治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

通勤快速

2018-07-28 09:33:21 | 日記
6月の講座に二泊三日でやってきたちゅん平さんは都会生活をエンジョイしました。
まずは1日目。こちらのお友だちにろっぽんぎのライブハウスにつれていってもらったそうです。
ろっぽんぎのライブハウス。ぎろっぽんです。
横浜方面に泊まっていたので、帰り中目黒で東横線を待っていたら、「通勤快速」が来たそうです。

そうしたらちゅん平さんは一瞬「乗っていいのかな?」と迷ったそうです。
久々の自閉脳登場。
つまり

自分はライブハウスの帰り→通勤してない→通勤快速と銘打っている以上は通勤の人専門なのだろうか

という発想ですね。
そして自分で「わ~久しぶりに自閉っぽい発想しちゃったよ~」と突っ込んで無事に乗りホテルにもどったそうです。

この話聞いて私は「自閉っ子あるある」なので笑いました。
私は発達障害は治そうよと言いますが、一方で自閉文化は異文化としてとらえています。そして異文化ですから尊重しています。
でも不便そうなところはどうにかしようよ、という意味で「治そう」と言っています。睡眠障害なくなったほうがいいし、感覚過敏なくなったほうがいいし、季節によって翻弄されるのもなくなったほうがいい。そしてそれがなくなるとメンタルにも学習能力といった一次障害にもいい影響が出てくるのは皆さんご存じのとおり。それでも今回「通勤快速」に対してちゅん平さんが見せたような言葉へのハイパーりちぎさは残っているんだなあ、これが自閉文化なんだなあと思ったのです。まあこういうハイパーりちぎな認知は一瞬不便かもしれませんが、ここまで来ると別に治ってもそのままでもいいよね、と私は思います。少なくとも自傷や他害のように、感覚過敏のように、躍起になって治さなくて別にいいと思います。

そして発達障害って、自閉症って人による、って言いながら、やはり通底して持っているものがあるんですよね。
私はこの話を別の自閉の人にしました。
例のやまゆり園の模倣犯に間違えられた彼です。
夏休みで横浜に凱旋していたので、榎本さんと三人でシウマイ弁当おしゃべりをしました。ハマっ子にとってのソウルフードを囲みながら、ギョーカイの悪口で楽しい時間を過ごしました。
そのときにこの話をしたら「自分だったらやっぱり無難に急行とかで帰ってきますね」と言ったので笑いました。
この方は週五日勤務続けられただけあって身体は丈夫そうで、かつてのちゅん平さんのような感覚過敏とかはなさそうだったけど、でも文化は一緒なんだなあと思いました。

私はこの文化が結構好きなのかもしれません。
面白いから。
でもだから「発達障害治ってほしくない」とは思わないですね。
これが治るべきものかどうかも、治すべきものかどうかも、ギャラリーではなく本人たちが決めること。
そして治りたいと思ったときに選択肢を用意しておきたいな、自分がそういう役割をできるといいな、と思ってやってきました。
何よりも「苦しいところは治したいと思っていいんだよ」と伝え続ける人が一人くらいいてもいいと思っています。「治らなくていい」っていうことは、=「ずっと苦しいままでいなさい」ということなんだけど、そうささやくのが支援だってカンチガイしていますからね、ギョーカイは。


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