越後の大工刃物販売日記

大工刃物産地の新潟から日々感じた一言。
最近は食べ物ブログに変更しつつある?

「鉋の銘」のミニ情報

2016-04-13 23:54:21 | ミニ情報
【 本日2本目 】

鉋の銘(名前)には大きく分けて2種類あります。


ひとつは作者の鍛冶屋さんの銘の場合。

これにも鍛冶屋さん自身が銘を切る場合と鍛冶屋さんの刻印の場合があります。

たとえば碓氷健吾氏なら「晩悠」「無限の夢」など、これは碓氷さん自身が銘を切った鉋です。





こちらは舟弘さんの「玄妙」ですが、こちらは刻印です。





ふたつめは問屋さんの銘の場合。

この時は鍛冶屋さんに問屋が預けた刻印を打つ時と
無印の鉋を問屋が彫金屋さんに持ち込んで銘を彫金する時があります。

下の「源利彦」は弊社橘産業の前身の石黒産業当時に碓氷健吾氏に刻印を預けて
作ってもらった鉋です。



左下の「碓 健」の刻印で碓氷健吾作とわかります。

(以前碓氷さんから聞いた話ではこの「碓 健」刻印も碓氷さん本人のものと
微妙に大きさが違う問屋さんが作ったものがあり問屋さんが作った刻印は
碓氷さんがその問屋の鉋を作らなくなった時に引き上げて別の鍛冶屋さんに作らせた時にも
「碓健」刻印を打たせたことがあったらしく「碓健」の刻印が打ってあるのに
碓氷さんが作ってない鉋が存在したことがあったようです。)

それにしても「幻」の字が「幼」の誤字になっているけど刻印を作る時に
誰も気が付かなかったのか?(笑)


「國寿(くにとし)」も石黒産業時代に碓氷さんに作ってもらった鉋です。

一見銘切りに見えますが、そのように見える刻印です。

こうなると碓氷さんが作った形跡は全くなく作らせた問屋でなければわかりません。

(といっても鉋自身の造りに品がある)



「削る心」も石黒産業時代の碓氷さんの鉋ですが、これは問屋銘にも関わらず
碓氷さんに銘を切ってもらっています。




今、与板には銘を切る専門の彫金屋さんがいなくなったので
刻印か鍛冶屋さん自身が銘を切るしかなくなりました。

昔、彫金屋さん(高峰さん)がいられた時にはこんな鉋も作れたのですが
今ここまで彫れる名人はいなくなってしまいました。

(写真は小森さんの豆平鉋)





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 吉野家 「豚丼」 | トップ | 新たな出会い&クルメツツジ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ミニ情報」カテゴリの最新記事