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花好きじじい

花を求めて山野を歩き回っています。
花好きの皆さん花にまつわる話をお聞かせください。

ザクロソウ属の2種

2017-08-13 16:26:49 | Weblog

 8月11日秋田空港まで客を送って行った折、駐車場の隅の舗装の切れ目の所から出て枝分かれして舗装された歩道の上にまで広がって繁殖しているのはクルマバザクロソウだと知りました。




 
 在来種ザクロソウはこれまでに何度か見ていますが、帰化種クルマバザクロソウは初めてなのでその違いを知るために撮影して比較してみました。

 湿った荒れ地に一面に繁茂しているのはクルマバザクロソウと同じですが、根部から枝分かれし株となって増えているためやや違った外観を示します。






 ザクロソウの葉は披針形〜倒卵形でクルマバザクロソウの線状披針形の葉に比べて幅広く、節に輪生する葉の数もクルマバザクロソウが多いという違いがあります。


 花は花被片が5、内面に3脈があり、雄蕊3、花柱(子房)1と兩種に違いはないのですが、クルマバザクロソウでは雄蕊が花柱に接触するように湾曲しています。
 

 

  


エゾノギシギシの花

2017-08-01 18:36:40 | Weblog

 エゾノギシギシはヨーロッパ原産の帰化植物で繁殖が旺盛で刈り込んでもすぐに再生して花を付ける厄介な雑草で何時でも花や実が観察できます。

 雌雄同株で花は分枝した茎の先端まで節毎に10個以上の花が花柄で吊り下げる様に付けます。
 

 節の部分を拡大してみました。葯のある両性花とない雌性花とが見られます。

 両性花を拡大してのが下の画像です。 3っに分岐した雌蕊、5個の雄蕊(葯)、3個の内花被、3個の
の外花被からなります。


 雄蕊(葯)を持たない雌性花も見られます。


 雌性花だけを付けた節も稀に見られます。


 また、稀だが雄性花のみのものも見られます。


  エゾノギシギシでは株毎に付く花の構成が違っていますが、概して両性花が最も多く、次いで雌性花で、雄性花は少ない。



 


ギシギシ属の4種

2017-07-24 21:27:32 | Weblog

 私の通勤のコースから少し外れた場所にある農業関係の施設(業種不明)敷地内にある空き地に繁茂した雑草の中にギシギシが沢山混じっていることは以前から気ついていましたが、よく調べてみたところ何処にでも生えているエゾノギシギシの他にギシギシと、この辺りでは滅多に見かけることのないナガバギシギシとアレチギシギシと4種が混じって生えていることが分かりました。

       ギシギシ   エゾノギシギシ    ナガバギシギシ  アレチギシギシ
   

                  一覧表

                   茎
 
                    葉 
 
                    花序 

                  果実

                 

 


ムラサキシキブ

2017-07-15 19:43:20 | Weblog

 私の住むあたりでは里山の林縁や道端などにムラサキシキブ属を見かけることが多いのですが何故か庭木として植えられたものを見たことがありません。
 花は6月中旬から咲き出し7月中旬の現在はほぼ終わりに近づいていますが、綺麗な瑠璃色の果実となるのもまだしばらく後のことになります。
 

 9ヶ所で花の撮影ができたのですが全てムラサキシキブ単独なのかコムラサキも混じっているのか判然としません。
 
ムラサキシキブコムラサキを識別する点として記載されているところに依ると:
 1. 葉腋の花序柄の付着部の位置が葉腋から離れているのがコムラサキとされますが、
   葉腋の冬芽を押し付けるように着いたものから数mm離れて着いたものまであって
   どこからがコムラサキとするのか分かりません。



 2. 葉縁の鋸歯が全縁にあるのがムラサキシキブで上半分にだけあるのがコムラサキと
         されていますが下の画像の様に違いの分かるものは少ないのです。
   鋸歯だけからでは(上:コムラサキ 下:ムラサキシキブ)とされるのですが。

 鋸歯の有無ばかりでなく葉の形も多様で、微毛の有無でも区別できません。
 

 3. 花後の果実のつき方についても花柄の付いた位置の違いによる違いが見られません。
 

  枝が垂れ下がる園芸種や改良種などは別として、ここで自生するムラサキシキブ属は本来一種で、コムラサキらしいとしているものもその変種ではないか考えています。 


イオウゴケ

2017-07-03 09:17:37 | Weblog

 7月1日梅雨空の中、硫化水素の香る噴気でけぶる八幡平後生掛研究路を散策してきました。
散策路端や噴泥沼の中に立つ岩など所々に地衣類のイオウゴケ(硫黄苔)が着いているのが見
られました。 


 真っ赤な子器を付けたものがたくさん見られましたが、これはマリリン・モンローの唇紅に似ている
ことから『モンローリップ』と呼ばれるのだそうです😸

 

マリリン・モンロー


イボタノキ属の見分け方

2017-06-29 10:57:08 | Weblog

 6月に入ってから秋田では至る所でイボタノキ属の開花が見られます。
イボタノキ属の仲間には植栽されたものもありますが、ここでは山野に自生する3種(オオバ
イボタイボタノキミヤマイボタ)の見分け方について書いてみます。

オオバイボタ


イボタノキ


ミヤマイボタ


 
この3種は類似した低木で、自生する場所も全て里山の林縁や道端で、特異な環境というものはあ
りません。開花の時期も殆ど同時ですが、微妙に異なりで、イボタノキが最初、続いてミヤマイボタ、
最後にオオバイボタの順でした。

 3種の特徴について一覧表にしました。



 オオバイボタは灰緑色ですべすべしますが、イボタノキ、ミヤマイボタでは細毛が密生しているためざらつきます。
 


 3種の中ではオオバイボタの葉は大きく、厚く、光沢があり、裏面の葉脈も明瞭です。
イボタノキの葉は薄く、暗緑色調で伏毛があり、葉脈には細毛が密生していてざらつきます。

        オオバイボタ       イボタノキ            ミヤマイボタ


 オオバイボタの花弁は強くめくれこみ、雄蕊が突出していますが、ミヤマイボタでは殆どめくれず雄蕊も露出しません。 イボタノキの花は3種の中で最小です。 ミヤマイボタの萼にみ微毛が見られます。
 


 画像は昨年撮影した果実と実です。
 


アマドコロ・ナルコユリの違い

2017-06-10 11:02:40 | Weblog

 キジカクシ科アマドコロ属に分類されているアマドコロナルコユリとはよく似ているためしばしば混同されると言われますが、数日前、アマドコロ(ヤマアマドコロ)、ナルコユリ(オオナルコユリミヤマナルコユリ)の3者が開花している場に遭遇しましたので比較のための画像を供覧します。 

 4〜5月に開花するアマドコロと6月に開花するナルコユリとでは開花時期が違うため花を並べて比較するということは通常なら難しいのですが、秋田では予想外の現象が時々見られることがあります。
 
      墓地の土手の斜面に生えたヤマアマドコロミヤマナルコユリ
 
 上の墓地からあまり離れていない杉林には草丈150cmもあるオオナルコユリが生えていました。 
           切りとって大きさを比較してみました。
 

 
  オオナルコユリではすべすべしますがヤマアマドコロには襞があってざらざらします。
  また、ミヤマナルコユリでも少しざらつきます。
 
                 茎の横断面 
 

  (上:表面 下:裏面)
  3者のサイズには差がありますが形状には大きな違いは見られません。

   葉の裏面の顕微鏡拡大像ヤマアマドコロの裏面の小脈上には微突起があります)

 花 
  
よく似た鐘状花を葉腋から出た花柄の先に2〜4個下げていまる。
               オオナルコユリ

           ミヤマナルコユリ(葉ごとに左右に分かれて下げています)
 
                ヤマアマドコロ 
 

 拡大してみると花弁の基部と花柄との繋ぎ目がナルコユリでは細くなっています。
 


 


とげなし山椒

2017-05-19 11:02:01 | Weblog

  とげなし山椒としては植栽されている朝倉山椒がよく知られていますが、秋田の山に自生した
とげなし山椒を離れた2ヶ所で見ることが出来ました。 

  5月14日「山野草の観察会」で鹿角市の山深い湯瀬渓谷添えを歩いていた時、散策道に覆い被さ
る様に伸びた山椒には棘が生えていないと仲間が見つけて教えてくれました。
  葉腋に蕾が見られましたが、未熟で雌雄の別は明らかではありませんでした。

    

  前のことがあったので、5月19日、通勤の際に時々通うことのある三種町の山道の傍の林縁に生
えている数株の山椒を丹念に調べたところ2株,いずれも雌株、にも棘が無いことに気付きました。 
  葉腋に付いた花は既に散っていましたが子房が付いておりました。 

           
                               

   あたりに生えていた雄株の若枝とを比較したのが下の画像ですが、棘の有無の他は殆ど違いは見
られませんでした。
 

  日本各地で棘のない山椒(実生)が栽培されているようですが、これらの山椒は栽培とは全く
無縁の山の中の環境に生えたものですから棘ナシ品種と考えても良いでしょう。 

 

  


ヤマアマドコロ

2017-05-10 11:49:44 | Weblog

 私は秋田県の各所で開花するアマドコロは北日本から北海道に多いオオアマドコロだろう
と考えていましたが、最近購入した藤原陸夫・阿部裕紀子著「北東北維管植物分布図」には
秋田県の地図上にはヤマアマドコロのみが記されているのを見て、今朝、出勤の途上3ヶ所
で標本を採取して調べてみました。

 

 ヤマアマドコロとオオアマドコロの違いについては、ヤマアマドコロでは葉の裏面小脈上
に細かい突起があることで区別できるとの記載がありますが、その画像を載せた記事は見ら
れません。
 アマドコロの葉の表面は光沢があり、裏面はわずかに淡緑色調ですが粉白色を帯びるほど
ではありませんし、触れても特にざらつきを感じません。

 裏面を接写して拡大して見ると小脈上に小さな突起が沢山見られます。

 更に、実体顕微鏡を用いてこの小突起を観察してみました。 


 微細なガラス円柱状の小突起が並んでいます。