治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

冥途の土産 藤井風ライブを体験してきた

2024-08-25 10:28:17 | 日記
ほぼ音楽に興味がない私がひょんなことから藤井風をYouTubeで知って、日産スタジアムでライブがあると知り、「どうせ当たりっこないから」と申し込んでみたのは4月だっけ5月だっけ。
ともかくコアな風Tuberの人とかでも落ちている中、なぜか一次抽選で当たってしまいました。そして即日引き落としがありました。行くしかない状況になりました。

ので、楽しみに8月24日を待つことにしました。
とはいっても音楽というものにほぼ無関心なワタクシ、大規模なLIVEは誰かに誘われると行くだけ。それもたぶん、30年ぶりくらいで、屋外ライブなど初めてです。しかも真夏。体力もつのかな~と心配しておりました。

これは各種イベントで来場する方には大変失礼なことなんですけど、ぶっちゃけ日産スタジアムや横浜アリーナの地元民の私にとって、イベント来訪者はノイズでしかありません。
とくにいやなのは女子トイレという女子トイレを埋め尽くすジャニオタの皆さんと、使用済みおむつとか捨てて帰るサザンファンの皆さん。風船飛ばすのは参加者としてはスカッとするかもしれませんが、翌日は植え込みの中ににしなびた風船が落ちているわけで。

というわけでジャニーズ(今の呼び名は知らない)とサザンは要注意、なのですが、それ以外のイベントのたびに客層をみているのは結構楽しいです。
矢沢永吉のときにはきばった高齢者がたくさん。
韓流のときも年齢層の高い時と若い人が多い時とあったり。韓流にもいろいろあるんだな、と思います。
先日韓国のグループが来たときは、日本が誇る半導体メーカーの本社ビルの前に難民キャンプみたいなの作っていたファンたちに、やれやれと思いました。
アーティスト名などほとんど知りませんが、誰かがくると検索したりして「ほお」とか言っている地元民です。

昨日は街がすごい人出だとわかっていたので、そしてとても暑かったので、そしてライブを乗り切れるかという不安があったので、体力温存のために午前中からトドになる作戦をとっていました。
夫はちょっと出てくると出かけていき、人が多いとびっくりして帰ってきました。客層は不明だということ。まあきっと、若い人も年取った人もそれなりに好きになる藤井風さんです。
とうていランチに出かけることはできなそうなので、カレーをテイクアウトしてきてくれました。というわけでトドのままカレーを食べ、一日ゴロゴロしていることに少しくらい罪の意識を感じて、水回りの掃除をしました。
夫は夕食をスシローでテイクアウトするということで、サラダだけでも作ってあげようと思って作っておきました。
体力的に不安だと夫に言うと「ブロンプトンで桜島を一周した人が何を」とか言われたのですが、未知なものはアセスメントが難しいですね。

事前に、YouTubeでは様々な注意事項をファンの人たちがアップしていました。
新横浜駅からの行き方とか。
ゆるい上り坂。この暑さの中では会場にたどり着くまでに汗だくになりそうです。
地元に宿を取れた人はいいけど、離れたところに泊まる人は待ち時間が辛そうだなあと思いました。
だから日陰があると難民キャンプができるのでしょう。
まあ昨今の暑さでは仕方ないこともあります。
でもイベンターの人は、トイレの件にせよ難民キャンプの件にせよ、地元に、時には私企業に、負担をかけていることをどこまでわかっているのかな。

大相撲は九州まで見に行く私ですが、わざわざ音楽のために遠征することは考えられない。
近いから行く気になったんであり、徒歩圏の日産スタジアムか横浜アリーナじゃなければLIVEなど行く気にはなれないけど、そういう大きいところでやるアーティストはだいたいファンクラブで囲っているので無縁でした。
今度はその制限がなかったから応募する気になりました。そして一次抽選で当たり、チケットをダウンロードしてみたら「アリーナ、ブロッコリー」ということでした。
ブロッコリー?
どうも藤井風さんはベジタリアンらしく、席の名前がお野菜らしいです。
すごい前の方だと知ったのは、会場についてからです。

16時から開場、ということなので、16時前に家を出ました。
自宅から1キロ未満、1700歩で入り口に着きました。
多くの人がなんかの配布に並んでいて、入場口はそんなに人が多くなく(って言っても多かったですけど)わりとあっさりと入場できました。まだ会場内に人はあまりいません。
もうそんなに暑くなくて、ここで1時間半文庫本を読みながら待つことにしました。
なぜ文庫本かというと、スマホ電源は節約したかったので、紙の本を持ってきたのです。

アリーナという意味を行ってから初めて知ったのですが、要するにピッチに座るわけですね。
アリーナは化粧室がない、とか、水しかもって入れない、とか言われていたのですが、行ってみてわかりました。ピッチに座るんですものね。

たくさんの人たちが色々な警告をしていました。
帽子、サングラスは必携(持ってきた)。
携帯充電器(持ってきた)。
アリーナに持って入れるのは水だけ。少なくとも四本は必要(三本持ってきた)。
ゲリラ豪雨に備えてレインポンチョも(持ってきた)。
トイレは長蛇の列を覚悟。これは各種イベントとか、旅行先とか、いつでもありうる事態ですね。私は自宅を出て帰るまでを5時間と計算し、体調の急変がない限り大丈夫だと見積もりました。変に水分制限しない方が乗り切れます。
それとアリーナのパイプ椅子はお尻が痛くなる(ライダーパンツをはいていった)。

結果的に、全部不要でした。
携帯はほとんど撮らなかった。プロの中継があったし、きっとそのうち有料でもなんか出るだろうから、当選のお礼の意味もかねてそれを買えばいい。リアルタイムでは撮影よりその場を楽しんだ方がいい。
水は一本しか飲まなかった。飲む暇がそもそもなかった。
雨は降らなかった。
椅子はほぼ座らなかったのでお尻は痛くならなかった。

備えあって憂いなし、なんですけど、
すごく備えが好きな人が多いJapanなんだな、とよくわかりました。


コンサートの準備くらいなら行き過ぎた準備も別に害もないけど、人生の選択が「もしものときの準備」ばかりだと本当に無駄が多い。
と私には思える人生を歩んできました。
安定のために大して儲からない国家資格とったり、感染予防でワクチン打ったり、不安に駆られて無駄な行動をとる人も多いJapan。私なぞは、とうとうなんの資格もなく、還暦過ぎまで一回も失職せず仕事を続けてきたし、ワクチン打たずマスクせず結局11波も乗り切ったし、みんななんでそんな余計な心配をするのか不思議なんですけど、心配しない人が非難されたりするんですよねこの国では。結果的に迷惑かけてないのにさ。

まあともかく、ライブはとっても楽しかった!
ずーっと踊っていました。
あの方は、超絶歌がうまいのですね。会場が大きいとよくわかります。
それと、いつも動画を見ていて、ダンサーの人たちが面白いなあと思っていたのですが、ライブ会場だと、踊っている人が全部見られて楽しかったです。
いつも同じ人が出ているのか知らないけど、男性ダンサーが多いですよね。
あと大きな会場でやるからこそコスパをクリアしてあんな大がかりな設営ができるわけであり
となるとできる会場が限られているから遠くからも人が来る。
新幹線にも飛行機にもアクセスいいのがこの街の魅力なんだけど
だから全国から人が来る。
という仕組みがわかってちょっと腹が立たなくなりました。
そしてライブが楽しいことを知り
なんでみんなわざわざ音楽のために全国から(外国からも)来るのかよくわかりました。

私の最大の収穫はそれだと思います。
一回だけでも自分がスタジアムライブを楽しんだことで
これからイベントのために街にやってくる皆さんを冷たい目で見なくてよくなったと思います。
ああ、あの大がかりなライブを楽しみにわざわざやってきて
時間潰す場所がないから地べたに座ったり難民キャンプを作るんだな、とその仕組みがわかったので
これまでほどライブ民をうざく思わないと思います。
私も楽しかったんだよ~とあたたかな気持ちで思い出すかもしれません。
みんなも楽しんでね~というやさしい気持ちになるかもしれません。
(でもゴミは散らかさないでね。住んでいる人もいるんだからね。)
あとジャニーズ(を継いだどっかの会社)には、ぜひジャニオタ専用女子トイレビルを建てていただきたい。相当な負担を地元民と地元企業にかけてますよ!

藤井風ライブ、今日もう一日あります。
街はまたいっぱいになるでしょう。
うざいので(笑)私たちは自転車で抜け出します(笑)。スタジアムは避けた道を通って。それでも人も車も多くて通行はスムーズではないでしょう。
それでも自分も楽しんだ分、これまでほどいやじゃないと思います。
この街が好きで、どこに引っ越す気もなく、おそらく終の棲家になる私にとって、イベントに来る側の気持ちをたった一日でも体験できたのはいいことでした。
きっとそれが最大の収穫です。

でもきっと私はもう、ライブには行かないと思います。
そもそも今回、一生分のライブ運を使い果たしたと思います。
どんなものかわかったので、よかったです。
奇跡のように神席に当たったことは
「もう十分よくしてやったのだから、お前のようなにわかはもう来るな」
という音楽ギョーカイからのメッセージと受け取りました。

コロナ禍における音楽ギョーカイはヘタレだったので嫌いでしたが
音楽ギョーカイは音楽ギョーカイで頑張っているのがわかってよかったです。顧客にマスクさせたのはやむにやまれぬ事情があったのでしょう。
でも私は、客にマスクさせるようなプロモーターにやすやすと従うほどロイヤリティのある人ではないのです。
だから音楽ファンにはなれません。

というわけで昨日の楽しさは一回きり。
冥途の土産にしようと思います。

帰り道は、誘導の結果別方向に出たので、3300歩で自宅に戻りました。
5000歩の旅でした。
私のたった一生一度の屋外ライブ、終わり。
生涯たった一度の屋外ライブを、藤井風さんという最上のコンテンツで楽しめていい思い出になりました。