そう言えばよく似てた

　元ＡＫＢ４８、女優の前田敦子さんが結婚するそうです。まったく興味が無いので、三文字タレント集団は、顔さえ覚えられません。ただし、今が売れっ子の指原さん、あの独特の声質と喋り方が好きです。それに、こじるりこと小島瑠璃子さん、頭の回転の良さは、見ていて気持ちが良いです。
　
　さてさて、昔話、非常勤だった私塾に、前田敦子さんそっくりの新人さんがいました。故郷を離れ、初めて務めたのが、私が非常勤で教えていた教室でした。一見して「テレビに出ている・・なんとかチャンによく似てるねぇ」と。これで、私の言いたいことは通じました。教室でも、何かと評判の良い可愛い娘さんでした。
　
　この娘、次第に無口になりました。顔色も悪くなり、化粧っ気のない顔から笑顔が消えていました。年頃の娘さんは、いろいろな色恋問題も抱えるだろうし、それも試練、青春の思い出だと、勝手に一人で思う私でした。
　
　ある日の授業後、その娘さん「祖父の葬儀に出ます。一週間ほど休暇を取ります」と生徒さんを送り出した私に、暗い顔で言いました。お悔やみの言葉をかける私は、娘さんが、お爺さん子だったと感じました。
　
　その年の暮、受持クラスは全員合格を果たしました。私としては途中から来なくなった受講生も数に入れていましたので、手放しでは喜べませんでしたが、生徒たちは、忘年会も兼ねた打ち上げを計画してくれました。
　
　生徒さん達の希望で、前田敦子さん似の娘さんは、私から誘いの言葉をかけました。久しぶりの笑顔で「会議が無かったら行きます。生徒さんに誘われたのがとても嬉しいです」と楽しげに言いましたが、数日後メールで「会議、入りました。（涙）」のメールが届きました。

　翌春、その娘は隣県の大きな教室に転勤、新入生教室で久しぶりに合った娘から、転勤の挨拶をされ、その娘の異変に気づきました。精気のない話しぶり、目に涙をいっぱい溜めて「教室は楽しかった」と言うのがやっと。『Ｎ市教室は会議でいつも行くよ。よろしくね』
　
　Ｎ市教室では一度しか会えませんでした。Ｎ市教室の講師たちが「使えない娘、代えてほしい」等など苦情が出始めました。その後、女子職員から聞いた話では『大好きだった、お爺さんの葬儀以来変になった。鬱病らしい』と。
　
　その後の消息は分かりませんが、あの上司たちの元では・・・と思いました。きっとお爺さんが悲しんでいることでしょう。上司の方々は、自分の娘にも、あのような辛辣な叱り方をするのかなぁ・・・。つい、昔を思い出してしまいました。おしまい。