若い時は親に支配されているもので、これは子供の宿命である、
成人し経済的に自立しても親は威厳を持っている、そんな親も
やがて年老いていつのまにか立場が逆転するときがくる、どん
な強者も弱者になる。
両親が還暦を迎え、私が赴任した近場の温泉でお祝いした翌日
父がぽつりと言った言葉を今でも思いだす「離れて暮らしていて
も長男としての自覚を忘れないでいて欲しい」大正生まれの父
の言葉は重かった、何かあったら面倒見て欲しいという意味だ
った。
それから父が80歳のとき実家での出来事だった、なぜか自筆
のノートを取り出し、私が大学生の時仕送り含め、これだけの
お金がかかったという明細を出してきた、今までそんなこと億
尾にもださなかっただけに、もしかしたらボケたのでは?父の
言動の意図がわからず戸惑ったものだ、それから数年後父は認
知症になった、幻覚がひどいレビー小体型認知症と診断された、
親子の関係は変化するもの、どんな強者も弱者になると実感し
たものだ。