治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

経済・雇用情勢と身体アプローチの目的

2018-07-19 09:56:37 | 日記
さて、こじはるファンさんからのコメントを引用させていただきます。
「若い世代の、当事者保護者、そして支援者へ」の記事にいただいたコメントですね。
当該記事は、いかに今のギョーカイ上層部が「勝ち逃げ世代」かを指摘した内容です。勝ち逃げ世代の言うことを真に受けてちゃだめ、っていう話。





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ギョーカイも花風社も触れていないようですが… (こじはるファン)
2018-07-16 12:50:27
ギョーカイもこのブログも指摘していないことがあるので、コメントします。

大学在学中もアルバイトはしないようにとギョーカイから言われました。
でも、大学に進学している人の5割は奨学金を借りているのが現状です。

アルバイトをしていないと就職活動が長期化します。入れても長く続きません。(幸いにして今のところは自分としては長く続いていますが…)
自分も無職の期間があり、失業保険でつないでいたものの奨学金を繰り上げ返済できずに苦しい思いをしました。今の会社に入ってから繰り上げ返済を行っています。30歳なのですが、まだ4割近く残っています。
(これでも当事者だと早くに返しているほうのようです。)
旅行もかなり我慢しています。
障害者雇用どころか一部の健常者よりも給料は高いのですが、その状態です。
実家が首都圏ではないため、一人暮らしをせざるを得ません。
ギョーカイは、最近の日本の家庭の経済状況を知らないのではないかと思います。
アルバイトを在学中にしないというアドバイスを真に受けることでこのような思いをしてしまう人がいるということをお分かりいただきたいです。
ここを見ている学生諸君は、ギョーカイのアドバイスを真に受けることなく、アルバイトもしましょう。

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ギョーカイがそんなアドバイスしてるとは知りませんでしたが、まあありそうなことですね。
私はこよりさんから「佐々木先生がアスペルガーの息子さんにマンション買ってあげた話をしていてどうかと思った」という話を聞き、ああなるほどなと思いました。日本の一般家庭では、住居代は今の世代の分を捻出するのが精一杯です。子どもに障害があってマンション買っておいてあげたい、と思ってもなかなかかなわないのが現実でしょう。でもお医者さんで本を出せばベストセラーで講演をすれば満員でしかもアシスタント当事者を無料で使役できればお子さんのマンション代くらい出せるわけですね。そしてそういう人が「ありのままでいいのです。周囲が理解していればいいのです」と言っても真に受けていたら道を誤りますよ庶民の皆さん含私。

私が最初に赤本作ったあと「週に五日働ける身体づくり」にこだわったのは現実それでないと食べていけないし、いわゆるギョーカイも好きなかっこいい仕事、見栄えのある仕事につくには「週三日」とかはないからです。エジソンだアインシュタインだセールストークを繰り広げながら実はそういうかっこいい仕事、才能を活かせる仕事、はそれなりにフルタイム労働を要されることを言わないギョーカイは卑怯だと思いました。

その私が「週五日働ける身体」を「やりたいことができる身体」に目標軌道修正したのは年金が現行ベーシックインカムの肩代わりみたいな感じになっていて、それをもらいながらフルタイムでない労働をするのも「あり」だと思い始めたからであります。それは精神の年金をもらえる人にたくさん会ったからかもしれません。

そしてパートでも働いた方がいいと思っています。ちゅん平はせっせと身体作りしたけど一番の身体作りは実際に身体を動かしてお金をもらうことだったし、家に閑居していては脳みそだけぐるぐるとつまんないことを考えるからです。不登校で官邸にアベガーをやりにいく親子なんていうのはとんでもないですね(なんかみた)。政治信条は自由ですが学齢期ならまず学校行けよっていう話です。

一方で日本はこれから人手不足です。ならばパートでもいいからできるだけたくさんの人に働いてもらった方がいいなあと思うのは当然ではないでしょうか含女性・高齢者・障害者。

それでも「かっこいい仕事」「見栄えのする仕事」「クリエイティブな仕事」につきたければ、少なくともスタートの時期は、最低週四十時間は働ける体力が必要です。睡眠障害で在宅勤務できるなんて甘いです。他人から金もらうなら睡眠障害くらい治すのが社会人の義務です。だからプチアインシュタインやプチエジソンやクリエイティブな仕事や組織の外で働くフリーランサーを目指す人はやはり最低限週に四十時間働ける体力は確保しておいてください。

大学生のアルバイトをギョーカイ筋が禁止しているのは知りませんでしたが、どうせいつもの真綿にくるむ作戦でしょう。実際にシングルタスクだったり疲れやすかったり他にやりたいことがあったり何より家庭に余裕があったりしてバイトをしないという選択もありですが、基本的に勝ち逃げ世代のギョーカイ人が作ったマニュアルを思考停止で死守している支援者の言うことは真に受けないようにしましょう。バイトは疲れるでしょうが支援者より多くを教えてくれる場所でもあると思います。

大学は今、無償化こそされていないものの相当数の学生が奨学金で進学していて、そういう意味では世の中フラットになっているようです。

でも貸与だから~の声がありそうですが、そして給付を増やすということに反対ではありませんが、給料の高い大企業に入ったら返済も少しはラクになります。そして私たちの世代と違うのは、大企業があんまりコネで取らなくなっているそうです。つまりそういう意味でも世の中フラットになっています。失われた年月のうちに大企業もコネで取るリスクを悟ったのかもしれませんね。

一方で私はベーシックインカム論者です。『発達障害、治るが勝ち!』をお読みの方はおわかりでしょうが、ベーシックインカムがあれば発達凸凹の人も様々な生き方に挑戦できると思っています。高機能自閉症者への精神の年金も、事実上それがベーシックインカム様の機能を持っているみたいだからいいんじゃないの、という立場です。

財源は「ギョーカイを潰す」です。支援者のための就労支援になっていて一生障害のある人を囲いこむ就労支援組織に金使うより、障害のある人に直接給付して支援者にも給付して支援者は人の一生を台無しにするような有害無益な仕事ではなくもっと生産性の高い仕事についてもらえればいいなあと思っています。そのあたりを知りたい方は『発達障害、治るが勝ち!』をどうぞ。電子書籍も出ています。