同検討会は、窓口の存在が知られていないことに加え、対応する職員の経験不足も背景にあると分析。支援手順をまとめたマニュアルを作り、自治体などに配っている。
 くらしえんは、武庫川女子大の大岡由佳准教授(38)=保健福祉学=が発起人となり、15年に結成。大学教授や専門家らが被害者支援の充実を目指して活動している。
 調査は今年2〜3月、都道府県と市区町村の計1788団体を対象に実施し、364団体が回答。このうち昨年4月〜今年2月に電話を含めて被害者らの相談に対応したとしたのは18%(60団体)にとどまった。

■安定的運用へマニュアル作り

 一方、3年以上続けて担当職員を置く自治体は2割未満だった。今年4月には、自治体窓口の機能充実などを盛り込んだ第3次犯罪被害者等基本計画を政府が閣議決定しており、くらしえんでは異動があっても安定的に運用ができるようマニュアルを策定した。
 全95ページで、基礎編と応用編の2部構成。基礎編では、相談から生活再建までの対応に必要な心得を中心に載せ、質問攻めにしない▽支援計画を立てても優先順位は本人に決めてもらう−など信頼関係を築くことを説く。
 応用編では、殺人事件の遺族や性犯罪の被害者らに対する対応例を学べるようにした。支援漏れを防ぐため、被害者らが訪れる可能性のある福祉サービスの窓口などとの連携も強調している。
 大岡准教授は「被害者らに身近な自治体の窓口が横のつながりを築き、潜在的な被害者を掘り起こすことも大切」と話す。
 マニュアルはくらしえんのホームページ(http://kurashien.net/)でも公開している。(有島弘記)