治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

発売後たった一週間で

2017-09-01 08:50:35 | 日記
8月23日に書店発売が始まり、それを見届けて24日から臨海学校へと出かけました。30日に戻ったら神田橋先生から感想ハガキが。そして読者の方からメールが。とてもうれしかったです。なぜならその読者の方からのメールで、私が「発達障害、治るが勝ち!」を出した一つの目標が実を結んだのを確かめられたからです。しかもたった一週間で。そして神田橋先生の感想は、まさにそれを予言するようなかたちになりました。どちらから先にご紹介しようかと考えたのですが、まずは読者の方からのメールを個人情報を落として貼りますね。

こういう人を増やしたくて、私は「発達障害、治るが勝ち!」を出したのです。


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  はじめまして。僕は○○県内○○町在住の発達障害当事者(アスペルガー症候群)です。

 名前は○○と申します。現在○○歳です。

 (公立の)A病院に8年ほど入退院を繰り返し、現在は状態が健全な方向へ向かっていると判断(自分でしました)して、より家に近い私立のB病院に転院しました。
 薬は、デパケンやリスペリドン、ベルソムラ、ジプレキサなどが現在処方されています。

 「ゆる体操」という、体をゆすってゆるめて柔らかくする体操をずっと続けています。
背骨をゆるめるエッセンスも含まれており、栗本先生のエッセンスも含まれていると思います。健康面に効果が出ていると実感しています。

 さて、A病院をやめたあと、心身の健全さが充実してきたので、就労支援に挑戦しようと思い、ボランティアも含めて二つほど事業所を体験し、少しずつ手ごたえを感じていたのですが、訪問看護職員や支援相談員、就労支援さきの理事長、そしてA病院時代の主治医もですが、「無理しないでください」、「いざというときがありますから、慎重になりましょう」、「○○さんは変化に弱いから、ゆっくり行きましょう」など、「気力も体力も充実してきた。これから頑張ろう!」となっているぼくの気持ちにブレーキをかけ、あしをどこか引っ張るような言葉かけばかりして、それを言われるたびに葛藤が起こり、つらい気持ちになってしまいました。
その状況は現在も続いています。

 そんな折、浅見さんの『発達障害、治るが勝ち!」という本を読む機会があり、発達障害支援ギョーカイの実態を知り、「支援者」たちの慎重論が出てくる背景がわかったような気がしました。
そして、「俺の未来は、支援とともにはないんじゃないか」と思い始めました。

 ちょうどA病院をやめたあたりから、「自分の人生は自分で切り拓かないと、自由も幸福も得られないよな」と思い始め、自分の人生に自分で責任を持つ主体性が身に付き始めていたので、周囲の「助言」には違和感を持ち始めていたのです。

 母は僕の意見にかなり賛同してくれ、「失敗して、悔しい思いもして、プレッシャーも受けながら、それらと向き合って乗り越え、成長することが大事」とか、「体力がないなら、少しずつつければいい」など、意見が一致して、僕の味方になってくれています。

 A病院の医師は、「就労支援の体験は一か月待とう(いきなり病院も変わり、就労支援の体験もするのはきついから)」と言っていましたが、なんで僕にそんなに暇な時間を過ごさせ、自分の意のままに生きさせようとするのか、理解できません。

 今年の初め、個人的に(中略)の信仰に出会い、心のよりどころができて、ぼくはそれから急速に成長し、自信がつき、自分の未来にも少しずつ希望が持てるようになってきました。
そして、そうなった今の僕は、これ以上、ギョーカイの支援を受け、彼ら(いい人たちだとは思うのですが・・・)の言う通りに人生を送ることに、大きな抵抗を感じます。

 実は、母の知り合いに、実直な活動を続けておられる発達障害支援者がいるのですが、この人は「○○さんは、普通にバイトすればいいと思います。支援とはかかわらないほうがいい」と言ってくれました。
僕も、「それがいいんじゃないかな」と思っています。

 しかし、(中略)の人生の半分近くを二次障害の被害(と、おそらく薬の副作用による苦しみ)と共に過ごし、社会と関りが薄かったため、社会がどういうところなのか把握がしきれていない実情があり、なかなか「支援なしの人生」の青写真が描けません。

 ギョーカイと距離をとる、もしくは縁を切りたいが、そのためにはどうすればいいのか、現在服用している薬はどうやって減らしていくのか、その際の病院(これもギョーカイでしょう)との付き合い方はどうするのか・・・など、苦悩が絶えません。

 このような次第で、花風社に相談し、助けを求めるべく、このメールを書きました。

 今の、そしてこれからの僕が、ギョーカイの支援を抜け、自分の、自分らしい人生を送るため、どうかご助言をたまわりたく存じます。

              
                 ○○県在住 ○○


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支援を切る。あるいは主体的に選び支援者のめんどりにはならない。そういう人を増やしたくて書いた本。わずか一週間でその手ごたえがあったことがうれしかったのでした。そしてお返事しました。

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○○さま

メールをありがとうございます。また、「発達障害、治るが勝ち!」をお読みいただきありがとうございます。あの本はまさに、○○さんのような方に届けたくて書いた本なので、販売後わずか一週間でこのようなメールをいただき、感謝です。

状況はよくわかりました。藤家寛子さんのかつてととても似ている状況なので、よかったら「30歳からの社会人デビュー」を読んでください。彼女は日本で最高レベルの支援を受けました。けれども健康になってくると、支援がむしろ邪魔になっていくのです。
そこで必要なのは、支援を受けなければいけない時期があっても、支援者の思惑を忖度することなく自分が主体的に利用していく主体性です。
彼女は見事にそれをやり遂げ、今は有資格者として販売業務につき週五日働いています。

たとえば体力づくり、習慣定着のために就労支援を利用し、通勤してそこで一定時間過ごすことは社会に出る前の良いトレーニングになります。実習に行かせてもらえることがあれば、それが就労につながつこともあります。そのときどきにあくまで、自分の判断を貫くことです。

おうちではお母さまに理解があるようですから、おうちの中のお仕事を積極的に手伝わせてもらってください。そういう積み重ねが就職したときに活きます。

減薬に関しては、やはり神田橋先生のもとへ行く以上にいい手段を他に知りません。鹿児島までは遠いですが、本当に一度行くだけで変わります。費用もかかりますが、これもご家族にご相談ください。

もしよろしければ、私のブログに個人情報を一切そぎ落としたかたちで(性別が男性だということだけはわかると思いますが)このメールを貼らせていただけないでしょうか。そうすると同じような体験をした藤家さんや、同じような人を助けてきた人たちからのアドバイスや応援がコメント等のかたちで寄せられると思います。参考になるかもしれません。

○○さんのような方を応援しています。

花風社 浅見淳子

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そしてブログに貼る許可をいただきました。
私からの返答に親子で力を得てくださったようでした。お母さまは涙を流されたそうです。

こういう人を応援していきたいです。

皆さんも応援やアドバイスがあれば、どんどんコメント欄に書き込んでください。

もちろん、あくまでも道を選ぶのは○○さんご本人なのですが
なかなか地域の支援の中では治った人、支援から卒業しようとする人には出会えないものです。
このブログを通じてでも、そういう人の声が届くといいなと思います。


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18 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
修行仲間が増えてうれしいです (こより)
2017-09-01 11:17:18
OOさんへ。支援や医療に頼るだけでなく、ご自身でうごきだそうとなさっている姿に 私も発達障害や病気を抱えつつも 自分の生き方を自分で選んで来たものとして、また 発達障害の息子たちを育てて 自立を見守ってきたものとして、うれしくなりました。

お母様が理解を持って支えて下さっている様子がうかがえて、いいお母様だと感じます。

ご自身で これをしてみたい、という事を見つけながら 挑戦していたれたらいいと思います。

藤家寛子さんの御本が参考になると思いますので、読まれるといいと思います。

ご自分で人生を選んでいかれることを決意されたことに、エールを送ります。
応援します。 (ねこら。)
2017-09-01 12:58:12
すばらしい決断とその進む道は豊かなものになると信じています。心からエールを送ります。
輝かしい未来 (ちゅん平)
2017-09-01 13:44:39
こんにちは、ちゅん平こと藤家寛子です。
○○さん、いいタイミングで浅見さんのご本に出会われたのですね。
このお手紙を読んで、自分の体験に酷似していることに驚きました。
だから、私の本が役に立ったらいいな、と思ったりします。
ひとつ、違うのは、私は出版に携わることで、花風社というひとつの社会に接していたということです。
また、浅見さんの実直なお人柄により、社会人に対するイメージが悪くならずにすみました。
○○さんも、今回浅見さんからのお返事で、その真っ直ぐさに触れられたと思います。
実際に社会やその中で生きていらっしゃる人に接していくことで、自分の社会での過ごし方や立ち位置が想像できるようになると思います。
でも、○○さんはすでに、社会の一員だということは忘れないでください。
難しく考えずに、自分がいる、その場が社会なんだと思ってみてください。
そして、与えられた場所で、最大限に輝ける何かを見つけられてください。
それが社会で生きていくということだと私は思っています。
○○さんの今後の人生が楽しいことに満ち溢れますように、心から応援しています!
自分らしく前に進んでくださいね。 (ねこ母)
2017-09-01 14:01:26
一度きりの自分の人生!思考錯誤しながらも自分で選んで自分で進む方がいいですよね。じっくりと自分らしい自分になる道を突き進んでくださいね。そして、支援する側にいる者として、前に進もうとする人の足を引っ張ることがないようにしたいな、と改めて思いました。
○○さん、応援しています!
Unknown (大久保悠)
2017-09-01 14:17:15
私も花風社さんの本から刺激を受け、治す方向へと歩みだした支援者の一人です。

私のところにも、〇〇さんと同じような経験をされた方、されている方からメール、ご相談を受けることがあります。
みなさん、「このまま支援者の手の中にいれば、一生自立はできない、自分らしい人生を歩むことができない」と気が付かれた方ばかりです。

私も地方に住んでいますので、街ぐるみで、当事者の方を囲いこもうとする状況は想像することができます。
しかし、この状況に対し「おかしいな」「このままではいけない」と思い始めた時点で、内側からはすでに主体性が出てきており、治りかけている状態だと思います。

浅見さんへメールのやりとりは、社会との接点。
社会は浅見さんのように、本気で向き合い、応援してくれる人が多くいるところです。
たとえ失敗しても、そこから学び、再び立ち上がろうとする人に、社会は温かい手を差し伸べてくれます。

〇〇さんがどのような選択をするにせよ、自分自身の考えと手で、その選択肢を掴んでいただければ、と思います。
全国にたくさんいる「治るが勝ち!」と思っている者の一人として、〇〇さんを応援します!
自分を信じて (いしちゃん)
2017-09-01 18:21:11
私の息子も通院していた時、ドクターから「刺激が強すぎるので、仕事を休んで引きこもり状態になって回復をはかったほうが良い」と言われました。
その言葉に納得できなかった私達家族は、服薬しながら仕事に行きました。午後からの仕事だったので、昼休みに送って行き帰りには迎えに行くという事を何ヶ月も続けました。幸いにして、3ヶ月ぐらいから症状が軽くなり、一年で薬も以前から飲んでいた薬だけになりました。
地域コーディネーターもジョブコーチも、ドクターの言うことを聞くようにおもっていたようでしたが、私達の覚悟におそれをなしたのか何も言いませんでした。息子もよくがんばりました。仕事に行って好きな野球を見に行くことを楽しみにがんばっていたようでした。
◯◯さんも、新しい一歩を踏み出す決意をされ、お母様も応援されているとの事。応援しています。
Unknown (フジイ)
2017-09-01 18:22:29
私も子どもの事で悩んでいる時に花風社さんの本に出会い、救われました。地域の療育センターや一般の病院の精神科、その他個人経営の塾など、なんとかしたかったので色々探して出かけましたが、無理させない様にがスタンダードですよね。。ですのでお気持ちすごく良く分かります。
今は花風社さんの本のおかげで沢山の事を学び、子どもは治ってきています。まだまだ修行中ですが、新刊に更に刺激を受けたので、もっと頑張りたいなと思っています。一緒に頑張って行きましょう!
お母さんとご自分を信じて! (nobutaku)
2017-09-01 19:09:05
これまでお母様とご本人様、もちろん家族の方々みなさんが、ご苦労をされてきたことと思いますが、
いまこのタイミングでこの本に出会われたことは本当に幸せなことだと思います。
たくさんの方が、私を含め、元気になり、生きづらいことが減り、人生を楽しめる状況になっています。
ご自身の思いとやる気、お母様のカンと愛情を信じて、これからもどんどん進んで行ってください!
応援しています(^○^)
応援しています (みならい怪獣)
2017-09-01 20:44:00
○○さんの身体や心の調子、お母様のお気持ち
全て正しいと思います。

やはり、自分の人生、主体性を持って
経験した事は、これから先の人生を豊かにすると思います。

誰しも行きていれば、成功や、失敗、つまづき、色々あると思います。
でも、根本が育っていけば怖くはありません。
何回でも立ち直れます。

息子はまだまだ独り立ちとまでは行きませんが、
修行仲間として応援します。

頑張りましょう。
僕の未来に! (いぬこ)
2017-09-01 21:17:08
拝読させて頂き、胸が熱くなりました。
切り拓いて。自由に。幸せに。
僕の未来。
言葉の数々にたくさんの思いや、決意が
溢れていらっしゃって。。

一般社会は、「僕」の様に、ちゃんと思い切り、
前向きに働いていく人を大事にします。

悩むことも誰だってあるし、波もある。
でも、ほっとかない人が必ずいます。
お母様がそうであるように。

減薬等の調整が上手にいき(内服しながら働いている人も現にいます)実社会の楽しさをうんと
味わっていかれることをお祈りしています!

私は42歳で取った資格を活かし働いてます。
自分の人生、いつからでも。
発達障害治るが勝ちです!
今があってよかった。僕の未来を、今を大切に
生きてください!応援してます。
心をこめて。