治しやすいところから治す--発達障害への提言

花風社・浅見淳子のブログ
発達障害の人たちが
少しでもラクになる方法を考える場です。

恵まれている人はあちこちにいる

2012-08-13 11:45:45 | 日記
夏休みの日曜の午後。さんさんと日の注ぐリビングで
私はまったりと、ギョーカイメジャーのお書きになった本を読んでいました。
ZZZZZ
深い眠りに誘い込んでくれる一冊。夏の午後にぴったり。

目が覚めるとiPadの中で
画伯と大地君が熱い会話を交わしていました。
画伯が見つけてきた乙武さんについての記事。画伯は私に意見を求めてきたけど
私はこの乙武批判っていうのは本当にわからない。
乙武さんはかなり特別な人に私には見えるので
なぜその人を代表とされると困る人がいるのかわからんのです。代表じゃないだろうし。

大地君は、健常者だって成功する人としない人がいるわけで
自分は成功するかしないかに関係なく頑張れる人になりたいと言っていました。
うん、それでいいと思うよ。
私は自分が成功者かそうじゃないかなんて興味ない。
ただ幸せな大人になれたと思う。大地君にも幸せな大人になってほしい。
そのためにはきっと、努力するほうが近道だ。

画伯の送ってくれた文章を読むと
乙武さんは、特別恵まれた人だということね。
そらそうかもしれないけど、別にそれは乙武さん一人に限ったことじゃないし。

世の中には、富にも才能にも家柄にも美貌にも恵まれている人っていうのが少なからずいて
いちいちその人たちにコンプレックス感じていたら身がもたないと思うんだけど。

それにさ、乙武さんだけじゃないでしょ、恵まれている人。

と思ったら前のエントリにやすさんがコメントくれて、思い出しましたよ。
自閉っ子業界にだって恵まれた人はいるよね。

「自閉症の人に頑張らせてはいけません」って語る大御所に当事者のご子息がいて
お父様の高額な講演料とか、印税とか、一時間三万円のコンサル料とかを管理する会社を立ち上げる。

それ自体は全然問題ないと私は思いますよ。
人に雇われにくい特性を持っている人にとって、家業で食べてくっていうのは昔も今も有力な選択肢の一つ。
上場企業にだってオーナー一家の家業になってるところはあるし
梨園なんていうのは血筋が決定的。
そういううちに生まれついたのは幸運であって、利用するのは自然でしょう。
毛並みの良さだけで、いつまで続くかは問題だけどね。

でも、そういう恵まれた環境にいる人が
「自閉症の人は頑張らなくていい」とか
「周囲があわせるべきです」とか
それこそやすさんが書いているように、自閉症者が世界の中心であるべきだという論を展開しても
私なら真に受けないけど。
庶民の一人として。

その先生はそういう意見をお持ちなのでしょう。
幸運にもその生き方をまっとうできる環境が備わっているのでしょう。
でも一回三十万円の講演のオファーなんて来ない一般の保護者が子どもに用意してあげられる環境ではありません。

ですよね。

というのがギョーカイリテラシーだと思うんだけど。

ええと、昨日も書きましたけど
私がこういうこと書くのはギョーカイにケンカ売ってるわけじゃなく

私にとってはギョーカイ受けより
読者の未来のほうが大事だからです。

それだけ。