治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

思いあたる節

2012-12-01 09:06:23 | 日記
さてさて、「成人アスペルガー男子の診察を拒否するお医者さんがいる」って
結構有名な話だったんですね。
いや、私はギョーカイゴシップには近づかないようにしているので
そういうネタは入ってこなかったから、びっくりしたんですけど。

でもまあ事実だってことですよね。
先日の記事で私は、事実しか書いていません。
診察拒否の医師がいるのも、一時より受け入れることに引いている大学があるのも、家族が苦悩しているのもたしか。
それはアスペルガーの特性の一つです。

「ひとくくりに見るな」
もちろん見ていませんよ。
だからこそ、親しいアスペルガーの人もいっぱいいるのに、人間的に尊敬している人もいるのに
迷惑な人の話も書くわけだからね。
「アスペって一口で言ったってそれぞれ」って思っているからこそ書くわけですよ。
この秋どうやって過ごしたか、皆さんおわかりでしょ。
方々で「自閉っ子、努力もできれば社会のルールも守れる人たち」と伝道師みたいに説いて回ってたら終わってた。それが私の今年の秋ですよ。



「逃げ出す医師がいる」と事実を書かれただけで
あたかも「自分」がけなされたように思う方が
よっぽど「ひとくくりにして見ている」んじゃないでしょうかね。

たとえば「横浜在住の人間が殺人を犯した」とか「慶應の学生が大麻所持で逮捕」なんていう報道が出ても
私は自分の属性がけなされたとは思いませんね。
「偏見を持たれるから報道するな!」なんていう抗議もしない。自分と属性をともにする人間が犯罪を犯した。でも自分は殺人も大麻所持もしない。それだけ。

「アスペルガーが迷惑」って言われてあたかも自分が言われているように感じるのは
思い当たる節があるからじゃないんですかね?

「自閉症者の犯罪を防ぐための提言」を出したときにも思いましたけど
真っ先に「読んで勉強します。うちの子を犯罪者にはしません!」って意気揚々と注文くださる方って
だいたいその心配がなさそうな方ばっかりです。
そして「よかった! 大事なことが書いてある」という感想をくださり、「他にも読ませたい人がいます」と追加の御注文をくださったり。



逆に「こんな本出しやがって」の人たちは
我が子の、あるいは自分の障害特性と犯罪のリンクを心のどこかで恐れてるんじゃないのかしら?


というわけで私は「アスペルガー」をひとくくりには見ませんが
それが可能なのは、ある程度数を知っているからよ。

最初に会ったアスペルガーの人はニキさんだった。
それも大きいかも。
最初に会ったのがYTだったら、うんざりして二度とアスペルガーの人には近づかなかったかもしれない。

大して数を知らない世間一般の人々は
ひとくくりにして見るのだから

大学で他の学生に迷惑をかけている人がいたら
それは後輩の道を狭めているということ。
そういう自覚はしてもらいたいですね。



もちろん最終的には、アスペルガーだろうとそうじゃなかろうと「人それぞれ」なんだけど
私は自分の仕事上は、アスペルガーをふたくくりにして見てますね。

アスペルガーA(ニキさん、ちゅん平さん、大地君 その他大勢)
・自分研究をする
・定型発達研究をする
・修行する
・社会に寄り添う努力をする
・自分のやるべきことをやる
・自閉である自分が好き

アスペルガーB(YT、発煙筒野郎 その他大勢)
・社会を恨む
・自分が変わるより、社会が変わることを期待し、変わらない社会をなじることに時間を費やす
・自分のやるべきことをやる前に、他人にちょっかいを出す
・自閉であることをどこかコンプレックスに思っている

AとB、それぞれスペクトラムがあるでしょうけど
企業が雇うべきはAです。学校が受け入れるべきはAです。それぞれ企業や学校の立場に立てば。
同じアスペルガーでもAの人がいます。
同じアスペルガーでもAになれます。Aに育つための環境を整えることはできます。

どっちを選ぶかは、皆さん次第です。
AとBが固定したものだとは思っていません。
Bでいたい人は、Bでいる自由があるでしょう。ただ世間は「選択」をします。当然の話です。
定型発達者だって、人生の節々で選択されているのですから。

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1 コメント

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「発達障害」について感じたこと (成田あいる)
2019-01-14 12:57:33
まずはじめにお断りしておきますが、私は発達障害の当事者ではありません。
その為、的外れな点もございますがご了承ください。
私は、発達障害に対してマスメディアが余りにも偏った視点でしか取り上げない事で、「発達障害」に興味を持つようになりました。
昨年、「医師も逃げ出す迷惑アスペルガー」を拝見したことをきっかけに、このブログを読ませていただいています。

「医師も逃げ出す迷惑アスペルガー」に続いて、この記事も拝見しました。
アスペルガーAさんとアスペルガーBさんとの対比、実にわかりやすいです。

「医師も逃げ出す迷惑アスペルガー」に寄せられていたコメントや、このブログにも登場する「成功・体験談」を読んで、発達障害は「変えようと思えば変えられる」し、「自分から変わらなければならない」と考えるようになりました。

「医師も逃げ出す迷惑アスペルガー」やこのエントリ、「医師も逃げ出す迷惑アスペルガー」のコメントでも書かれていたようなことは、マスコミでは報道されません。
それどころか、患っている当人「だけに」偏った取り上げ方であり、その人の為に泣いている人が多い実態など取り上げられません。
発達障害の人の為に職場の構成員らの時間が割かれたり、ちゃんとやらない為に職場の構成員らに「泥水」がかかる実態だってあるのです。
悲しいことに職場の構成員は発達障害の人に尽くしても、報われることなどありませんし、そのような実態も悲しいことにマスメディアでは取り上げられません。

昨年のNHKの特番では「社員の7割以上」が発達障害の人達の会社を取り上げており、「働きやすい環境づくりを」と訴えていました。
が、そのような会社は多くはありませんし、発達障害の人達に理解のある人達ばかりだと思えません。
そのような職場・会社もいつまでもあるとは限りませんし、もしかしたら「縮小」に向かう可能性だってないとは言えません。
となると、おのずと「結論」は明らかでしょう。

とにかく、発達障害の人に対して、「「メガネ」が無くても、盲導犬でも杖でも導入しようとしていますか?少しでも見えようとしていますか?」と言うことは誇張でも何でもないと思います。
発達障害の当事者のこの方でさえも、↓のように言っています。

http://ameblo.jp/shirokuma-no-kimochi/entry-11595531005.html
http://ameblo.jp/shirokuma-no-kimochi/entry-11463221818.html
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