2009年5月19日に告訴状が受理されて以来、しばらく刑事的に何が起きていたのかはよく覚えていない。
もしかしたらあまり起きていなかったのかもしれない。
その間にも民事はあっさりと勝訴していた。
相手は困窮を訴えていたし、損害賠償の取立てはとくにしなかった。
刑事事件の動きを見ていたのだ。
私の興味は、こういうことに無力な発達支援の世界が
無力なままでいいのかという問題に移っていった。
触法少年に発達障害の診断がつくと、情報統制に走る。
それでいて目の前の触法行為には知らんぷり。
これでは支援団体ではない。圧力団体だ。
とはいっても
協力してくださった先生たちもいた。
中には協力を申し出ても、主治医に断られたという先生もいた。
要するに健常者の人権には関心がないのだろうなあ。
それで共存は難しいと思うけどね。
自閉症者が権利を横柄に駆使して跋扈するお花畑が理想なのだろうか?
当事者原理主義なんだろうなあ。
そう。実を言うと、支援者は揃って当事者原理主義だった。
普通一般に考えて、被害者は私たち夫婦のはずだ。やってもいない詐欺呼ばわりされていたのだから。
夫に至っては、社業にもかかわりがない。別の仕事をしている。なのに私の配偶者だというだけで実名で詐欺呼ばわりされていた。
大学という思想的にはリベラルな職場だから
訴訟を起こすときも会議で「精神障害者相手に訴訟を起こします。しばらく妙な電話を取り次がないでください」と報告すればそれですんだ。
YTのばらまくデマが、職場で差し支えになることもなかった。
けれども
もっと「カタギ」の職場だったら、実名で詐欺呼ばわりされること自体で、仕事上も不利益が生じたかもしれない。
それだけの被害だった。私たち夫婦にとっては。
ところが支援者の先生たちによると
被害者はひたすら「ニキさん」なのだ。
ニキさんがいないことにされている。
ニキさんが偽者にされている。
ニキさんがかわいそう。
ニキさん自身、これには戸惑っていた。
ニキさんはむしろ、私たちに迷惑をかけているという気持ちが強かった。
こっちのほうがまっとうな感覚だと思う。
支援者に社会性がなく、当事者に社会性があるっていうのは、まあこの世界よくあることだけど。
だからね、繰り返しますが皆さん
支援者=社会 だと思ったら大間違いなのです。
支援者自身の社会の見積もりが、偏っていることも多いのですよ。
支援者の脳内ではしばしば、いわゆる弱者は特権階級だからね。
つい最近も、そういう例見たなあ。セクハラ事件がらみで。
支援者にたきつけられて、当事者が他人に分をわきまえない要求をしている例。これはわりとよく見る。
まあともかく。
刑事事件はしばらく動かなかった。
ときどき警察から、YTを呼び出したけどドタキャンしたとか、そういう話が入ってきたけれど。
これが度重なると逮捕状請求しやすくなるらしい。
呼んでもこないのなら拘束するしかない。
じゃあ任意の事情聴取に呼び出し→ドタキャンも実績となるわけで
無駄ではないだろう。
私はゆったりとそう構えていた。
けれども死んだふりではない当方弁護士は、時々警察にリマインドしていた。
そういうものらしい。弁護士の仕事というのは。
決してこのまま刑事事件として立ち消えにならないと信じるだけの経験があったのだと思う。
でも担当刑事さんは、大きな事件の本部に出向などもあって
なかなか進まない時期が長かった。
この間にもYTは地検に対して担当刑事が誤った捜査をしているなどの虚偽の情報を流し「実績」を積み重ねていたようだ。
そういうことやったらまあ、自分に不利だよね。
つまりこちらが動かなくても、ことは有利に運んでいった。
この間に、藤居宮本吉川のトリオが現れたが
これも後に私に有利な材料となった。
動き出したのは、実は2011年になってからだと思う。
刑事さんの体が空いたのだろう。
捜査再開に際して、会社にみえた。
興味深そうに本を見ていたので、差し上げようかと思ったが、固辞された。ほしいものは自分で買うという。
贈賄になるといけないので差し上げるのはやめた。
そして実は発達障害にずっと前から興味を持っていたと教えてくださった。
そのころから、あれを出してくれ、これを出してくれ、というリクエストがたびたび来るようになり
私はいそいそと資料を集めては出した。
細切れに来るリクエストはときに仕事をとぎらせたが、一生懸命こなした。
とにかくYTを前科一犯にしたかった。
「いくら障害があっても、やってはいけないことはやってはいけない」と知らせるために。
私自身、警察にも何度か足を運んだ。
事情聴取を受けるたび、いやなことを思い出してつらかったが
麻布署の隣に花畑牧場のアンテナショップがあるのに気づいてからは
そこでソフトクリームを食べて気分を盛り返してから帰るのが習慣になった。
やがてニキさんも事情聴取を受けることになった。
震災の数日前だった。
そのころまでには私は「この刑事さんなら自閉症の人ともうまく話をするだろう」と思うに至っていたが
一応ニキさんの緊張を少しでもほぐすため、と同行をお願いし、許可された。
ニキさんは少なくとも表向き、とくに緊張することもなく事情聴取を終えた。
警察には
ニキさんも私も揃って、パスポートを持参した。
YTが見せろ見せろと言っていたパスポート。
民事裁判の資料は相手方に渡ってしまうので民事ではパスポートは出さなかったが
刑事告訴に際しては相手が警察だから出しても安心だった。
刑事さんはパスポートのコピーをとり、写真にも撮った。
事情聴取の最後に刑事さんがニキさんに「以上で終わりです。何かききたいことはありますか?」というとニキさんは
「おまわりさんは朝食にドーナツを食べますか?」ときいた。
そういう刑事ドラマをどこかで見たらしい。
そうしたら刑事さんは警察署の外まで送ってくれて、刑事さんたちがよく朝食を買うパン屋さんを見せてくれた。ドーナツも売っている。
だから朝食にドーナツを食べるおまわりさんもいそうだ。ニキさんは納得していた。
他人にパスポートを見せろという要求は通らない。
視覚支援はしてもらえない。
でもこういう疑問になら、答えてもらえる。
そこの違いを教えるのが教育だろう。
なんにせよ
こういう対応ができるこの刑事さんなら
加害者として自閉症者がやってきても上手に対応するかもしれない、と思った。
もしかしたらあまり起きていなかったのかもしれない。
その間にも民事はあっさりと勝訴していた。
相手は困窮を訴えていたし、損害賠償の取立てはとくにしなかった。
刑事事件の動きを見ていたのだ。
私の興味は、こういうことに無力な発達支援の世界が
無力なままでいいのかという問題に移っていった。
触法少年に発達障害の診断がつくと、情報統制に走る。
それでいて目の前の触法行為には知らんぷり。
これでは支援団体ではない。圧力団体だ。
とはいっても
協力してくださった先生たちもいた。
中には協力を申し出ても、主治医に断られたという先生もいた。
要するに健常者の人権には関心がないのだろうなあ。
それで共存は難しいと思うけどね。
自閉症者が権利を横柄に駆使して跋扈するお花畑が理想なのだろうか?
当事者原理主義なんだろうなあ。
そう。実を言うと、支援者は揃って当事者原理主義だった。
普通一般に考えて、被害者は私たち夫婦のはずだ。やってもいない詐欺呼ばわりされていたのだから。
夫に至っては、社業にもかかわりがない。別の仕事をしている。なのに私の配偶者だというだけで実名で詐欺呼ばわりされていた。
大学という思想的にはリベラルな職場だから
訴訟を起こすときも会議で「精神障害者相手に訴訟を起こします。しばらく妙な電話を取り次がないでください」と報告すればそれですんだ。
YTのばらまくデマが、職場で差し支えになることもなかった。
けれども
もっと「カタギ」の職場だったら、実名で詐欺呼ばわりされること自体で、仕事上も不利益が生じたかもしれない。
それだけの被害だった。私たち夫婦にとっては。
ところが支援者の先生たちによると
被害者はひたすら「ニキさん」なのだ。
ニキさんがいないことにされている。
ニキさんが偽者にされている。
ニキさんがかわいそう。
ニキさん自身、これには戸惑っていた。
ニキさんはむしろ、私たちに迷惑をかけているという気持ちが強かった。
こっちのほうがまっとうな感覚だと思う。
支援者に社会性がなく、当事者に社会性があるっていうのは、まあこの世界よくあることだけど。
だからね、繰り返しますが皆さん
支援者=社会 だと思ったら大間違いなのです。
支援者自身の社会の見積もりが、偏っていることも多いのですよ。
支援者の脳内ではしばしば、いわゆる弱者は特権階級だからね。
つい最近も、そういう例見たなあ。セクハラ事件がらみで。
支援者にたきつけられて、当事者が他人に分をわきまえない要求をしている例。これはわりとよく見る。
まあともかく。
刑事事件はしばらく動かなかった。
ときどき警察から、YTを呼び出したけどドタキャンしたとか、そういう話が入ってきたけれど。
これが度重なると逮捕状請求しやすくなるらしい。
呼んでもこないのなら拘束するしかない。
じゃあ任意の事情聴取に呼び出し→ドタキャンも実績となるわけで
無駄ではないだろう。
私はゆったりとそう構えていた。
けれども死んだふりではない当方弁護士は、時々警察にリマインドしていた。
そういうものらしい。弁護士の仕事というのは。
決してこのまま刑事事件として立ち消えにならないと信じるだけの経験があったのだと思う。
でも担当刑事さんは、大きな事件の本部に出向などもあって
なかなか進まない時期が長かった。
この間にもYTは地検に対して担当刑事が誤った捜査をしているなどの虚偽の情報を流し「実績」を積み重ねていたようだ。
そういうことやったらまあ、自分に不利だよね。
つまりこちらが動かなくても、ことは有利に運んでいった。
この間に、藤居宮本吉川のトリオが現れたが
これも後に私に有利な材料となった。
動き出したのは、実は2011年になってからだと思う。
刑事さんの体が空いたのだろう。
捜査再開に際して、会社にみえた。
興味深そうに本を見ていたので、差し上げようかと思ったが、固辞された。ほしいものは自分で買うという。
贈賄になるといけないので差し上げるのはやめた。
そして実は発達障害にずっと前から興味を持っていたと教えてくださった。
そのころから、あれを出してくれ、これを出してくれ、というリクエストがたびたび来るようになり
私はいそいそと資料を集めては出した。
細切れに来るリクエストはときに仕事をとぎらせたが、一生懸命こなした。
とにかくYTを前科一犯にしたかった。
「いくら障害があっても、やってはいけないことはやってはいけない」と知らせるために。
私自身、警察にも何度か足を運んだ。
事情聴取を受けるたび、いやなことを思い出してつらかったが
麻布署の隣に花畑牧場のアンテナショップがあるのに気づいてからは
そこでソフトクリームを食べて気分を盛り返してから帰るのが習慣になった。
やがてニキさんも事情聴取を受けることになった。
震災の数日前だった。
そのころまでには私は「この刑事さんなら自閉症の人ともうまく話をするだろう」と思うに至っていたが
一応ニキさんの緊張を少しでもほぐすため、と同行をお願いし、許可された。
ニキさんは少なくとも表向き、とくに緊張することもなく事情聴取を終えた。
警察には
ニキさんも私も揃って、パスポートを持参した。
YTが見せろ見せろと言っていたパスポート。
民事裁判の資料は相手方に渡ってしまうので民事ではパスポートは出さなかったが
刑事告訴に際しては相手が警察だから出しても安心だった。
刑事さんはパスポートのコピーをとり、写真にも撮った。
事情聴取の最後に刑事さんがニキさんに「以上で終わりです。何かききたいことはありますか?」というとニキさんは
「おまわりさんは朝食にドーナツを食べますか?」ときいた。
そういう刑事ドラマをどこかで見たらしい。
そうしたら刑事さんは警察署の外まで送ってくれて、刑事さんたちがよく朝食を買うパン屋さんを見せてくれた。ドーナツも売っている。
だから朝食にドーナツを食べるおまわりさんもいそうだ。ニキさんは納得していた。
他人にパスポートを見せろという要求は通らない。
視覚支援はしてもらえない。
でもこういう疑問になら、答えてもらえる。
そこの違いを教えるのが教育だろう。
なんにせよ
こういう対応ができるこの刑事さんなら
加害者として自閉症者がやってきても上手に対応するかもしれない、と思った。