国内一のジュンサイ生産量を誇る三種町山本地区には自然、人工の池沼が数多くあって多様な水生植物を見ることができますが、とりわけ、ジュンサイ栽培農家にとっては迷惑なタヌキモの繁茂した沼も諸所に見られます。
通常、ジュンサイ沼に生えたタヌキモは開花すると直ちに絡め採って処分されてしまいますので、除去される前の良いタイミングでじっくり観察するというのは実は容易ではありませんし、常に澄んだ水を保つ必要のあるジュンサイ沼の周辺を歩き回るというのもあまり歓迎されませんから、撮影するのも結構難しいのです。その点、自然の沼に繁茂したタヌキモなら誰にも気兼ねなく撮影することが出来ますし、採取しても非難されることはありません。
数年前、山本地区の<角助沼>と名付けられた大きな沼の複数ある排水口の一つの周辺の浅瀬にタヌキモが群生しているのを見つけて毎年観察に出かけておりますが、今年も6月19日行ってきました。
今年は持ち帰って詳しく調べてみようとポリバケツを携えて出かけ、花茎を伸ばしているタヌキモの株だけを選んで採集してきたつもりでした。
そこで、葉の付いた長い茎を水から取り出してみたら茎の末端や分岐部などに長い根が付いているのが見られたのでとても驚いてしまいました。
浮遊植物のタヌキモに根? 本当なら、これは定説を覆す発見かも ・・・・・と期待しましたが、そんな訳はないのです。 その後すぐにこの間違いの原因が判明しました。
7月25日にタヌキモの花が見られた沼に再び出かけてみたところ、タヌキモの花の大部分は散って小さな実に変わっており、代わりにハゴロモモの白い花が沢山咲いているのが見られました。
つまり、タヌキモの繁殖地と見ていたこの場所はハゴロモモの繁殖地でもあったのです。開花時期が若干異なることで 下の画像のように両者を同時に見ることがなかったと知りました。 ⬆︎(種名をクリックすると説明が見られます)⬆︎
そこで、改めて兩種の葉を比較してみると明らかに異なることも分かりました。
とんだお粗末な失敗談を書きました。