森の案内人 田所清

自然観察「独り言」

コアニチドリ

2022年09月06日 | 自然観察日記
雪渓を渡って対岸の草付きに行きました。少しへつるようにして草をつかみながら岩の斜面を登っているときに小さな白い花が目に付きました。さらに行くとかなり大きめな株になって花を咲かせています。コアにチドリです。こんなに大株になって開花しているのを見るのは初めてでしたから思わず「おおっ!」と声をあげてしまいました。ヌマガヤなどの株元にしがみついていいる株やスラブに張り付いている株などこの斜面にはかなりの個体が生育しているように感じられました。

コアニチドリの花

2022年09月06日 | 自然観察日記
ラン科ヒナラン属の多年草で主に日本海側の多雪地域の深山湿った崖に見られる絶滅危惧Ⅱ類にあたる貴重な種です。花は小さいのですが澄んだ白い色で舌弁には紫の線条斑点がありアクセントをつけています。

コアニチドリの葉

2022年09月06日 | 自然観察日記
そもそもコアにチドリが生育している場所は容易にはいけないような場所で、ましてや花が付いていないとその存在に気づくことも難しい種のためにあまり話題にならないようです。また、栽培が難しいのか園芸店でも見かけません。貴重な種ですからむしろそういう取り扱われ方をされていることがうれしい気分です。ここは会いに来たいときは夏場30分ほど山道を歩けば出会える場所です。