治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

藤家寛子さんのこれまで

2016-02-08 17:53:16 | 日記
藤家寛子さんのこれまで


というフォトチャンネルというものを作ってみました。
自閉度の重かった藤家さんが、回復の途上をその都度綴った作品を集めてみました。

新しい順に説明を書きます。

自閉っ子のための友だち入門
→かなり元気になってから書いた文章が載っています。自閉がいい方に出ているとはどういうことかわかりやすいです。ニキ・リンコさんや愛甲修子さん、そして栗林先生の考えも載っていてお得な一冊です。

30歳からの社会人デビュー→二次障害がすっかり消え、ちょっと不便な身体だけど遅れてきた青春を精一杯エンジョイしている様子がわかります。勇気をもらえる本。

自閉っ子的心身安定生活!→引きこもりから福祉就労へ、福祉就労の安定、と支援をステップアップしていた時期のこと。この時期に逡巡する人はとても多いので、参考になりますよ。

自閉っ子は早期診断がお好き→ずばり、妄想にも見える「誤学習」をほどいていった貴重な記録です。

デビュー作「他の誰かになりたかった」復刊と合わせてぜひこの過去の本たちも読んでみてください。
一人の自閉症の人が、生きづらさに段階的に別れを告げ健康をつかんでいくまでの貴重な記録です。




もちろん「10年目の自閉っ子、こういう風にできてます!」で
有名な「赤本」のあと10年でこんなに変わるんですよ、と皆さん知ってくださいね。



花風社のHPで新刊受け付け始めました。
ご本人によるセルフ突っ込み書評もおつけします。
これまでの作品と合わせてどうぞご購入ご検討くださいませ。


雪どころか快晴(愛甲さんに質問する会 ご報告)

2016-02-08 09:51:33 | 日記




雪の予報なので愛甲さんに新横浜に宿をお取りしたのに、明けてみれば快晴。でも愛甲さんはお忙しい土曜日を過ごされ、ゆっくり休めたと言っていただいたのでよかったです。
私は金曜日早く寝て、土曜日早く起きたので、昨日の暑苦しいブログ
「南雲明彦さんは治っていない。藤家寛子さんは偽者」というバイアス
を書いて、出発前に仕事を二つしました。
一つ目 南雲さんの番組を見直す。前日南雲さんから番組の反響を教えてもらったので改めて見直す。
二つ目 岩永先生の他社本を読み直す。とくに理論部分で岩永先生自ら専門家向けとおっしゃっているところ。これは、いかがわしいおっさん(New!)の本づくりのためでもあります。

そうしたらこよりさんから電話がかかってきました。「何時ごろに会場につきますか?」
「もう着いたんですか?」「はい」「私はね、愛甲さんと駅で待ちあわせしているからそっちにつくのは12時半くらいかな。どっちみち13時にならないとお部屋に入れてもらえないので。寒いから適当にお店とか入って時間つぶしてくださいね」「はい」

定型発達者は、こういうときに自分が会場に早く着いても電話とかしないことが多い。遠くから来るから早めに出たり、迷うといやだから早めに出て早くついちゃう、なんていうのはよくある。そのときに主催者に電話かけて「いつきますか?」ときく→「早く来いという要求」と受け取られるのを回避する行動を選ぶのですね。だからあえて電話をしてこない。

だから自閉圏の人が電話をしてくると「勝手に三時間前に来て早く来いとかどんだけ上からだよ」とか思う。こうやって自閉圏の人とそうじゃない人の間に溝ができていく。でも私は自閉文化に通じてるので「ああこよりさんは純粋に『浅見が何時にくるか』を知りたいのであって、『早く来い』という要求ではないんだよね」とわかっているので、「12時半に行くから。13時になんないと部屋開けてくれないから。だからあったかくしてて待っててね」と言うだけであとは自分の仕事を続行できる(すなわち自閉脳に合わせてこっちに時間的犠牲を強いられずに済む)わけです。そして11時になったら軽食を食べて身づくろいして駅で愛甲さんを拾って二人で会場へ。大倉山の駅で画伯がお友だち(参加者のお一人で特別支援学校の校長先生)を待っていました。愛甲さんに会わせたいので参加してもらった、ということなのですが、そうしたら愛甲さん「あらじゃあ私もここで待っていたほうがいいのかしら」。これもたぶん本気。そんなわけないだろう。今日の講師なんだから。お客様を迎える方の人なんだから。「会ってもらいたいから連れてきた」と言うと「じゃあここで待っている」というハイパーりちぎな愛甲さん。画伯が言っているのは「あとで会わせたい」という意味。本当に異文化コミュニケーションはややこしい。

私としては、料金振り込みだけあって申し込みメールが来ていない謎の○○さんが、画伯のお友だちだと知ってすっきりしました。まあどうせ会場に来たら会えるだろう、といったん問題を保留するスペースが多いのも定型脳ですね。

12:45くらいに交渉して会場を開けてもらい、受付や書籍販売をして

予定通り13:30から始まり。

いやあ、充実した会でしたね。もしかして今までで一番充実していたかも。とくに多かった質問のキーワードを抽出すると「主体性」「トラウマ」かな。そして身体アプローチの実の結んでいる様子もとてもよくわかりましたね。

その場で愛甲さんが教えてくれたトラウマ処理法の効果にはびっくりだね。鹿児島由来の。
本当にすっと脳が軽くなった。

それと、会場にいらし方たち
私が唐突に「あの話」を持ち出したのは

私ね、自閉圏の人とのコミュニケーションにはずいぶん慣れてきたんです。不可思議なこと言っているときの底の浅さをたくさん経験したから。ワケはいっつもびっくりするほど浅いのよ。深読みしすぎなのはこっちなの。

ただね、自閉圏の人、っていうか発達障害の人、っていうかその保護者、っていうかその支援者もみーんな含めて、私がどうしてもなじめないものがある。それは「いわれのない恐怖感」。

死んだふりもその産物。猿烏賊スペクトラムの祭りもだいたいその産物。その他普段つきあっていて「うわあ付き合いづらいわ」と思うのは全部この「いわれのない恐怖感」。

311のとき私がつくづく知ったのは「恐怖感の度合いが違う人とは決してわかりあえない」ということ。ギョーカイの一般社会dis、あれもそう。だから私は絶対にわかりあえない。「シリーズ長崎」で今後わかってくるだろうけど、私はこの「いわれのない恐怖感」が私だけではなく一般社会で発達障害をよく知らない人と当事者支援者の溝を作っていると思う。

そして恐怖の感じる度合いって、体質なんだなと思った。だから身体アプローチで恐怖感が薄らいでくる人が多いという事実と、愛甲さんからときおり鹿児島報告として仄聞する治療。それが私の中で結びついているのです今。

だから感覚統合の理論部分を読み直したりしながら

いかがわしいおっさん(New!)の本を作るために

「ありえない恐怖感の発生理由とその治し方」を考えているの。

だからあんな言葉を突然出したのよ。びっくりさせてごめんなさい。

終了後、まだ多くの人たちが愛甲さんを取りまいていましたね。

そこから急きょ開催の決まった饗宴に。10名くらいが参加。
「栗本さんがいなくてさみしいな」とこの時初めて思ったな(いじる人がいない)。

和気藹々と楽しく夜は過ぎたのでした。

お越しくださった皆様、本をお買い上げくださった皆様、ありがとうございました。
写真はこよりさんのご子息からのお土産、いぬこさん。私が柴犬原理主義者だと知ってお母さんに持たせてくれたそう。UFOキャッチャーで取ったそうです。

その他にもたくさんお土産をいただきました。
三陸のサバ缶から鹿児島の大根まで。




鹿児島からの大根は、さすがに当日は重すぎるので、自宅に送ってくださいました。

美味しくいただかせていただきます。

こういう充実した会だったら、またやりたいね。