、東京で分けたほうが安く付くようだ。

東海道新幹線なら乗り換えなしで1時間弱。自由席なら3890円。
在来線の東海道本線なら、約2時間(熱海で乗り換える場合が多い)。2210円。お好みでプラス950円(休日は750円)でグリーン車を利用できる。

東海道新幹線や東海道線は何度も乗っているので、ほかに目新しい移動手段はないかと考えてみた。
東名高速バスもいいかなと思ったが三島をはじめ市街地から離れた場所にバス停があり、慣れない者には難しい。

もう1つが、新宿から小田原まで、小田急電鉄を利用する手段。
上野から新宿までは、改札を出なければ「トクだ値」で追加料金なしでJRで移動できる。
小田急には、特急である「ロマンスカー」が走っているし、調べてみると料金がJRよりも割安。

新宿-小田原の小田急は1時間強で、特急料金込みで1720円。
小田原でJRに乗り換えて、小田原-三島が普通列車で45分、650円。計2370円。
【8日追記】小田原-三島の途中駅である、熱海駅以東がJR東日本のSuicaエリア、1つ隣の函南駅以西がJR東海のTOICAエリア。両エリアをまたがってICカード乗車券での利用はできないので、乗車前に乗車券の購入が必要です。(近距離券売機にICカードを入れて乗車券代を支払うことは可能)
また、小田急の駅や周辺のJRの駅なら、小田急新宿-三島間などで2社分を1枚のきっぷで発券できる場合もあるようだ。(単に合算されるだけで特に値引きになるわけではなく、発券できる駅は限られているようだ)

時間と乗り換えの手間はあるけれど、東海道新幹線よりずっと安いし、東海道本線をグリーン車に乗るよりも安い。
そういえば、僕は小田急の一般の電車にすら乗ったことがなかったし、いい機会だ。(小田急バスも乗ったことないけど、関連会社の立川バスのリラックマバスに乗ったし、お下がりで秋田中央交通に来たバスにはお世話になってます)


全席指定のロマンスカーのチケットは、全国の旅行代理店で購入できるようだが、当日に駅でも購入できるらしいし、乗車券はPASMOやSuicaを使える。とりあえず上野から新宿へ向かう。

東京からなら中央線快速で1本だけど、上野から新宿へは、山手線内回りで1本だけど25分ほどかかる。
山手線外回りで神田へ行き、中央線快速に乗り換えると、20分かからないので、こちらを選択。
ところが、神田へ着いたところで東京駅で事故が発生して、一円の在来線全線が運転見合わせ。
地下鉄銀座線への振り替え輸送をすると案内があったものの、新宿へ行くにはどうにもならない。みるみる駅構内に人が溜まってどうなるかと思ったが、中央線快速は15分ほどで運転再開。
混雑していた最初の1便を見送って、再開後2本目の便に乗って新宿へ。

あまり考えずに出た改札口は、東口。こっちには小田急の改札や券売所はないらしく、メインの西口までぐるりと回り、また時間ロス。
小田急百貨店のある西口には1階と地階の改札前に窓口も券売機もたくさん設置されていて、どちらでも待たずにロマンスカーの特急券を購入できる。改札口の中にも「次のロマンスカー」専用券売機があった。
券売機はJRの近距離用券売機とよく似たもので、特急券の購入にもPASMOやSuicaを使えた。乗車券も一緒に発券するか聞かれるが、PASMO・Suicaを使うのなら、特に必要はない。
※車内で特急券を購入すると300円高くなるので、乗車前の購入がお得です。

1階の改札口を入ると、すぐホーム。
上野駅の低いホームのように、線路が行き止まりになっていて、跨線橋などがないヨーロッパ風のスタイル。


さて、小田急ロマンスカーには、国鉄の車両へも影響を与えたような各時代の最新技術の車両が投入されてきた。
歴代のロマンスカー用車両には、「◯◯形(がた)」という数字の形式(JRなどの「系」ではない)のほか、アルファベット2~4文字の愛称が与えられている。
現在は6つの形式の車両が使われている(うち2形式は3月で引退)。ダイヤによって使用する形式が常時固定されているものと、日によって形式が異なるものがあるが、公式サイトで空席照会すると、いずれも形式が表示される。指定券にも表示されていた。

初乗車となった小田急ロマンスカーの車両は、これ。
30000形「EXE」
1996年に登場した、現在3番目に新しい形式。「EXE(エクセ)」は「Excellent Express」の略。
ロマンスカーの中で多数派のようで、この日の前後の列車はどれもこの形式のため、選択の余地がなかった。

このEXEは、他の形式にある展望席がないなど、ロマンスカーの中では異端の存在。正直、そっけなく、あまりカッコイイとは思えないデザイン。
ロマンスカーは元々、首都圏と箱根の観光客輸送を目的としていた。しかし、通勤需要が増えてきたため、それに対応すべく日常の足としての使用目的も含んで設計・製造されたのが、EXEなのだ。

ロマンスカーは、本線を完走する新宿-小田原間で昼間は毎時3本程度が運行されている。(別に他の区間の運行もある)
今回乗った「はこね」は小田原から先、箱根登山鉄道に乗り入れて箱根湯本まで行くので、運行形態としては正統派ロマンスカーということになる。
EXEは10両編成だが、前6両と後ろ4両に分割でき、この時は後ろ4両が小田原で切り離しだった。僕は小田原までのきっぷを購入したためか、後ろに割り当てられた。
前の方の車両には、箱根に行くであろう旅行客っぽい人が多かったが、後ろの車両は、直前にきっぷを買って飛び乗ったような身軽な格好の人ばかり。旅行客は僕だけみたいな雰囲気。2人掛けに1人は座っている。
EXEの車内
車内は落ち着いた雰囲気で、なかなかいい。
JR東日本は最近はわりと明るめの内装を好むようで、それも悪くないが、これも悪くない。
座席
JRの特急並みのシート。テーブルは肘掛けに内蔵。
リクライニングの角度が思ったより浅い以外は、快適。
各席のポケットには、「るるぶFREE ロマンスカー箱根・小田原 冬」という車内誌が備えてあった。車内販売のメニューのほか、列車の時刻表も掲載されていて便利。
JR北海道の車内誌にも時刻表が出ているが、JR東日本の車内誌「トランヴェール」にはない。ページが増えてしまうからだろうが、今どのへんで、次の駅までどのくらいかかるのか把握できるので、ほしいところ。

車内販売は乗らない列車もあるが、この列車には乗っていた。
弁当・お菓子・グッズなど豊富な品揃えで、JRの車内販売に引けを取らない。


発車してもしばらくは、列車が多いためか思ったほど飛ばさない。通過する駅名が判読できるくらい。
初めて通る路線・駅なわけだが、「出没!アド街ック天国」か「モヤモヤさまぁ~ず2」あたりで取り上げていたような地名がちらほら。
車掌は「キタミ車掌区」所属とのことだったが、「喜多見」という駅があった(世田谷区)。テレビのかつら制作の「山田かつら」があった。
やがて多摩川を渡って神奈川県へ。
斜面に階段状にびっしりと家が建っていたりして、つくづく人が多いんだなと思ってしまう。

後ろの席には、都内で買い物して帰宅するといった感じの奥様2人連れ。
車内販売で飲み物を買って、「あら、もう多摩川よ」などとお話している。
新宿から30分で「町田」。車内の3分の2ほどが降り、少し乗ってきた。
さらに10分強で「本厚木」。ここで後ろの奥様はじめほとんどが降りていった。やはり、沿線住民の移動手段としての需要が多いことを感じさせられた。
この辺りまでの特急料金は400~550円。それだけの追加料金を払ってでも、快適に早く移動したいという気持ちは分かる。

本厚木を出ると、30分ほどで小田原。
車内のお客はまばらになり、沿線の風景ものどかになった。
日が落ちてあまりよく見えないが、富士山が控えめに見えたようだ。東海道本線と違い、海は見えない。
そしてすっかり暗くなった小田原に到着。あっけなかったけれど、快適だった。

なお、帰りにも別のロマンスカーに乗ったので、後日アップしたい。※こちらの記事
そして、いつかまた、50000形「VSE」などの新しいロマンスカーにも乗ってみたい。

静岡では、こんなものなどを見ました。
やっぱり富士山!

ビタミンカラー?
詳細は続編で。※次の記事はこちら
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冬のトクだ値の旅

2012-02-06 23:51:05 | 旅行記
先日、秋田から首都圏まで新幹線を使っていかに安く行くかについての記事をアップして、えきねっと「トクだ値」を取り上げた。
なぜそれをネタにしたのかというと、自分がそれを使って出かけたからです。今回からその様子を紹介します。

ひところの大荒れは収まったものの、冬景色の秋田。
秋田駅西口
目的地の天候を考慮して、普通の靴、薄手のコート、手袋の装備。マフラーは迷ったけれど荷物になりそうでもあるので省略。
バスに乗って駅までの途中、妙に薄着なような気がして落ち着かないし、靴が滑ったり水がしみたりしないか気にしながら、久々の秋田新幹線のホームへ。(冒頭の写真も)
これから向かう先を見通す
ホームの柱の根元には雪が集められ(秋田駅のホームはこのような除雪方法)、さらにうっすらと雪が覆い、おまけにさらさらと雪が降り続ける。運休にならなかったのが幸い。
こまちと秋田拠点センター・アルヴェ(奥の黒いビル)
アルヴェの右上に、NHK秋田放送局のリモコンカメラが付いている。この位置から手を振ると、あの時のようなおもしろいシーンになるわけです。

今回は、えきねっと「トクだ値」を使ったわけだが、発売席数に制限がある。
列車全体としては空席があったとしても、トクだ値の枠が埋まっている場合もあり得る。
予約に際して、えきねっとで空席照会すると、シーズンオフの時期だけに、一般席はほぼ全列車が「◯」印。しかし、トクだ値枠は多くが「△」。
僕が行きに乗ったこまちは、えきねっと枠も「◯」だった。

各列車につき何席と数が決まっているばかりでなく、どうも何号車の何番席がトクだ値用の席というように、席番もあらかじめ決まっているようだ。
【2013年10月7日追記】この後、2012年12月14日乗車分から、購入者が好きな座席をシートマップ(座席表)で選べるようになった。(トクだ値でない、正規の座席予約では以前から対応していた)空席であれば、号車や位置の制限なくどこでも選べるらしく、トクだ値利用者が一角に固まることはなくなった。以下は、シートマップ対応前の状況です。

こまちの普通車は、12~16号車の4【訂正】5両。
座席が青い15・16号車は元自由席だった車両、茶色の12~14号車は最初から指定席だった車両。
実は両者では座席の間隔が異なり(91センチと98センチ)、茶色いシートの車両のほうが若干ゆったりしている。(両者を揃えるとなると、窓の配置も変えなければならないので、難しいのだろう)

今までの経験上、(混雑時は別として)秋田と首都圏方面の指定席を取ると、14・13号車辺りに割り当てられることが多く、狭い15・16号車になることは少ない気がしていた。一方、宿泊とセットになった「びゅう」の旅行商品では、東京方面であっても16号車辺りに座らせられるというような話も聞いた。
おそらく、パック商品用にもあらかじめ席が決まっており、正規料金の客と割安なパックの客とで差をつけているのではないだろうか。

では、「トクだ値」の場合は? 安いからやっぱり狭い車両だろうか?
トクだ値は予約の段階では、座席位置(窓際か通路側か、端っこか真ん中か)を希望することまではできるが、号車と席番までは希望できないし、きっぷを手にするまで分からない。

結果としては、どうも13号車の若い番号の一角が、「トクだ値」枠とされていると推測される。
行きも帰りもそうだったし、座席表を表示させて(正規料金の席の)空席照会をすると、おそらくすべての列車でその一角が予約できない(予約済み扱い)ことになっているから。

僕は座席位置は特に希望しないで予約してみた。すると行きの席は、
13号車1番D席!
4時間に渡って、壁というか「金萬」の広告を見ながらの旅でした…
それはいいのだけど、ドア上の電光掲示が見づらいのと、
この設備がなんとも
テーブルが質素(2席分一括で、折りたためなくて狭い)で遠く、網袋がなく(だから車内誌「トランヴェール」が読めない)、足元がやや窮屈なのが使いづらい。
まあ、乗ってしまえば大した違いはなく、お安く乗せてもらってるんだから、いいけどね。

なお、乗った車両はたしか「R18」編成。後期に追加製造された車両なので、座席の座面スライド機構、フットレスト(JR東日本の普通車では珍しい)、ペットボトルホルダーが付いている。(壁際席はペットボトルホルダーの位置がずいぶん高い)

周囲の席は、2席につき1人といった込み具合。仙台からぞろぞろと乗ってきたが、トクだ値利用者で相席になった人はいなかったようだ。(トクだ値だと仙台からはこまちに乗れないから、上りは盛岡の時点で空席なら、以後は乗ってこないということか?)

そしてこの席は、車輪(台車)の上に位置する。
秋田駅を発車すると、線路に積もった乾いた粉雪を巻き上げ、窓の外が真っ白になってしまった。それが一段落すると、
窓にびっしりと雪が付着
外はきれいな青空なのに、これでは景色が楽しめない!
その雪はやがて氷っぽくなり、さらに自分の重さと風圧で窓の右下へ集まり、徐々に視界が広がった。
雪の隙間から角館駅のホームを覗く
角館や県境の仙岩峠の雪は多いことは多い(秋田市に比べればずっと多い)のだけど、あちこちの豪雪のニュースで見慣れてしまったせいか、メチャクチャ多いという気はしなかった。
盛岡到着
盛岡にしては雪が多いと感じた。秋田市よりは少ないが、しっかり積もっている。
盛岡駅では、先に新青森から到着している「はやて」の後ろに連結するため、2分停車する。

ところがこの時は、「連結後、車体に付いた雪を落とす作業を行います」とのこと。「この先、安全に走行していくための作業」であり「3~4分ほどかかる」そうだ。
たしかに、車体の雪が落ちて、車体やホームの設備や人に被害を与える恐れがある。

「東日本アメニテック」という、JR東日本盛岡支社の子会社の社員がホーム上にいて、おそらくホームの下にいる人に指示を与えていたようだ。
結局、定刻より5分ほど遅れて盛岡を発車。

盛岡からは新幹線らしく275km/hでびゅんびゅん走る。窓に残っていた雪は、全部飛ばされてしまった。
仙台には3分遅れで到着。
仙台発車後
仙台の雪は盛岡よりはさらに少ないが、やはり仙台にしては多い。家々の屋根も白い。
白河の関を越えて関東平野に入った辺りで、やっと沿線の雪はなくなった。
冬枯れの田んぼの遠くに雪山

そうこうしているうちに、(節約のため、東京でなく)上野に到着。
上野は1985年から1991年の間だけ、新幹線のターミナル駅だったわけだが、今は昔のお話。
新幹線ホームから1つ上のフロア
地下何階っていうのか知らないが、改札と新幹線ホームの間のフロアはがらんとしている。かつてはもっと店があり、何よりも人が多かったはずだが、今はコンビニと待合室が1つずつあるだけでほかは何もない。
施設のデザインが当時のバブル初期っぽい、いわゆるバブリーな感じがして、それがさらに淋しさを感じさせる。
たしか開業時は「東洋一」と言われた長いエスカレーター。下からの風が強い

東京は雪がない青空、そして人が多い(この写真にはあまり写ってないですが)

なお、こまちは行きも帰りも、秋田運輸区の車掌だった。
以前の記事で、他社に比べて、JR東日本の車掌は客室への入退室時の礼が雑に見えるということを書いた。
しかし、行きの車掌さんは、とても丁寧な礼をしていたのが印象に残った(ドアの真ん前の席だったので)。
また、途中駅で降りる客向けに、「この後の駅から乗車する客もいるので、ゴミの片付けやリクライニングを戻すようにご協力を」という放送をしていた。JR東海の車掌がよくする放送だが、東日本では珍しい。実際、ゴミをそのままにして行く客がいるんだよね。

帰りの「トクだ値」は、予約時は「△」で、13号車の4番席になった。トクだ値枠は行きと同じくらいの込み具合か。奇遇にも行きと同じ「R18」編成。
楢山の秋田車両センターには、試運転に来ているようでE6系が停まっていた。


目的地は東京ではなく、まだ先があります
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リゾートしらかみの旅

2011-10-25 23:59:30 | 旅行記
前回、車両の設備やハイブリッドシステムを紹介した、快速「リゾートしらかみ」の新しい青池編成。この記事では、その秋田-弘前間の旅の様子を紹介します。
※gooブログではカテゴリーやジャンルを1つずつしか設定できないので、とりあえず「旅行記」カテゴリー、「青森県」ジャンルとします。


行きは「リゾートしらかみ3号」。秋田11時04分発、弘前15時55分着。快速列車とはいえ、210.2キロを5時間近くかけて走る。
リゾートしらかみ3号に続行して秋田を出発(11時10分)する奥羽本線下り普通列車に乗れば、各駅停車かつ途中の大館で30分待ち時間があるのに、弘前着は14時20分。(距離は148.4キロ)いかに「リゾートしらかみ」がのんびりした旅なのかが分かる。


この列車は、10分前に到着する東京発の始発新幹線「こまち13号」からの乗り換え客も多いようだ。(他のリゾートしらかみ下りは秋田発8時台と14時台)
弁当を買ったり、場合によっては指定席券をまだ買っていない人もいるだろうから、もう少し接続時間が長くてもいいようにも思う。

少し触れたように、10月18日にリゾートしらかみの累計乗客数が100万人を突破した。平日400人、休日500人程度が乗車しているそうなので、我々は100万数千人目の乗客といったところか。
車内はそれなりに埋まっているが、空席もある。
たまにネット上で「リゾートしらかみは指定席を取るのが困難」といった情報を目にするが、それは最混雑期(オンシーズンや格安きっぷ適用期間中の特定列車)だけの話であり、経験上は空いていることの方が多いと感じる。


秋田駅から東能代までは奥羽本線を走って54分。
秋田駅を発車してすぐ、自動の車内放送がまだ流れているうちに、車掌が検札に来た。
首都圏の特急などの車内検札では、各乗客の座席位置や乗車区間を必ず専用の紙に記録しているが、秋田周辺の特急ではきっぷを見るだけで、記録はしないのが普通。
しかし、リゾートしらかみでは、首都圏同様しっかり記録していた。これは、途中で車掌が交代するため、引き継ぎの意味があるのだろう。

車掌は、秋田-東能代だけを秋田運輸区が担当。わずか1時間弱のために車掌を手配するのも手間のように思えるが、5年以上前に3号に乗った時も、同様だった。車掌の配置人数とか他の列車との関係上、こうなっているのだろう。

車内放送では「各車両にパンフレットがあり、それにいろいろ書いてあるから見てね」と言っていた。フジテレビの堺さんの自動放送も、車掌さんも言っていたし、英語の自動放送では各駅を発車する度にそう言っていた。
そんなに口を揃えて言うのなら、ひとつ見てやろうと、展望室のパンフレットを手に取った。
 (再掲)手前に置いてあるのがそのパンフ
JR東日本秋田支社と「五能線沿線連絡協議会」発行の「五能線の旅」というA4版26ページのパンフレット(小冊子?)で、秋田駅などに置いてあるのと同じものだと思われる。(首都圏などの駅や旅行代理店にもあるかもしれない)

このパンフ、観光スポットなどが載った五能線への誘客のためのものだと思っていたが、よく見ると、車内で読まれることも考慮している内容だ。2か月ごとに改訂されているらしく、沿線地図や各列車の各駅着/発時刻が記載されているし、他の普通列車の時刻表(抜粋)もある。
長距離・長時間の列車に乗っていると、今どこにいて、次の駅までどのくらいかかるのか知りたくなるものだが、これを見れば分かりやすい。
また、最初のページにある秋田県北部から青森県のダイナミックな鳥瞰図が美しくて分かりやすいと思った。

ただ、観光スポットの体験メニューや食事については、「乗車◯日前まで要予約」といったものが少なくないので、乗車して初めて見た人は「もっと早く知っていれば…」と残念に思うことがあるかもしれない。
(各駅の観光スポット部分は、JR東日本秋田支社のホームページとほぼ同じ内容 http://www.jreast.co.jp/akita/gonosen/menu/index.html)


列車は途中、追分と八郎潟に停車するが、乗降はなかった模様。昼間の特急はすべてが停車する森岳は通過(他のリゾートしらかみは停車するものもある)。
秋田から東能代までの区間は、五能線目当ての多くの客にしてみれば、海も見えないしあまりおもしろくない、助走のような部分だと思っている人が多いと思う。パンフには、追分の県立博物館とか、八郎潟から大潟村(三彩うどんとか)や男鹿へ行くメニューも掲載されてはいたけれど。
八郎潟駅付近で見える五城目町の「森山」
しかし、車窓を眺めるだけでも、男鹿半島の山、大久保から八郎潟付近の広大な田んぼ、遠くに見える大潟村干拓地や一瞬だけ見える八郎湖の水面、森岳のジュンサイ池など、特に遠方から来た方々には珍しく感じてもらえるものがある。
八郎潟の次の鯉川駅(通過)手前で、一瞬八郎潟残存湖の湖面が見える。その向こうが大潟村と男鹿半島の山々
観光列車なんだから、こういったものを車内放送で案内するとかすれば、より楽しんでもらえると思う。
沿線の田んぼは、9割9部稲刈りが終わっていた。北金岡駅前には稲刈り前の田んぼがあり、黄金色のイネがだいぶ倒れていた。


東能代で列車の進行方向が変わり、五能線へ。車掌は東能代運輸区に交代(おそらく運転士も交代)。
五能線最初の「能代」駅が、能代市の中心部。停車前に「能代はバスケットボールの街です」などと車掌から案内があった。東能代運輸区では、積極的に肉声による観光案内を行なっているようだ。こういう放送が、奥羽本線内でもあれば楽しい。
能代では5分間停車して、ホームではバスケットボールシュート体験と木工パズル体験ができる。

秋田駅を出て約1時間半の12時30分頃、遠くに日本海が見えてきた。
「まもなく海が見えてまいります。これから先、80数キロに渡って、海を眺めながらの旅をお楽しみください」といった車掌の放送があった。
地元の“観光駅長”が出迎える「あきた白神」、「岩館」に停車し、12時50分頃、秋田県から青森県に入った。
「これから先、特に車窓が美しい区間なので、減速して走ります」という放送(自動放送の日本語、英語)が流れ、止まりそうなほどの低速でしばらく走行。
 県境付近の海
新しい青池編成は、窓ガラスが薄い緑色に着色(首都圏の電車などと同じ)されており、見える外の景色の色が若干実際とは異なる。(写真も補正が面倒なのでそのまま掲載しています)
熱線吸収ガラスで、暑くならずに景色を楽しんでもらおうという配慮なのだろうが、できればそのままの色で見たい気もする。従来のリゾートしらかみでは黒っぽいガラスが使われている。
それと、午後の時間帯は逆光になってしまうから、本当は午前中の方がいいのかもしれない。

青森県最初の停車駅が「十二湖」。
五能線と白神山地のブームで脚光を浴びている観光地だけに、秋田から乗っていた乗客が何人も降り、何人かが乗り込んできた。
振り返ると、白神山地が海に落ち込むのが見える
十二湖から10分ほど走って、観光施設や黄金崎不老ふ死温泉の最寄り駅「ウェスパ椿山」(以前の訪問記)。ここでも観光駅長が出迎え、まとまった降車があった。

車内の乗客は秋田発車時に比べるとだいぶ減ったが、まだそれなりに乗っている。
2008年晩秋・初冬に普通列車でここを通った時は、うら寂しいローカル線の風情だったけど、今日は天候のせいか、観光列車に乗っているからか、その時とは違う明るい雰囲気に感じてしまう。

ウェスパ椿山停車中、窓のすぐ外をアシナガバチが飛んでいるのが見えた。
発車後、前方の展望室のガラスに目をやると、
ガラスにハチがくっついてる!(空中を飛んでいるのではありません)
キイロアシナガバチだろうか、停車中に窓に止まったところで発車してしまい、飛び立つタイミングを逃してしまったようだ。
ハチにしてみれば、自分がくっついているのが、走る列車であることなんて知らないから、「強風が吹き付け続けている」と感じているのだろう。飛ばされまいと、必死に踏ん張っていた。
次の停車駅・深浦までは、比較的速い速度で十数分走り続けていた。ガラス上を30センチくらい移動したものの、かなりがんばっていた。
しかし、深浦到着前にいつの間にかいなくなっていた。さっさと飛び立てば、巣に帰れたのに…

五能線内の主要駅であり、ほぼ中間地点の深浦に停車。運転士が交代。
深浦以南では、青森県であっても秋田県との交流が強く、能代市の公立高校への通学もできるらしい。
深浦駅構内の使われているのかどうか分からない線路上に、停止位置を示す菱形の標識があった。
よく見るとなにか書いてある
うっすらと「眺」という漢字が上下逆になっている。
おそらく、「眺望列車」の「眺」で、リゾートしらかみの前身に当たる「ノスタルジックビュートレイン」の停止位置標識として使われていたものを使い回したのではないだろうか。

深浦を過ぎても海沿いを走り、美しい車窓が続く。
 
行合崎海岸かな、海の色もきれいで、山陰で見た海を思い出した。
所々で護岸が固められたりテトラポットが置かれている浜がある。今までなら、なんて無粋な光景かと思ってしまうが、震災後の今は、万一津波が来たら、この程度のもので守れるのか、逆に不安になってしまう。近くの席からもそんな会話が聞こえてきた。


海が見える区間の最後近くにも、絶景ポイントがある。
それが「千畳敷」。1792年の地震により隆起してできた地形で、津軽の殿様が、畳を1000枚敷いて宴会をしたという。
五能線にはズバリ「千畳敷駅」があり、駅の目の前が景勝地。前から興味があったが、列車本数が少なく(1日5往復)、行く機会はないだろうと思っていた。

ところが、リゾートしらかみの中で、この3号だけは、千畳敷駅に停車する。(上りは徐行して通過するようだ)
しかも、15分間停車するので、その間に散策ができるのだ。
冬や雨の日を考えると、全列車を停車させるわけにもいかないのだろうが(3号は冬期運休)、これこそ観光列車ならではの演出だろう。
千畳敷駅ホーム。ぞろぞろと降りる
特に誘導などはなく、各自勝手に行ってくださいという感じだが、「発車3分前に汽笛(正確には警笛だけど)を鳴らしますのでお戻りください」と放送があった。
駅はホーム1本だけの無人駅だが、リゾートしらかみ運行開始に合わせたのか、きれいに改修されていて、スロープがある。
【27日追記】昨年の今頃、千畳敷駅ホーム改修工事の告知を見かけたのを思い出した。ということは、改修されてやっと1年経つところのようだ。
列車後部
列車進行方向に向かって右には小高い丘(段丘)があり、崖になっている。冬はしみでた地下水が凍り、氷のカーテンを作るという。
左側はホーム、国道101号線、民宿があり、千畳敷海岸が広がっている。
海岸へは、国道を横断しないと行かれない。駅の前が横断歩道(信号機なし)になっているが、交通量が多いので注意。(管理する五所川原駅長名で注意書きもあった)
弘南バスのバス停もある
深浦と鰺ヶ沢を結ぶバスが通るが、1日4往復。ポールは海側にしか立っておらず、「深浦方面は向かい側でお待ち下さいませ」と書かれていた。(弘南バスではたまにあるパータン)
国道の高さからは海を見下ろす形
ここを題材にした作品がある、太宰治と大町桂月の碑が立っている。
アスファルト敷きの部分で写真を撮る人が多いが、せっかくなので海辺の方へ下りてみた。
こんな感じ


飛び石のような平らな岩がほぼ同じ高さで並んでいる。海水が流れ込むこともあるらしく、湿っていたり砂がある。
でも、いくら平らといっても、ここに畳を敷いたら不安定で、宴会なんてできそうにもない。
【2015年6月26日追記】NHKの中継によれば、2000年7月に深浦町が千畳敷に実際に畳を1000枚敷いたことがあったそうだ(写真も放映された。見た感じ平らになっていたが、どうやって平らにしたかは不明)。スペースは充分に余裕があり、1万畳ほどは敷けるとのこと。

波打ち際まで行こうかと思ったが、けっこう距離があるのと、滑りそうで怖いのでやめておいた。
国道・駅の方を見る
駅の向かい・バス停前に民宿(?)があるが、営業時間外なのか、静か。
少し離れた所に土産物屋があり、そこではイカ焼きを売っていた。国道・線路沿いにイカを干して、到着する列車に向かって店の人が手を振ってPRしたり、「イカ焼き、すぐ召し上がれまーす」などと大声で呼び込みしたり、列車の乗客獲得に積極的。

列車に戻ったら、ちょうど3分前。
降りた時はエンジンが止まっていたが、戻った時は動いていた。アイドリングではなく、発電してバッテリーへ蓄電中ということか。
長ーい警笛が鳴り響いた。HB-E300系の警笛は、音自体は普通列車の701系電車などと同じやや甲高い笛だが、鳴らし方はまるで蒸気機関車のようなものだった。(従来のリゾートしらかみは、音が異なる)
よその駅でこんなことやったら、何事かと騒ぎになりそうだが、こんなことができるのも五能線ならでは。警笛は前の運転席側ではなく、後部の車掌側で鳴らしたように聞こえた。

千畳敷だけへわざわざ行くほどの場所でもないかと思うが、この機会に見ることができてよかった。
岩場へ下りるなら、滑らない&水に強い靴が必要。僕は靴底に砂をつけて列車に戻ってしまい、後で見たら列車の床に砂をまいてしまっていた。(ゴメンナサイ)


千畳敷を発車すると、そろそろ海岸線ともお別れ。
2008年に大イチョウを見に行った、北金ヶ沢駅に近づく。すると、
前方に岩木山!
弘前市のちょうど裏側ということになり、おそらく五能線でもっとも南(西)から見えるポイントだろう。
いつもと逆方向からのアクセスだけど、岩木山を見るのが「津軽へやって来た」と実感する瞬間だ。
ここから先は位置と形を変えつつ、岩木山を眺めながらの旅となる(ほとんど逆光だけど)。
北金ヶ沢で「停止信号のため」1分ほど停車。この駅では、どのリゾートしらかみも、反対列車がなくても停まることになっているようだ。

鰺ヶ沢駅からは、完全に内陸部になる。さすがに、ちょっと飽きてきたけれど、まだ1時間20分残っている。
鰺ヶ沢の停車時間は2分だが、慌ただしく車掌が交代(たぶん弘前運輸区へ)し、車内イベント「津軽三味線生演奏」の奏者2人が乗り込んだ。
三味線演奏は五所川原駅までの25分ほど。かつては展望室で演奏されていたが、現在は3号車のイベントスペースで行われ、その模様が各車両に“生中継”される。
カメラの位置が微妙…
天井に固定されたカメラと奏者の位置があっておらず、奏者の頭を中心に見ることとなった。
音は車内放送のスピーカーから流れるようだ。昔の列車に比べれば音質はいいが、やっぱり音質はよくない。
また、駅停車/発車の放送が流れる時は、三味線の音が消えて自動放送が割り込む。しがって、三味線が中断して突然メンデルスゾーンの「春の歌」(自動放送前のチャイム)が流れるので、びっくりしないようにしましょう。(じっくり聞きたいのなら、3号車へ行ったほうがいい)

2人の奏者のうち、1人が専門に説明などしゃべっていたが、まったく津軽訛りがない共通語のアクセント・イントネーションだったのが、意外だった。
なお、休日の一部列車では、別に「津軽弁『語りべ』」も行われる。
鰺ヶ沢-陸奥森田(つがる市)辺りの岩木山
岩木山が、きれいな三角形に見える一帯もあるのだそうだ。弘前から見る3つの頂点がある岩木山とは別の山のよう。

鰺ヶ沢から先は停車する駅が多いが、それほど乗降はない。秋田から乗って、十二湖近辺で降りなかった人が引き続き乗っている状況。
五所川原では16分も停車。五所川原から先は、リンゴ畑の中を走る。
展望室からの前方風景
まさに手を伸ばせば届きそう。
やがて、右から奥羽本線が合流して、川部駅に到着。
合流点付近は赤いリンゴがたわわに実る(リンゴ畑の向こうが奥羽線)
東能代から147.2キロの五能線を走破した。

6分停車して再び進行方向を変え、奥羽本線を9分走って、ついに弘前到着。
若干退屈したところもあったが、1度も居眠りせず、風景とハイブリッド車の乗り心地を楽しむことができた。


ついでに、帰りに乗った「リゾートしらかみ6号」のことも書いておきます。3号の折り返しで、弘前発16時12分、秋田着20時38分。

乗客はかなり少なかった。
行きと異なるのは、五能線内青森側での利用が多かったこと。
おそらく青森市で所要を済ませた地元の人や新幹線からの乗り継ぎ客と思われる。川部駅から乗車し、五所川原、鰺ヶ沢など、各駅でちらほらと降りていったのが目立った。後続の普通列車は40分ほど後なので、510円払っても早く着きたいわけだ。

鰺ヶ沢より手前で岩木山に日が落ちてしまい、後は真っ暗。それでも千畳敷付近は律儀に減速して通過。
北金ヶ沢で8分停車して対向列車を待ったほかは、ほとんど長時間停車がなく、車掌の観光アナウンスもなく、淡々と走る。(車掌は鰺ヶ沢まで弘前運輸区、以降終点秋田まで東能代運輸区が通しで乗務)
ウェスパ椿山は18時32分着。夏なら夕日が沈む絶景かもしれないが、今は真っ暗で深夜のようなたたずまい。
物産館「コロボックル」も閉店
それでも、ゼミ旅行の大学生か何かだろうか、若者数名が降り立った。

あとは、乗降がほとんどなく、まるで回送列車のように秋田へ向かった。
真っ暗な中、所々に集落があり、明かりが灯る。自分の住む秋田県とその隣で2番目に身近な青森県であり、今は自宅へ帰る途中なのに、とても遠い所へ来て、もっと遠い所へ向かっているような錯覚にとらわれた。
当たり前だけどどんな場所にも、それぞれで暮らす人がいるのだ。狭いようでも、やはり日本も秋田も青森も広い。

秋田駅到着前の自動放送では「秋田新幹線、奥羽線、羽越線はお乗換えです」と言っていた。しかし、新幹線の最終は30分ほど前に発車しており、接続はない。
最後の車掌のアナウンスの後、バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」のチャイムが流れた。ここ15年ほどのJR東日本の車両では、なぜかクラシック4曲の電子チャイムを搭載しているものが多い。


今まで触れなかったが、3号、6号とも全区間で車内販売が乗車。おおむね1時間に1回くらいのペースで回ってきてくれた。五能線内では、途中駅でも自動販売機もないような駅もあるから、車内販売があるのはありがたい。
行きは時間帯もあって弁当類が順調に売れていたようだが、帰りはほとんど売り上げがなかっただろう。それに長時間の運行なのに途中で補充できる駅がないなど、大変そうだ。
でも、おかしいと思ったのは、行きも帰りも案内放送がなかったこと。

JR東日本の新幹線の「はやて」と「こまち」なら、1回の運行で2度(単独走行時と連結時)も、「おすすめ商品は『金萬』でございます。滑らかな白あんを卵をふんだんに使ったカステラ生地で包んだ、秋田の伝統和菓子(?)でございます」とかなんとか聞かされるのに。
冊子「五能線の旅」には、車内販売の内容も少し掲載されており、地元産のリンゴジュース各種、ウェスパ椿山のガラス工房で作ったガラス製品なども販売していることになっている。
そんな個性的な商品を扱っているのなら、ぜひとも放送で案内するべきだ。これでは、商売っ気が感じられない。


観光列車といえば、JR九州のものが有名で、僕も乗ったことがある。
きれいな車両とはいえ普通列車を改造した車両なのに、特急列車として運転されているものが多く、割高感はある。
だけど、観光案内と車内販売を兼ねたスタッフが熱心なのが好印象。見所では車内を巡回して丁寧に教えてくれたり、記念撮影を勧めてくれたり、途中駅にある古い車庫跡へ連れていってくれるようなイベントもある。車内販売のメニューも地元のお菓子などを積極的に扱っている。

でも、九州は「列車に乗ること」自体が目的で、リゾートしらかみは「列車に乗って途中で降りて観光すること」が目的とも思え、これでいいようにも思うが、リゾートしらかみがそっけなく思えるのは事実。
飽きられないためにも、何らかの改善が必要な時期なのかもしれない。

次回以降、青森の話題を随時アップします。※次の記事はこちら
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ハイブリッドしらかみ

2011-10-22 22:28:15 | 旅行記
青森へ行って来ました。
今回はスケジュール的・経済的(「五能線フリーきっぷ」を使ったので)事情もあり、行きも帰りも五能線経由で快速「リゾートしらかみ」を利用。
しかも、行き来とも昨年12月にデビューしたハイブリッドシステム搭載の新しい(2代目)「青池編成」!
ということで、この記事では、ハイブリッドシステムや新青池編成の設備を中心に紹介します。風景など旅行記は後日また。
※昨年11月のハイブリッド車両の展示会の様子

快速「リゾートしらかみ」は、1日最大3往復(秋田-青森2往復、秋田-弘前1往復)運転。これからの閑散期は、弘前止まりの1往復が運休したり、全便運休になる日もあるので、注意。
車両は「青池」「ブナ(正しくは木偏に無)」「くまげら」の3編成があり、どの編成がどの列車として走るかは、時期によって異なり、時刻表やJR東日本秋田支社のサイトで分かる。
現在は、弘前折り返しの3号と6号に青池編成が使用されている。


ところで、現在のリゾートしらかみは、3編成ともそれぞれ4両編成。
てっきり、3編成とも、普通座席×3両、ボックス(半個室)席×1両だと思っていたら、「ブナ」編成だけは2両ずつだった。先代の青池編成から外したボックス席の車両(2号車)を、内装は変えずに塗装を塗り替えてそのままブナへ組み込んだことになる。

ボックス席は相席になる可能性もあるし、足は伸ばせるけれど背もたれはリクライニングしないなど、僕は好きじゃない。(指定席料金はどちらも同じ)
今回、指定席は、JR東日本のサイト「えきねっと」で予約した。新幹線などは座席表(シートマップ)が画面に表示されて好みの席を選べるのだが、リゾートしらかみでは、列の指定(ABCD)までしかできなかった。
僕は、行きは海を眺めたいので海側の「A席」指定で、帰りはどうせ暗くなった時間帯だし混んでいないはずなので位置は「指定しない」で乗車2~3日前に予約した。(予約段階では、どの席番か分からない)

きっぷを受け取ると、
行きは、
「1号車1番A席」!
えきねっとで予約すると、たまにこういう変わった席に割り当てられることがある。これはやっぱりコンピュータの融通の効かなさか。
帰りは、
「B室 2号車2番A席」
「B室」というのがボックス席のこと。ここしか空きがないということはあり得ないはずで、なんでまたこんなヘンな席を割り当てたのやら。
でも、大丈夫。
指定席を「同じ日の同じ列車の同じ区間」の中で変更する場合(要は同じ列車内での席の移動)は、手数料なしで変更できる。
弘前駅のみどりの窓口で変更を申し出たら、快く&手際よく、普通席へ替えてくれた。その時見えた画面や、実際に乗車してみても、やっぱり車両はガラガラだった。
えきねっとさんはなぜ、ボックス席にしてくれたんだろう?
※他地域の窓口で購入する場合でも、「B室」がボックス席を意味することを知らない係員がいるなどで、ボックス席にされてしまうことがあるようです。

では、車内へ。

まだ新車の匂いが漂っていた。
座席部分は通路より1段高い

120センチ間隔のゆったりしたシート
座席自体は、現在の特急や新幹線の普通車と同じタイプ。だけど、その間隔が広い。
背もたれのリクライニングはあるが、JR東日本では標準になりつつある座面スライド機能が省略されたのは、特急でないことによる差別化か。【2017年6月13日追記】先代の青池編成では、座面スライド機能があった。

1号車1番席は、弘前行きの秋田駅時点では最後部になり、進む向きが変わる五能線内では先頭になる席だった。
座席と運転室(兼車掌室)の間には「展望室」というフリースペースがある。
先頭になった時の1号車1番C・D席
1番席の前・展望室との境には、仕切りの板がある。他の列車の壁際の席と同じく、前方のテーブルは狭く、ペットボトルホルダーがなく、足元は若干狭い。
仕切りの上部は透明板なので、展望席のソファやベンチに誰かが座っている場合は、その人の横顔を見ながら旅をすることになる。
でも、展望席へ移動せずに自席で「前面展望」を楽しめる点では、いい席。
1番A席から前を見る
ただし、僕のA席からは、正面が運転席の背後であるため窓が小さめなので、前方風景はそれほど良く見えるわけではない。山側になるけれどC・D席の方が、前の眺めは楽しめそう。
なお、夜間は、運転士後ろの小さな窓だけ遮光幕が下ろされ、右側の大きい窓は開いたままだった。
窓の外はブナ編成
ちなみに、展望席部分だけ、蛍光灯の色が違う(電球色?)ようだ。

各車両数か所には、天井にディスプレイがある。
下にはLED文字情報装置も
上の写真でも映っているが、一部区間では、運転席に設けられたカメラからの前方風景を映し出していた。
僕が乗った列車では、行きも帰りも東能代-鰺ヶ沢間で“中継”していた。暗くなっても中継はされたが、真っ暗な中にライトに照らされたレールが伸びるだけ。
夜の米代川を渡る
他の区間では、3号車イベントスペースで津軽三味線の演奏が行われている時はその中継(ただしカメラアングルがイマイチ)や沿線紹介のビデオ(ブルーレイを再生している模様。ロゴが出ていた)が繰り返し映っていた。


窓の外は夕暮れの岩木山とリンゴ畑
では、乗り心地について。
今までのリゾートしらかみ各編成は、男鹿線・五能線など全国各地のローカル線普通列車で使われる、「キハ40系」という昭和50年代製の車両を改造したもの。
気動車(ディーゼルカー)だから当然、エンジンの音や振動はするし、特にスピードが上がる奥羽本線内では一定の速度に達すると揺れが激しかった。末期の国鉄が設計した車両だし、特急などでなく快速だから、仕方ないかなとは思ってはいたけれど。

ハイブリッド車両「HB-E300系」の場合。
まず、ハイブリッド以前の話として、乗り心地がとてもいい。
特急「つがる」に使われているE751系電車と同じような、静かで滑らかな走り。新幹線や他地域の特急以上の快適さだと思う。


そしてハイブリッドシステムの感想は、基本的には「電車に乗っている」感覚だった。ディーゼルカーだとは思えない。
加速時や減速時には、モーターやインバーター(?)の音が聞こえ、それは最近のJR東日本の電車のものにそっくりで、完全に「電車の音」。

ただし、時々ディーゼルエンジンが動く。上記の通り、車内では遮音性が優れているらしく小さめの音なので、空調が作動している時はかき消されて、気づかないかもしれない。
ハイブリッドでないディーゼルカーでは加速時にエンジンが大きくうなるが、ハイブリッド車では加速のタイミングとエンジンの動作が連動していない。発車時は動き出して数秒してからエンジンがかかることが多い気がした。そしていつの間にか止まる。
従来のディーゼルカーとは違うので、不思議な感覚にとらわれた。

これは、この車両が走行する時は常にモーターの力で走り、ディーゼルエンジンはそのモーターへの電力(またはバッテリーへの充電)供給源としての役割をしているためだと思われる(同じハイブリッドでも、トヨタプリウスとは異なる方式)。
発車直後はモーターの消費電力が増えて、バッテリーの残量が減るため、それを補おうとエンジンが作動しているわけか。

また、駅で長時間停車している時も、しばらく経つとエンジンが作動する。
これは、減速・停車時に発電してバッテリーに貯めていた電力を、停車中の照明などで消費したため、それを補うためだろう。
この場合、静かな車内が、急に「がくん」と横揺れしてからエンジンが作動するので、最初は「地震?」などと身構えてしまった。(それほど大きく揺れるわけでもない)

ともかく、従来のディーゼルカーとは別モノの、極めて電車的な静かな乗り物という印象を受けた。
加速の性能も遜色ないようで、帰りの奥羽本線に入ってからのスピード感あふれ、かつ安定した快適な走行には感動した。東能代から八郎潟、そして秋田までが、あっという間に感じた。

これに乗車券と指定席券だけで乗ることができるなんて、ありがたい。
すれ違った従来のリゾートしらかみが、とてもうるさく感じた。今後、僕は選ぶことができたら、ぜひとも青池編成を狙いたい。

ちょっと残念に思ったのは、車内の掲示や放送において、この車両がハイブリッドシステム搭載の画期的な車両であることがPRされていないこと。知らない(興味のない)人には、他と同じリゾートしらかみだと思われてしまうかもしれない。
また、展示会の際、運転席のモニターには、バッテリー残量やエンジンの作動状態が表示されていたが、実際の運行中には、別のメニュー画面のようなものが表示されていた。

※続き(乗車記)はこちら
コメント (4)
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熊本の交差点・商店街・警察署

2011-01-14 23:03:48 | 旅行記
九州旅行記、前回に続いて熊本市の話題。

熊本市中心部の北東に、「子飼(こかい)」地区がある。白川が流れていて、近くに熊本大学がある。
「子飼橋」のそばには交差点があり、まずはその話から。
ネットの地図サイトでは、この地点名が「西子飼町」(Googleマップ)だったり、「子飼本町」(マピオン)だったり統一されていないが、実際は、
 南西側(橋側)が「西子飼町」/北東側が「子飼本町
同じ交差点内で表示されている名称が違っていた。
ここの道路・交差点が町名の境になっているのだが、それに合わせて実際に即した命名をしているようだ。札幌などと同じやり方だが、ここは県道337号線なので熊本県の方針か。

しかし、地元の皆さんはこのどちらでもなく、「子飼交差点」と呼ぶようで、現実とはかけ離れた表示がされていると言えるのではないだろうか(我が秋田県はもっとヒドイですが)。

この交差点は、「K」字形のような変則的な形の“四叉路”。
歩行者用信号は全部同時に青になり、斜めを含めてどの方向にも自由に横断できる「スクランブル交差点」。
交差点全面がゼブラゾーン
スクランブルであることを示すため、交差点内全面に斜線がペイントされていた。
秋田のスクランブル交差点では、斜線が「×」形にペイントされているから、違和感を覚えた。ほかの道路標示(白線)と勘違いしそうで。

ちなみに、スクランブル交差点は広義には「歩車分離式交差点」の一種。
秋田県警が近年好んで導入しているのは、狭義の「歩車分離式」。斜め横断ができない(やろうと思えばできるけど)点がスクランブルと異なる。秋田市内にある“本当のスクランブル交差点”は、木内前と秋田駅西口の北側と南側の3か所だけだと思う。

話が逸れましたが、
この熊本市子飼のスクランブル交差点は、日本初のスクランブル交差点なのだという。
変則的な形の交差点であるほか、当時は市電の終点があった(後に路線自体が廃止)ため、人の流れをスムーズにするために1969年3月5日から導入されたようだ。

※一部のサイト等において、東京銀座の数寄屋橋交差点が日本初のスクランブル交差点としているものもあるが、確認した限りではその年月日が不明であり、また、多くのサイトが熊本を日本初としていることから、熊本の方が先であると判断しました。


さて、この交差点から南西へ延びる400メートルほどの狭い道が、商店街になっている。
子飼交差点側のゲートや公式サイトでは「子飼レトロ通り商店街」となっているが、反対側のゲートなどは「子飼商店街」になっていた。
昼間は歩行者専用の道路で、自転車も降りて通らなければいけないことになっているが、自転車に乗って通る人も少なくなかった。
なんとも味のある商店街
八百屋さんや乾物屋さんが何軒もあったり、小さなスーパー(地元の大手)もあって軒を重ねるように連なっている。地域密着の昔ながらの商店街の風情。
空き店舗が少なく、年配の地域住民のほか熊本大学の学生も多く通るし、彼らも利用するスーパーや惣菜屋もあるので、活気がある。
向かい合った軒にシートを渡して“簡易アーケード”
こんな商店街は東京の下町辺りにはありそうだが、地方都市では珍しいかもしれない。
反対側の端
藤崎八幡宮や私鉄・熊本電鉄の「藤崎宮前」駅が近い。さらに駅から600メートルほど進めば、市電の通りや繁華街の通町筋。
ところで、上の写真のゲートに何か人物の写真が出ている。
「水前寺清子出生の地」
あの、チータがここで生まれ育ったのだ。
※愛称の「チータ」はネコ科動物の「チーター」ではなく、「チータ」。本名が「民子さん」で、小柄だったので「ちいさい たみちゃん」が由来。
【15日追記】子飼交差点は視覚障害者用(音響式)信号で、音は「ピヨピヨ」だったはず。(「鳴き交わし式」ではなく全部が同時に鳴っていた。機器のメーカーが違うのか、聞き慣れない音だった)
スクランブル交差点では、「ふじの山(♪頭を雲の上に出し)」(静岡県警)、「オウマ(♪お馬の親子は仲良しこよし)」(名古屋市東山動植物園正門前)、「乙女の祈り」(青森県警、弘前市下土手町など)といった、独自のメロディが流れるところもある。
実際にはユーザーである視覚障害者の意見を尊重するべきであるが、「日本初のスクランブル交差点」と「日本を代表する歌手が生まれ育った地」がすぐ近く。それらを記念する意味と遊び心で子飼交差点で「三百六十五歩のマーチ」でも流したらおもしろいかも。(ちなみに「三百六十五歩のマーチ」は1968年11月10日発売なので、1969年3月のスクランブル化とほぼ同時期)
青森の「乙女の祈り」よりは歩きやすそうな曲調だけど、横断する人が「三歩進んで二歩下がる」からダメ?



最後に、市電の通りへ向かう途中の国道3号線沿いの公園に隣接した開放的な場所にあったのは、
ヘンな建物
全面ハーフミラー張りで、「凸」を逆さまにした奇妙なもの。
不安定そうな形
実はこれ、熊本県警熊本北警察署。1990年築、総工費約25億円。

熊本県では「くまもとアートポリス」として、公共施設を中心にデザイン性の高い建造物が建てられており、これもその1つ。
ちなみに、2007年に新築された、秋田県警秋田中央警察署の総工費は27億円らしい(サトウケンイチロウ県議のブログより)から、その15年前とはいえヘンな形で25億円なら意外に安い。
秋田中央署。これで27億円

熊本北署の建物全体としては奥行きがけっこうあるが、逆凸形なのはほんのちょっとだけ。裏側から見ると、
わりとフツー
警察署としての主要な機能は裏側の方にあり、前の逆凸形部分にはエントランスや道場などがあるそうだ。

熊本県警のパトカーは、
「熊本県警察」の文字が毛筆体(楷書体)だった

旅行記は細々と続きます。

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熊本のタヌキ

2011-01-11 19:07:50 | 旅行記
かなり間が開きましたが、まだネタが残っていますので九州旅行記を。
だいぶ前にアップした鹿児島を離れ熊本市へ。以前にも訪れたことがあったので、今回はざっと見ただけ。
鹿児島もそうだったが、熊本市も大きくて賑やかな都市。かつては福岡でなく熊本が九州の中心都市だった名残で、農政局や森林管理局、郵政会社などの九州を管轄する拠点は、現在も熊本市に置かれている。
熊本城前電停(来年3月に花畑町に改称予定)付近
イチョウの黄葉が美しかった。イチョウは加藤清正が熊本城に植えたことなどにちなみ、熊本市の木になっている。

人口は73万人。中核市としては国内最大規模だが、2012年4月を目標に政令指定都市に移行する準備を進めている。
路面電車の広告「政令指定都市の実現を」
訪れた時は、市民を対象に、政令指定都市になった際の区名の投票が行われていた。
テレビのローカルニュースで市民のインタビューが流れていたが、「政令指定都市になって何が変わるのか分からない」「メリットが分からない」という声が多かった。
県を介さずに多くの業務が行えるなど、市側にはメリットはあるのだろうが、市民が普段の生活をする分には現状で不満がないだろうからね。

広島や鹿児島と同じように、熊本もJRの駅から繁華街へは距離があるので路面電車(市電)で移動するのが便利。
「通町筋」電停
秋田市民なら「とおり“まち”」と読んでしまうが、こちらは「とおり“ちょう”すじ」と読む。
路面電車が通る道の名が「通町筋」で、熊本城を見上げるメインストリート。
通町筋の両側が繁華街になっていて、「上通(かみとおり)」「下通(しもとおり)」という。

特に下通は大きくて賑やか。Wikipediaによれば「(アーケードは)西日本最大(長さ511m、幅15m、高さ15m)を誇る。休日の人出は6万人以上で名古屋・大阪(キタ・ミナミ)・福岡(中洲)と並ぶ賑わい」だそう。
「西日本最大」の根拠はよく分からないが、大きくて賑やかな街なのは間違いない。以前よりは人出が減っているらしいが、昼も夜もたくさんの人が来ている。
秋田市通町など足元にも及ばない。
 昼と夜の下通
地元の「鶴屋百貨店」、パルコ、ダイエーのほか、はなまるうどん、ドン・キホーテ、マツモトキヨシ、ABCマート、ツタヤなどなど、何でもあった。
秋田市なら、車で郊外に行かないとないような店舗さえ、熊本市では中心市街地にあった。これが賑わいの一因かもしれない。(クルマで来る人もいるだろうに、どこに駐車しているのかは知らないけれど)


熊本城とか水前寺公園とか、観光名所もあるけど今回は行かなかったので、別の話題を。
バス停「洗馬橋(せんばばし)」
「都市バス」の表示が上書きされているが、これは熊本市営バスの民間移管に伴い、その路線を引き受けている「熊本都市バス」のこと。移管に当たって既存の民間バス会社3社が共同出資した会社だそう。市営バスの民間移管の形態としては珍しいやり方だ。
熊本のバス事情もいつか、別記事したい(と言っておいてなかなかできませんが…)。

そのバス停のそばに坪井川に架かる橋があり、実際に「せんば橋」という名なのだが、なぜか
「船場橋」と書く
ちなみに橋の対岸には市電の電停があるのだが、バス停と同じ「洗馬橋」。

「洗馬橋」「船場橋」どっちが元祖なのかよく分からないらしいが、ともかく「せんば橋」。
船場橋
橋の両端の「親柱」に、何やらオブジェが載っている。
現在の船場橋は、1929(昭和4)年の市電建設時に架けられた橋のようだが、オブジェも当時のものだろうか?
カクカクした独特のデザインで、何がモチーフか分かりにくいが、2種類あって、
 エビとタヌキ

そして、市電停留所側には、熊本中央郵便局があり、その前のポストの上には2008年10月に紹介したようにタヌキの像が載っている。これ。
 再掲
ちなみに、洗馬橋電停にも別のタヌキの像がある。

ここには、なんでこんなにタヌキがあるのか。それは、手まり歌「あんたがたどこさ」が関係している。
「♪あんたがたどこさ 肥後さ 肥後どこさ 熊本さ 熊本どこさ せんばさ」
という歌詞の通り、この付近が、歌の舞台ではないかという説があるのだ!
(関東地方などを舞台とする説もある)

したがって、タヌキは「せんば山には 狸がおってさ」のタヌキ。
あまり知られていないが2番には、「せんば川には エビがおってさ」という歌詞があり、橋にあるのは、そのエビ。
せんば川とは、橋が架かる現在の坪井川のこととされているようだ。


さて、ポストの上のタヌキ。
僕にとっては“再会”になるのだが、びっくりした。
えっ!
12月初めだったのだが、タヌキはサンタクロースの衣装につけヒゲ。さらに周囲(ポストの天面)には飾りが!

ポストの上のオブジェに飾り付けするとは、初めて見た。
雨の日はどうするんだ?

ネットで「熊本中央郵便局 ポスト」等で画像検索したところ、ハロウィンの衣装、学生服(受験・卒業シーズン?)など、いくつかの衣装・装飾パターンがあった。
さらに調べると、このタヌキは1995年に設置され、「せんば郵太」という名前があるらしく、郵便局の裏にある県立第一高校の生徒が考案だか衣装を制作している装飾という情報もあった(公式ではないので真偽は不明です)。
せんば郵太さん
中央郵便局には郵便事業会社熊本支店も入っていて、管理が行き届いていることもあるだろうが、名前を付けてもらって服を着せてもらえるなんて、幸せなタヌキだ。

服を着た姿を見てから、最初の“裸”のタヌキの写真を見ると、なんか恥ずかしく感じる…
熊本市の話題は続きます
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富士山とミカン

2011-01-01 13:36:28 | 旅行記
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
お正月らしく富士山を見ていただこうと思い、九州旅行記(前回の記事)番外編として帰り道の寄り道を突然ですがアップします。12月上旬の模様です。

鹿児島から秋田まで一気に帰るのは疲れるしもったいないので、静岡市清水に一泊。
翌朝、富士山が見えるのを期待していたが、雲が多くてほとんど見えない。

仕方ないから東へ進もうと、東海道本線の上り列車に乗った。
ところが、富士山に近づくにつれ雲が晴れ、富士川を渡る頃には、くっきりと姿を現した。

こうなったらじっくり見ないといけない。
2008年11月にも訪れた、旧富士川町へ行くことにした。
僕はこの辺りから見る富士山が好きだし、JRと徒歩だけで移動できるのも楽。探せばまた違った富士山の風景があるのだろうけれど。

上り列車を次の富士駅で降り、コインロッカーに荷物を預け、下り電車で1駅戻って富士川駅へ。(前回のように身延線・柚木駅からのアクセスも可能)
富士川駅ホームから
駅前の旧東海道・県道396号線は、交通量が多く、歩道も狭いが富士山を正面に見ながら歩くことができる。
富士川駅前の歩道橋から

ブラブラ歩いて、結局また道の駅へ来てしまった。
そしてまた、「いでぼく(富士宮市の井出種畜牧場)」のソフトクリームを食べてしまう。ここのソフトクリームが好き。前回まではコーン入りしかなかったはずだが、同価格でプラスチックカップ入りのもできていた。
富士川駅方面からの富士宮行きバスが到着
富士川駅から道の駅まで、歩いても30分くらいだが、交通量の多い道で上り坂がある。タイミングが合えばバスで来たいと思うのだが、本数が少なく、今まで僕は乗る機会がない。
「山交タウンコーチ」という山梨交通系列の企業のバス。国際興業グループなので、秋北バスなどと同じくいすゞ製(これはノンステップ)で緑と白のおなじみの塗装。
「ICカード」と表示があるが、独自のカードでSuicaやPASMOは使えない。
なお、坂の下の富士川橋までなら「富士急静岡バス」(富士駅行き)も何本かあるようだ。こちらはPASMOに加盟している。

道の駅から見た富士川・岩本山、そして富士山

以前来たときも行ったが、道の駅の富士川と反対側は低い山になっていて、斜面がミカン畑になっている。ギンナン(イチョウ)も栽培されているらしく、黄葉している一角もあった。
ミカンと富士山
温暖な地域ならではの光景だ。
一般的な温州ミカンなら、12月中に収穫されるようなので、今頃は葉っぱだけだろうか。

北国に住む者としては感動的な光景。
写真に収めようとするとうまくまとまらない
ミカン畑のある山というか丘は高くはないが急斜面。こういう地形は東北にはあまりない。歩いて登ると息が切れるし、カーブも多く、車で登るにしても大変そうだ。
農家のお宅とミカンの木、狭い道路が接近しているので、犬に吠えられたりしながらも、風景を楽しませてもらった。
JAの年賀状みたい?

富士山をアップ
左に写っている黄色い果実は、ミカンではないカンキツ類。ミカンよりやや大きい。
場所によっては、ザボンとかレモンとかいろいろなカンキツ類が植えられていて楽しいが、この周辺ではあまり見かけず、圧倒的にミカンが多かった。

帰りも歩いて富士川駅へ。
途中のお店やお宅には「望月さん」が目についた。富士川流域など、静岡に多い姓のようだ。
そして秋田へ帰りました。
コメント (7)
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鹿児島のいろいろ

2010-12-26 22:27:03 | 旅行記
九州旅行記。そろそろ鹿児島市を離れます。※前回の記事

今回宿泊したのは、鹿児島中央駅から直線で約3キロ、近くの市電の電停からも1キロ強離れた、海沿いの与次郎(よじろう)地区。
1972年の国体の会場として埋め立てられたのが始まりで、今は運動公園のほか高層マンションや量販店、ホテル、オフィスビルなどが並ぶ。1996年には、近くに鹿児島県庁が移転して来た。

市中心部から与次郎へは、鹿児島市交通局と鹿児島交通の2社によって、路線バスが運行されている。本数はけっこうあるものの、2社それぞれ途中ルートが異なるほか、与次郎地区の経路はさらに細かく分かれているようで、イマイチ分かりにくい。
特に鹿児島交通さん。前にも書いたけど内容のない公式サイトをなんとかしてください!!(後日、改めて記事にします)

与次郎の海沿いの通りはヤシ並木になっているが、さらにその外側に遊歩道のようなものがあった。海に浮かぶような道で、桜島を眺められる。
朝に散歩してみた
近くの住民のみなさんが散歩したりランニングしたり、釣りをする人もいた。気持よく歩くことのできる、うらやましい環境だ。(夏は日差しがすごそうだけど)
この時も桜島が噴煙を上げていたが、この日は風向きが少し違い桜島の左に煙が流れていた。

鹿児島県庁へ。
鹿児島県庁行政庁舎
実質的な最上階である18階が、一般開放されている(土日祝日も含む。時間に注意)ので行ってみた。
庁舎1階にはクリスマスツリーがあった
閉庁日だったためか、薄暗い。設計年代が近いためか、雰囲気がなんとなく秋田県庁の第二庁舎に似ていなくもない。
ただ、違うのが、1階から18階まで、建物の中央が全部吹き抜けになっているということ。秋田市のアトリオンみたいな感じ。
よそ者が恐縮ですが、県の庁舎としては無駄に思えた。吹き抜けがなければ10階建てくらいで済んだんじゃない?
そのおかげで、100メートル近い位置(建物の高さは93.1メートル)から景色を眺められるわけですが。

閉庁日のためか、奥にある2台のエレベーターだけが18階直行として稼動していた。
18階には「展望ロビー」「展望レストラン」「特別会議室」がある。(会議室は非開放)
僕の経験上、この手の無料展望フロアには、「太っ腹でメインの景色を思う存分見せてくれるタイプ」と「肝心の部分は会議室やテナントなどで、一般人には見せてくれないケチなタイプ」が存在する。
静岡県富士宮市役所などは前者で、我が秋田のアルヴェなどは後者。鹿児島県庁はどっち?

でーんと桜島!
太っ腹!
「展望ロビー」などと控えめに言っているが、庁舎の2辺がまるまる開放されており、ほぼ全面ガラス張りで桜島と錦江湾を望めるのだし、これは「展望フロア」と呼んでもいいだろう。ソファやテーブルもあり、勉強している中学生? までいた。
なお、もう一辺が特別会議室、さらに一辺がテナントの展望レストラン。これらからは桜島は見えないと思われる。

海と桜島
午前中だったので逆光気味だが、後ろの方に大隅半島が見えている。
鹿児島を離れる前にいい景色を見られた。

ちなみに、何年か前に県庁の隣(海側)にマンションが建つ計画が持ち上がり、景色が見られなくなることを恐れた県が、その土地を何億だかで買ったそうだ。
吹き抜けや隣接地購入はともかく、その土地ならではの光景や街の様子を眺める場所を作って公開するのはいいことだと思う。観光や教育、地域住民の憩いの場や交流拠点となるので。
秋田市では新庁舎を建設する計画だが、効率や場所の制約を考えれば、ある程度の高層建築となるだろう。その際はぜひ、最上階を公開してほしいと願っている。


鹿児島に関した小ネタを以下にまとめて。
●ブラブラ信号機
鹿児島県庁裏の道の信号機。
まとまってぶら下がった信号機
「集約(式)灯器」または「懸垂(式)灯器」と呼ばれる設置方法の信号機。
道幅が狭かったり美観上の理由から、1本の柱から伸ばしたアームに、全方向分の信号機をまとめて下げている。(ただしここでは奥に通常のタイプも設置)
この設置方法でも、通常は横型の信号機になるはずだが、なぜか積雪地と同じ縦型の信号機が使われている。道幅やカーブの角度の関係だろうか。
秋田市に設置されているものと、柱や信号機の形までよく似ていて、おそらく同一メーカー製だろう。

●超薄型信号機カラー版
もう1つ、鹿児島県庁そばの信号機の話題。
県庁行政庁舎の隣には、鹿児島県警察本部が入る警察庁舎があり、その角が交差点。
遠くから見ると、グレーのアームに茶色の車両用信号機が付いるのが分かった。仮設ではたまにあるが、この交差点全部の信号がそのようで、なんてアンバランスなんだと思いながら接近。(歩行者用信号機は電球式のグレーだった)
「県警本部前」交差点
なんと、あの
フードなし&超薄型信号機!
正式には小糸工業製の「フラット型LED式車両用交通信号灯器」といい、以前三重県で見たように、一部の(都道府?)県でちらほらと試験的に設置されているのだが、一般的なグレーのボディのものしか知らなかった。その茶色版が設置されていたのだった!
このようにカラーバリエーションがあるということは、メーカー側では試作品扱いではなく、既に量産化されているということなのだろうか。

ただし、隣の「県庁前」交差点は普通のグレーの信号機(電球式だったか?)だったし、鹿児島では他には超薄型は見かけなかった。
試験的に県警本部お膝元の交差点に付けて様子を見ているのだろう。降灰時の視認性などを確かめるのだろうか。
板チョコみたい
ボディカラーは間違って注文でもしたのかしら?

●市電・在来線・新幹線
鹿児島中央駅周辺の案内サイン。
地下道にあったもの
このアイコンというかサイン。真ん中はバス=バス乗り場と分かるが、両端は何だろう?
どちらも鉄道車両に見える。左は正面から見た車両、右は側面から見た車両で集電装置のパンタグラフがある。
結論を言うと、JR乗り場と市電(路面電車)乗り場を示しているようだが、どっちがどっちか確証はない。

これは駅の自由通路にあったもの
こっちは文字も併記してある。
左下の地下道のと同じデザインの正面から見た電車のマークには「在来線」とある。
それに比べて上の段は妙にリアルな正面から見た800系車両の絵で「九州新幹線」。
秋田の大曲駅でも、新型E6系車両をサインにしていたが、どちらもぱっと見て「新幹線だ」とは連想しにくいのではないだろうか。新型車両を宣伝したいのだろうが、こういう案内は「誰にでも分かりやすいこと」が重要ではないだろうか。

●カウントダウン
九州新幹線全線開業を控え、あちこちでカウントダウンが行われていた。
鹿児島中央駅自由通路(みどりの窓口前だったか)
「西郷どーん」とかいうキャラクター入りのカウントダウンボードがあった。
デジタル式で日数だけでなく残り時・分・秒までカウントダウンする珍しいタイプ。
JR九州が設置したもので、熊本駅構内にはキャラクターが違う同じ装置があった。

一方、駅前には鹿児島商工会議所の「九州新幹線全線開業経済効果最大化プロジェクト実行委員会」が設置した、地元企業の広告入りのカウントダウンボード。
こちらは日数だけ

上の2つのボードは、同じ日に撮影したのだが、「日」が「98」と「99」で異なっている。なお、鹿児島市役所前の看板によるカウントダウンは、駅前のと同じ数字(この記事の写真は撮影日が異なるためずれています)。

時分秒まで表示するために1日の差が生じてしまうのだが、統一感が感じられない。
そもそも、時分秒まで表示する意味はあるのだろうか? また、いつを基準にカウントダウンしているのだろうか?
僕は最初、一番列車の出発時刻でもカウントダウンするのだと思った。それなら、意味があるし、さすがJRと思える。
でも、考えてみればまだ列車ダイヤは決まっていないわけであり、それはあり得ない。

何のことはない。開業日の0時0分00秒に向けてカウントダウンしていたのだった。うーん。
ちなみに、この西郷どーん、設置当初は着物が左前だったりいろいろ物議を醸したらしい。

●スゴカ
JR九州にもICカード乗車券がある。名前は「SUGOCA(スゴカ)」。Smart Urban GOing CArdの略だとのこと。JR東日本のSuicaと相互利用できる。

鹿児島ではまだ列車の乗車には使えないが、駅の一部の店舗などでは電子マネーとして利用できた。
鹿児島中央駅改札口向かい(総合案内所隣)にあるコインロッカーの一部は、電子マネー対応(決済だけでなく、カードを鍵として利用)のものだった。
そのロッカーは、秋田駅北側の階段の踊り場に設置された、最初のSuicaロッカーと同型。

秋田駅のもの↓
 この記事の画像の再掲

鹿児島中央駅のもの
機器の配置や画面が同じ

使えるカード
SUGOCA・Suicaのほか、「nimoca」と「はやかけん」だって。
「nimoca」は福岡周辺の私鉄・西日本鉄道(西鉄)グループ、「はやかけん」は福岡市営地下鉄のそれぞれIC乗車券。
似たような規格なのに、名前がいろいろあってヤヤコシイ。

キヨスクのレシート
Suicaで決済したのに、レシートでは「スゴカ支払」などとなっている。
他社でSuica決済した場合は、ずばり「Suica支払」と出たり、「電子マネー支払」と表示されるのが一般的。

●この植物は?
最後に、南国鹿児島では、やっぱり植物が珍しかった。
県警本部脇の植え込み
ソテツ(かな?)に混ざって、背の高いススキのような草が穂を出していた。雑草のようにも見えた。
イネ科植物のようだが、なんだか分からない。パンパスグラスかと思ったが、葉の付き方が違う。
ひょっとしてサトウキビ?
ご存知でしたら教えてください。

旅行記の続きはこちら

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ちょっとだけ桜島

2010-12-23 21:33:39 | 旅行記
前回に続いて、九州旅行記の鹿児島・桜島のお話です。
桜島は、かつては桜島町という独立した人口5000人ほどの自治体だったが、2004年に鹿児島市に編入・合併された。一種の飛び地だ。
桜島町と鹿児島市中心部を行き来するには、陸路は遠回りなので海を渡る(直線距離で3キロ程度か)。橋や海底トンネルを造ろうという構想もあるが具体的ではないようだ。現状では「桜島フェリー」が唯一の手段。

桜島フェリーは便数が多く、運賃も安くて利用しやすい。
今回使った、市電・市バスの一日乗車券にフェリーの割引券が付いていた(この記事で説明しています)ので、せっかくだから渡ってみることにした。あまり滞在時間はとれないけれど。


鹿児島県は島が多く、県庁所在地である鹿児島市にはそれらへ向かう多数のフェリーが発着している。乗り場は「鹿児島港」といっても散らばっていて、方面別にまったく別の場所なので注意が必要。
桜島フェリーは「鹿児島本港・桜島フェリーターミナル」という所を発着する。
鹿児島港の中では北の方で、JR(鹿児島中央でなく)鹿児島駅や鹿児島市役所に比較的近い。

フェリーターミナルへのアクセスは市電か路線バスがある。JR鹿児島駅からだと徒歩も可能で10分くらい。
バスは、鹿児島市営バスと民間会社(鹿児島交通?)が乗り入れているようで、それなりに本数があるようだ。(民間会社のホームページが秋田のバス会社以上にヒドく、路線がまったく把握できない)いずれも鹿児島中央駅・天文館・市役所前を通るはず。
市営バスの場合、「水族館行き」または「水族館経由ドルフィンポート行き」、それに観光循環路線のカゴシマシティビュー「ウォーターフロントコース」に乗って「水族館前」で下車すればいいようだ。中央駅からの運賃は180円。(民間バスなら、たぶん150円)

なお、鹿児島中央駅のバス乗り場は、市営・民間とも、天文館・市役所止まりのバスと共通の乗り場。(カゴシマシティビューは別)
この路線は秋田駅前の車庫行きバスのように、回送を兼ねたバスが次々に発着するので、ぼーっとしていると乗りそこねてしまう可能性がありそう。行き先に注意し、手を上げるなど乗車の意思表示をした方がいいかもしれない。

運賃160円均一の市電には、「桜島桟橋通」という停留所があるが、その1つ天文館寄りの「水族館口」電停の方が若干近いようだ。そこから徒歩5分ほど。(フェリー発行のガイドブックでは、水族館口が最寄り電停になっていた)
フェリーターミナル前の通り
上の写真のように、歩道橋・フェリー待合所・「かごしま水族館」が屋根付きデッキみたいなのでつながっている。
ほかに周囲には、NHK鹿児島放送局(平日昼間は4階から桜島を展望できる)、商業施設「ドルフィンポート」など、新しい施設がある。秋田市土崎港のポートタワー・セリオン周辺をもっと賑やかにしたような雰囲気。

桜島フェリーは、広島県の宮島へ渡るフェリーと、共通する点も多い。
宮島のフェリーは、民間会社(JR系含む)2社が競合し、早朝から深夜までほぼ15分間隔で運航、所要10分、片道運賃170円だった。

一方、「桜島フェリー」は公営。かつては桜島町営だったが、合併に伴い、鹿児島市船舶部が管轄している。
同じく鹿児島市の公営企業で運輸事業を行う、交通局(市電・市バス)とは別組織。(桜島町には町営バスがあったが、こちらは交通局に吸収され、現在は飛び地で営業している)
なんと24時間営業で、昼間は10~15分間隔で運航している(深夜は1時間間隔)。所要時間は約15分。車も運ぶ。
運賃は片道150円(バスや市電のICカード乗車券決済も可能)。上記の通り、市電・市バスの一日乗車券には、1割引券が付いてくる(往復各1回分)ので、120円。
さらに、あまり知られていないようだが、一部コンビニチェーンにある端末(ローソンのロッピーなど)でチケットを購入すれば140円で購入できるようだ。ローソン、ファミリーマート、サンクス(サークルKは?)が対応しているようだ。(車で乗る場合の割引もあり)

宮島連絡船同様、島側の桟橋でしか運賃収受を行わないシステム。
鹿児島市街側から行く場合は下船後に支払い、帰りは乗船前に支払うことになる。
そんな事情もあって、鹿児島市街側の乗り場は
がらんとしたたたずまい
定期券販売などを行う窓口はあるようだ。
まだ船に乗る前ですが、
桜島が見え、既に「ようこそ桜島へ」の看板も

行きに乗った船は、これ
第十五櫻島丸(帰りにすれ違った際に撮影)
またの名(愛称)を
チェリークィーン
「“桜”島」だから「チェリー」なのか。キャラクターはカブではなく、桜島ダイコンでしょうな。
他の船も含めて、宮島フェリー同様、前後どちら向きにも進める構造のようだ。

桜島フェリーには、現在6隻の船舶が就航している。(皆、「第◯櫻島丸」という名だが、数字は飛んでいる)
その中でこのチェリークィーンは3番目に新しく(1995年就航)、大きさではトップクラス。車を載せる甲板が2層になっており、客席も2層というか宮島フェリーのように展望デッキ(スカイデッキ)がある。納涼船や洋上結婚式などのイベントや貸切の運航にも対応しているようだ。
展望デッキ。煙突? には王冠?

下の階の船室
広々としていて、ラウンジのような場所(展望室)もある。
売店や名物だという立ち食いうどん・そばもあり、短時間の航海にしては充実した設備。

客席はガラガラだが、車両甲板はほぼ満車だったようだ。定員738名、乗用車積載64台。
宮島でもそうだったが、出港はあっさりとしたもので、以後、地元の皆さんは船室内で過ごし、観光客はデッキに出て景色を眺める傾向。
JRの宮島連絡船は、便によっては遠回りして大鳥居を見せてくれたが、桜島フェリーではそのようなサービスはなく、一直線に桜島に向かう。
だから当然、右側とか左側というより、正面に桜島が見えることが多かった。
スカイデッキから桜島
この時もひんぱんに噴煙を上げていて、我々観光客の目を楽しませていた。
すぐに桜島に入港
山が近すぎて、かえって見えにくくなった?
宮島連絡船は、港に正面から着岸していたが、桜島フェリーは脇を着岸。タグボートはいなかったようなので、横に進める装置を備えているのだろう。

桜島側は「桜島港(袴腰)」の「桜島港フェリーターミナル」。鹿児島市街側の「桜島フェリーターミナル」(“港”がつかない)と紛らわしい。
こちらもわりと立派なターミナルで、バス乗り場も同居する。島内は市営バスと民間バスがエリアを分けて運行している。

フェリーターミナル周辺は山が迫り、道路が曲がりくねっていて、見通しが悪い。
ターミナルを背にして、右方向に少し行けば、観光できる場所があるようだ。
300メートルほど進むと「袴腰」という交差点がある。その周辺に、道の駅や国民宿舎、霧島屋久国立公園のビジターセンターや散策路があり、徒歩で観光する場合は、ここがメインの観光スポットになる。

なお、宿泊施設や温泉施設があるので宿泊したり、車やバス(鹿児島市街発の定期観光バスもあり)で離れたスポットを巡る観光もできる。

海沿いには「溶岩なぎさ公園」という、2009年オープンの日本最大級の足湯を備えた公園、海と桜島を眺めながら溶岩の中を歩く約3キロの「溶岩なぎさ遊歩道」がある。遊歩道を少し歩いた。
溶岩と桜島
大正時代の大噴火の溶岩が固まった黒いゴツゴツした岩が一面にあり、独特の雰囲気。「火山島に来た」という気分。

遊歩道を抜け、道路を渡って道の駅へ。
道の駅桜島・火のめぐみ館
桜島ダイコンの漬物や、桜島小みかんという極小粒のミカンのお菓子など、桜島の特産品が並ぶ。農産物販売やレストランもある。(休業日あり)
ここならではのものが、
「小みかんソフトクリーム」
ややシャーベットっぽいシャリっとした食感で、ミカンの味がさわやか。おいしかった!

道の駅は国道224号線「溶岩道路」に面していて、近所には別の店もあった。
道の駅向かいに、平屋の地味な店があった。地元の商店かなと思ったけれど…
ファミリーマート!
緑と青の看板でなく、白と茶色の外観。(店舗名はファミリーマート桜島店)
道の駅の先には、
 
ローソンも青じゃなく茶色! しかも後ろには煙を上げる桜島!!(店舗名はローソン桜島店)
左の写真の手前の低い看板と、奥の高い看板では、地色と絵・文字の色が逆になっている。
これは、一帯が国立公園内なので、建物や看板の色や大きさに制限があるため。

道の駅やローソンの裏(手前は道の駅の駐車場)
奥の方に団地のような建物がある。
市営住宅と県営住宅のようだ。フェリーターミナルを挟んで反対側には、まとまった集落もあるようだ。
噴火を続ける火山のすぐそば、国立公園内(かな?)に住むのはどんな気分だろうか。
フェリーに15分乗れば60万都市の中心市街地へ行かれるし、コンビニやAコープもあるから、暮らしにはそれほど困らないのかもしれない。

駐車場の一角にあった木
南国っぽい照葉樹らしき木で、矢印のように、根が地上に露出しているような珍しい姿だったので、何となく撮影した。
帰ってから調べると、クワ科イチジク属の「アコウ」という種かもしれない。たぶん矢印が「気根」で、それを利用して岩場などでも生育できるようだ。合併前の旧桜島町の木で、島内には並木道もあるそうだ。

帰りのフェリー。
10分間隔で運航される時間帯だったが、結構な利用者。車の同乗者が多いのかもしれない(運転者以外は、普通運賃が必要)。
ターミナルには昔の鉄道駅風の改札口があり、そこで運賃を支払う。ICカードで支払う人はごくわずかで、ほとんどが現金払い。お釣りは出してもらえないため、近くに両替機が置いてあった。
次々に乗客が通るため、改札のおばさまは事務的に150円を収受していたが、僕が120円と割引券を渡すと、「まだどうぞお越しになってください」と言ってくれた。
来た時も同じ方だったし、数少ない割引券利用者で、道の駅の袋を持っていたので、観光客だと思ってくれたのだろうが、こういうちょっとした気遣いがうれしい。
本当に、いつかまた訪れたい。

帰りの船は、
第五櫻島丸(行きにすれ違った際に撮影)
行きの船と比べて、小さい。定員488名、乗用車積載34台。
1990年就航で、2番目に古い船。客室部分は狭く、うどん屋もあったが、窮屈そうな店構え。

なお、来年春、新しい船(この航路初の電気推進船)が就航することになっているそうで、おそらくいちばん古い船が更新されるのだろう。そうすれば、この第五櫻島丸がいちばん古くなる。
この便も自動車は満杯
こんなに車の利用があるのだから、10分間隔なのも当然。それが徒歩での利用者の利便にもなっている。
桜島フェリーは1日平均1万5千人もの利用者がいる。
桜島を後に
この船は、後方(=前方)を見晴らすことができ、遠ざかる桜島をずっと見られた。
10分間隔の運航だけに、鹿児島港に入港する頃には、次の船が桜島を出港してくるのが見えた。

鹿児島港に着いてバスを待っていると、桜島が噴煙を上げた。
もくもく
噴出量が多く、風が弱かったのか、ほぼ真上方向で、今回見た中ではいちばん高くまで上がった。
この後、やはり右後方に流れていったが、考えてみれば、大隅半島では降灰を受けているわけで、喜んでいるばかりではいけない。

再び鹿児島市街に戻って、続きます
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東洋のナポリ

2010-12-18 20:50:17 | 旅行記
前回に続いて、九州旅行記の鹿児島市のお話です。
鹿児島市といえば桜島。
その名のとおり、昔は「島」だったそうだが、大正時代(1914年)の噴火で、大隅半島と陸続きになった。しかし、鹿児島市内からは錦江湾(鹿児島湾)に浮かんだ島のように見える。
桜島というのは「島」の名で、山としては正式には「御岳(おんたけ)」と呼ぶらしい。さらに御岳は北岳・中岳・南岳という3つの峰から構成される。いちばん高い北岳が標高1117メートル。

以前、鹿児島を訪れた時は、悪天候で下半分しか見えず、いつかはその雄姿を見たいと思っていたのだけれど、今回は天気に恵まれた。
市中心部を流れる甲突川(こうつきがわ)から
このように、市街地からも美しく堂々とした桜島を眺められた。
“横に長い”山なので、1つの山でも連山のような迫力があり、日の当たり方の関係上、特に午後になると、ごつごつした山肌が手に取るように見えた。

忘れてはいけないのが桜島は活火山だということ。
市電に乗っていると、ヤシ並木の向こうに桜島がそびえる、鹿児島らしい光景の場所を通ったので、下車。徒歩で戻って桜島を見ると…
中洲通り「荒田」交差点から
ヤシと桜島の組み合わせに感動したが、山の上空にあるもくもくした白いものって…
最初、雲かと思ったが、雲とは動きが違う。風に乗って流れながら徐々に薄くなっていく。これって噴煙?
しばらく様子を見ていると、
新たなもくもくが
山の右側(南岳)から、グレーの煙状のものが立ち上ってきた。やっぱり噴火してるんだ!
煙が湧き出す速度は思ったよりゆっくりで、じわじわという感じ。火口や火が見えず、煙だけなので、山の裏側で煙を焚いているかのようにも見えた。
そして、風に乗って山の右後方に流され、拡散して色が薄くなっていくようだ。
この間、わずか数分。一連の流れとしては思ったよりも早い展開で、特に爆発音などは聞こえず、静かだった(「空振」がある場合もあるそうだ)。

山が噴火しているのを初めて見て、感動したが、イメージしていた噴火とは少し違った。
山によって噴火の仕方や火山灰の質が違うこともあるだろうし、仮に火柱が上がる大噴火などならのんびり見ている場合ではないのだけど。


活火山の近くに大きな都市が位置する鹿児島市のような例は、世界的にもまれであり、ベスビオ火山を望むイタリアのナポリに似ているので、鹿児島市は「東洋のナポリ」と呼ばれている。
桜島の周辺に住んでいる皆さんにとっては、噴火は日常のことであるが、やっかいなものでもある。降灰被害があるからだ。
天気予報では桜島上空の風向き予報があり、それによって洗濯物を外に干さなかったり、傘を持って出かけたりするようだ。風向きの季節変化のため、夏は鹿児島市側、冬は反対の大隅半島側(=鹿児島市から見て桜島の向こう側)によく降灰する傾向があるとのこと。(つまり上の写真のように冬は山の右後方に流れていった煙が、夏場はこちらに向かって襲いかかるということになるのだろう)
桜島はここ数十年は比較的活発に噴火しており、特に近年は活発で、今年は12月9日現在で894回と過去最多の記録を更新中。

降り積もるといえば、雪も同じだが、雪は冬だけだし、今は気象情報でわりと正確に予想がつく。仮に放っておいても融けて水になる。
でも、噴火は季節を問わないし、風向きはともかく噴火の回数や規模までは予報できないし、融けてなくなるわけではない。衣類や建物が汚れてしまうこともあるし、こちらの方が大変そうだ。


実際、いろいろな工夫がされているようだ。以下にご紹介する。
まず、報道によれば、鹿児島市は市立小中学校の教室にクーラー設置を進めているという。夏の降灰時に窓を開けられないからだ。(真夏日が多い地域だから、既に設置されているかと思ったが、そうでもないんだ)
そして、天文館周辺でアーケード街が発達しているのは、灰の影響を受けずに買い物してもらうという意図もあるようだ。

中心部の国道の歩道にいた車(機械?)【19日追記】ナンバープレートがないので、やっぱり「機械」扱いかな
国土交通省という表示があり、なぜか無人でアイドリングしていたが、歩道の清掃をするもののようだ。
車道用の散水車や清掃車はどこでも見るが、歩道用のは初めて見た。
回転するブラシがついている

これはわりと有名だけど、
鹿児島市内各所の道端にこれがある
同じ大きさの袋だけが置かれており、ゴミ捨て場ではない。表示を見ると、
「宅地内降灰指定置場」
各家庭に積もった灰を袋に入れてここに置けば、市が回収してくれるのだ。
灰を入れるのは、厚手のレジ袋みたいな「克灰袋」。
一定量の降灰があった地域の家庭に市から無償配布されたり、市役所でもらえる。
克灰袋
市のサイト(http://www.city.kagoshima.lg.jp/_1010/shimin/4kankyoricicle/eisei/_33253.html)には、同じデザインで透明な袋と黄色い袋の写真が出ているし、上の写真でもその両方が出されている。違いは何だろう?

以前は、「降灰袋」と呼んでいたそうだが、今は「克灰袋」なのだそうだ。
そういえば、秋田ではあまり使わないが、青森などでは「克雪(こくせつ)」という言葉を行政などが使う。雪や火山灰の被害に打ち克とうという意味合いなのだろう。
「克灰袋」の読み方だが、「かつはいぶくろ」としているサイトなどもあるが、鹿児島市総合案内コールセンターのサイト(http://www.33call.jp/faq2/userqa.do?user=faq&faq=03&id=4005001&parent=399)や「デジタル大辞泉」では、「こくはいぶくろ」とかな表記されているので、これが正式なようだ。

なお、鹿児島市では、レジ袋を二重にしたものに火山灰を入れて出してもいいそうだ。
鹿児島市でもレジ袋削減運動は行われているようだが、この点ではまだ使い道がありそうだ。


それから、大量に降灰があることを「ドカ灰(どかばい)」と呼ぶそうだ。
偶然なのか、雪国で短時間に大量に降雪・積雪することを「ドカ雪(どかゆき)」と呼ぶのと同じだが、「~ばい」と九州弁みたいでおもしろい。
ハトの歩いている辺りの地面は火山灰?
皆さんが清掃してくれるおかげか、市内ではほとんど灰が積もっている場所はなかったが、一部の空き地や公園では火山灰らしきものが残っていた。


勝手に撮らせてもらった、
お墓
上の写真のように、屋根がついたお墓が一部にあった。(周囲にあるような、一般的な墓石も多かったが)
もう少し簡素なトタン屋根だったり、いくつかのお墓をまとめて1つの屋根で覆った自転車置き場みたいな形式もあるようだが、鹿児島では屋根つきの墓石がある。
これも、火山灰からご先祖を守る気持ちが込められているようだ。(ただし一種のステイタス的なものでもあるようで、降灰がない地域でも見られることがあるようだ)


次はバス好きの方以外にはあまり知られていないようだし、直接的に降灰と関係するのかはよく分からないが、
鹿児島市交通局(左)と比較のため旧秋田市交通局(右)のほぼ同型の大型路線バス(日野ブルーリボン)を比較してみる。(秋田市の方が若干新しいと思われるが1990年前後の製造)
【2014年5月6日追記】写真の鹿児島市営バスは、1989年式とのこと。旧塗装の最後の世代で、2013年ですべて廃車になったそうだ。
 
ヘッドライトの形やバンパーは年式やデザイン上の違いとして、ほかにも違いがある。
反射して分かりづらいが、フロントガラスとワイパーに注目してほしい。
鹿児島のは1枚ガラスでワイパーが重なるように配置されているのに対し、秋田市のはガラスもワイパーも左右に分かれている。

路線バスのフロントガラスは、2枚に分かれているのが一般的なので、鹿児島市の方が珍しい。
鹿児島市交通局では、何年か前まで、このような独自仕様のガラスとワイパーを採用していたそうだ。

上記の通り、理由は明確ではないが、降灰時の拭き取り能力や視界確保を狙っていたのではないだろうか。
ただし、市営バスでも同年代の中型バス、それに鹿児島市内を走る民間会社のバスは、以前から標準タイプの2枚に分かれたフロントガラスとワイパーだし、市営バスで最近増加している新しい大型バスは標準仕様で導入していたので、有効性や費用対効果はさほどなかったのだろうか。
(なお、正面のウインカーの位置も違い、秋田市の方が高いが、おそらく積雪時の視認性確保だろう。秋田市営バス以外でも、雪国のバス会社の車はこの位置についていることがあったが、最近の新車ではあまり見られないようだ。)



なんやかんやあっても、桜島は存在感のある美しい山だと思った。
鹿児島市は山が街に迫っており、急な坂の途中に住宅地が広がっている。夕暮れ時、その1つに上ってみると、街並みの向こうに夕日に照らされた桜島が噴煙を上げていた。
【19日追記】こうした山というか丘が、「シラス台地」なのかな?
東洋のナポリ
続きます
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鹿児島市内巡り

2010-12-17 23:05:17 | 旅行記
九州旅行記です。前回に続いて、鹿児島市内を紹介します。

中心部をうろうろするので、鹿児島市交通局の一日乗車券を使用した。市電・市バスの全路線(観光路線バス「カゴシマシティービュー」も含む)が乗り放題で600円。
市営バスの定期観光バスや民間事業者の路線バス(例えば平川動物園方面など)は乗車できないが、市中心部を移動するのならかなり便利。
市電は160円均一、市バスは中心部で180円均一なので、最大でも4回乗れば元が取れる。

鹿児島市交通局の一日乗車券には、いずれも同額で乗車券としては同効力の、「市電・市バス1日乗車券」というものと「カゴシマシティビュー1日乗車券」というのがあるらしい。(券面のデザインは異なる)
繰り返すが、利用できる乗り物は同じ。だが、後者には、観光施設などの割引券が付いてくる点が異なるようなことが交通局のサイトには記載されている。
また、発売箇所も異なり、前者は市電や一般路線バス車内、取り扱っている市内の商店・郵便局・ホテルなど。後者は駅の観光案内所やカゴシマシティビュー車内とのこと。

で、僕は泊まったホテルのフロントで購入したのだが、渡されたのは前者の方。でも、ホチキスで観光施設割引券が綴じられていた。前者なのに後者と同じものが入手できたことになる。
なお、他のサイト等では、前者を購入しても、カゴシマシティビューに乗車した際に別途割引券をくれるという記述もあった。よく分からん。
観光しない市民の利用を想定して、種類を分けているのだろうが、それなら乗車券部分は共通にした方が分かりやすく効率的ではないだろうか。
※鹿児島市の公共交通事情については、後日、別記事にするつもりです。

では、建物巡りから。
繁華街の天文館や桜島フェリーの桟橋、鹿児島駅近くにある、
こちら
南国の青空に映える、どっしりとした建物は、鹿児島市役所本庁舎の本館(というのが正しいのかな)。
国指定登録有形文化財(登録名は「鹿児島市庁舎本館」)で、1937(昭和12)年築。当時の大蔵省が設計した府県庁舎を踏襲したデザインのようだ。
新幹線開業のカウントダウンが設置され、銅製の装飾が隠れてしまっている
建物は現役で市長室や一部部局が入っている。ただし、多くは周辺にある3つの分館に入居しているようだ。(この日は閉庁日だった)
てっぺんには市章をモチーフにした装飾
鹿児島市の市章は、遠目に見ると秋田市の市章に似ている。

市役所の裏手にそびえるのが、眺めがよく、西南戦争の戦地でもあった「城山」。(今回は行かなかったけれど)
1996年までは県庁がふもと(=市役所と城山の間)にあったそうで、今はその跡地が「かごしま県民交流センター」になっており、その一角にあるのが、
鹿児島県政記念館(後ろが城山)
旧県庁舎本館の玄関部分を保存したもので、1925(大正14)年築。「ネオルネサンス様式」らしい。こちらも登録有形文化財。内部は無料公開され、喫茶室もある。
これがつい最近まで現役の県庁だったとは…

さらに近くには、
これもまた味わいのある建物
1927(昭和2)年築の登録有形文化財で、これも現役の「鹿児島市中央公民館」(建設当時は鹿児島市公会堂)。
城山を横に見る
700人規模のホールもあるそうで、中は改修されているのかもしれないが、長く大事に使い続けているのがすごい。

ほかにも、鹿児島市内ではいくつかの古い建物が大切に使われている。
鹿児島市中心部は戦争で空襲を受けているそうだが、それなのに残っているのは奇跡的ではないだろうか。(秋田市中心部は空襲を受けていないのに…)


さて、ほんの少し離れて、天文館の裏あたり。
公園があった
商店やオフィスがちらほらあって、住宅やマンションが並ぶ中に、公園があった。イチョウが黄葉していて近所の家族連れなどが遊んでおり、秋田市中通の通称「たまご公園」に大きさも雰囲気も似ている。
でも、ただの公園ではない。
「キリスト教伝来の地」
1549年、フランシスコ・ザビエルが現在の鹿児島市に上陸し、日本での布教の第一歩をしるした。上陸した場所は、鹿児島駅近くだそうだが(記念碑があるらしい)、ここは、明治時代にその功績をたたえて教会が建てられた場所そうだ。
その教会は空襲で焼失し、跡がその名も「ザビエル公園」という公園になったらしい。
公園内には、教会の壁の一部が「ザビエル滞鹿記念碑」として残されている。
ザビエル滞鹿記念碑。耐震性が心配だけど…

記念碑。奥にはザビエルの銅像も
上の写真の記念碑右側には「フランシスコザビエ/聖師滞鹿記念」とあり、なぜかザビエルの「ル」が抜けている。
ザビエル像
教科書のハゲ頭の絵とは違う印象。ほかに布教に同行した薩摩人の像もある。

公園の真向かいには、
現代風教会
公園の位置にあった教会が、向かいに移転したらしい。
「鹿児島カテドラル・ザビエル教会」といい、1999年(渡来450年)築の新しい聖堂。ザビエルの遺骨が安置されているようだ。

公園や教会前の交差点には地点名(交差点名)が表示されていた。【18日追記】マピオンの地図によれば県道「千石馬場通り」と市道「二官橋通り」の交差点。
「ザビエル公園前」劣化気味ですな
そこから100メートルほどの所を国道3号線「中之平通り」が走っていて、その地点名は、【18日追記】マピオンの地図によれば国道と市道「二官橋通り」の交差点。
「ザビエル公園入口」こちらは新しい表示板
「St. Xavier Park」と英語名も表記。「入口」が省略されてしまっているが、「聖ザビエル」と敬称付き。


ほかにも見所はまだまだあるけれど、時間が足りないので、これくらいにした。鹿児島に来たからには桜島を見たい。続きます

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鹿児島市

2010-12-15 20:04:39 | 旅行記
九州旅行記です。前回は鹿児島中央駅へ到着したところまででした。
前回の補足をすると、秋田市から鹿児島市まで鉄道を使って移動する場合、順調に乗り継げば12時間で到着できる。例えば、秋田6時02分発の秋田新幹線に乗って、次々に3回乗り換えれば、鹿児島中央18時03分着と、12時間と1分で着く。
思ったより早い気がしません?
3月に九州新幹線が博多まで開業すれば、乗り換え回数が1回減り、50分程度短縮されるようだ。


この記事では、鹿児島市中心部の様子をざっと紹介します。
鹿児島市の人口は約60万。福岡、北九州、熊本に次ぐ九州第4の都市で、鹿児島県の人口の3分の1が集中する。
大都市制度の「中核市」であるが、同じく中核市である熊本市が政令指定都市に移行する予定であるため、その後は鹿児島市が日本最大の中核市になるとのこと。

我が秋田市と比べると、秋田市も県人口の3分の1が集中し、中核市であるが、人口は鹿児島市のほぼ半分。
市の面積は秋田市の方がだいぶ広く(鹿児島547.06平方キロ、秋田905.67平方キロ)、したがって人口密度も秋田市の方が低い。


新幹線の南のターミナルでもある、鹿児島市の中心駅は「鹿児島中央」駅。宮崎方面、指宿・枕崎方面の列車も発着する。新幹線開業前は西鹿児島といっていた。
駅の構造としては、秋田駅と同じような自由通路上に改札口がある橋上駅舎。(新幹線はさらに高架になっている)
駅正面
駅舎への階段は、南国らしい開放的な造り。駅舎の壁は、以前訪れたときは真っ赤だったのだが、今年初めに内部のリニューアルに合わせて真っ黒に塗り替えられた。

隣接する駅ビルが新幹線開業時にできた「アミュプラザ鹿児島」。
さまざまな店舗からシネマコンプレックスまで入居する大規模なもので、てっぺんには「アミュラン」という観覧車まである。
駅に観覧車!
鹿児島中央駅は、繁華街からやや離れた位置にあるのだが、アミュプラザのオープンにより、駅周辺に人が集まるようになったという。
ほかには駅の向かいに「ダイエー鹿児島中央店」があるくらいで、他に大きな商業施設はない。なお、鹿児島市内には他にダイエーが2店舗(鹿児島店・鹿児島谷山店)ある。


鹿児島中央駅のほかに、北隣に「鹿児島駅」がある。両駅は直線距離でも3キロほど離れている。
鹿児島駅には宮崎方面の特急列車も停車するが、あまり大きくない駅。
鹿児島駅。国鉄の中規模な駅っていう感じ
鹿児島駅前には、鹿児島市交通局の路面電車(市電)の乗り場があり、鹿児島中央駅など市内各地を結ぶ2系統の始発/終着地点になっている。
市街地と市電路線の略図
市電は中央駅を通らない系統があるので注意。
鹿児島駅近くには、市役所や桜島へ渡るフェリー乗り場(いずれも後日アップします)などがある。

それらを過ぎると、鹿児島市最大かつ南九州最大の繁華街「天文館(てんもんかん)」。
変わった名称は、江戸時代に薩摩藩の天文観測所があったことにちなむもの。現在は、特定の地点を指すのではなく、一帯の総称として「天文館」が使われている。

天文館周辺を貫いて路面電車が通る幅の広い通りがあり、その周囲に道幅の狭いアーケード街が網の目のように広がっている。【2013年11月28日追記】天文館のアーケードは降灰対策が大きな目的で、戦前から設置されていたという。屋根上に積もった火山灰の撤去作業を定期的に行っているとのこと。
ちょっと歩いたくらいでは全貌をつかみきれないが、地元百貨店や商店街、さらには歓楽街まで揃っていて、昼間から夜まで、多くの人で賑わっていた。
訪れた日は商店街などの団体の協力により市電運賃を割引する日(天文館地区で降車するICカード利用者限定)だったこともあるのかもしれないが、秋田市の倍の人口の街とは思えないほど人出が多かった。子どもから若者、お年寄りまで、お客の年齢層に偏りがないようにも感じた。
地元では、新幹線の開業により、福岡へ買い物客が流れてしまうという危機感があるそうだが、そんな心配はいらないのではないかと思えるほどだった。
やや強引だけど、秋田市で例えると、昭和時代の賑やかだった広小路・仲小路、金座街、大町の名店街、川反を1つにまとめたような感じ。(総面積は同じくらいか?)
夜9時過ぎの天文館(天文館通電停付近)
忘年会シーズンということもあるだろうが、遅い時間でも市電の乗客がたくさんいるし、街を歩く人が多い。
市電、市営バスは普段は22時台が最終便のようだが、12月の週末だけは、23時ちょうどに天文館を発車する特発便を「イレブン電車、イレブンバス」として運行していた。
夜9時過ぎの商店街
同じ頃、同じ天文館エリアでも(歓楽街ではなく)商店街の一角のアーケードは、シャッターが下りて誰も歩いていなかった。
これはこれでいいと思う。これが正しい「地方都市の夜」の姿であり、昼間は賑わうのだから。(我が秋田市は昼間も賑わわない…)


南国鹿児島は、植物が違った。
鹿児島中央駅前
市電の線路との境には、背の低いコスモスが咲いていた。12月にコスモスなんて、信じられない。
なお、線路の部分に芝が植えられているが、これは「軌道敷緑化」といって、ヒートアイランド緩和、景観向上などを目的に、近年実施されたもの。
手入れが行き届いており、きれいに刈り揃えられ、青々としていて、目にもやさしい。

街路樹のクスノキ
鹿児島市の木がクスノキであるためか街路樹に多く使われていた。
後ろの路面電車のオレンジ色と緑色が、鹿児島市電の標準塗装のようだ(広告電車と新型電車を除く)。

ヤシノキ並木
ヤシノキもよく見かけた。気のせいか、今ままで他の街で見かけたヤシノキよりも元気そう。それだけ南ということか。

 ハイビスカスとブーゲンビリア
どちらも花の盛りの時期ではなかったようだが、露地植えを見たのは初めて。
公園や施設の植え込みに普通に植えられていて、ハイビスカスは、最初、派手なムクゲかと思った。
天文館エリアの「いづろ通」電停から
奥に見える重厚な建物は、地元百貨店「山形屋(やまかたや)」。
線路の間に小さな花壇が設けられているが、そこに植えられているのはポインセチア!
秋田では、鉢植え以外は考えられないけれど、花壇になるとは驚いた。
(宮崎県には、斜面に露地植えしている場所があるらしい)

鹿児島市の話は続きます
コメント (8)
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