ホドイモ(塊芋)は山野に自生するマメ科の植物で昔から食用にされていますが、
食用に販売されているのは明治中期アメリカから持ち込まれたアメリカホドイモ
(アピオス)です。
この2種のホドイモを同じ鉢で栽培して花を比較してみました。
両者の花の並んだ部分を拡大してみました。
ホドイモでは淡緑色の花が狭円錐状の花序を作ります。
アメリカホドイモ(アピオス)ではクズに似た円錐搭状の花序を作ります。
両者の花は色とサイズが違っていますがよく似ています。
1本の花柱(雌しべ)と6本の雄しべとは屈曲した竜骨弁の中に収められていて露出したもの
を見るのは珍しく、ことにアメリカホドイモでは竜骨弁を開かなければ現れてきません。
ホドイモ属での受粉がどの様にしてなされるのか、媒介者がいるのかどうかも分かりません。
私は3年前から自生のホドイモと栽培のアメリカホドイモとを観察していますがまだ結実した
のを見たことがありません。
ホドイモはマメ科なのに結実することが少ないらしく、ことにアメリカホドイモにいたっては
結実したという報告を見たことがありません。
なお、ネット通販などでアピオスの種として発売されているのは種芋のことなのです。
松尾芭蕉が象潟の地を訪れ華麗な合歓の木の花を眺めて詠んだ句“象潟や雨に西施がねぶの花”は
有名ですが秋田では何処ででも合歓の木の花を観ることがことが出来ます。
私の職場前の土手にも樹高の低い合歓の木が一本生えていて、毎年その芽吹きから開花、そして
結実までを何気なく目にしていたのですが、ふと、この花を詳細に観察してみたくなりました。
花は枝先に10〜20個集まった頭状花序を総状に付けます。5枚の花弁の下部は合着した筒状で
7〜9mm、微短毛があります。上方が淡紅色で下部が白色の3〜4cmと長い糸状の雄しべ多数と、
白色の花柱(雌しべ)とがあります。萼は3mmほどで筒形をしています。
14個の花が総状に付いたものを基部から切り離して並べたみました。
この中に頂生花と名付けられた花冠が長く、雄しべが合着して横に広がった花がありますが、
この花の底にある蜜は夜間にやって来る送粉者ススメガだけが饗応にあずかれるのだそうです。
花の一つだけを拡大してみました。花冠と下部の萼には微短毛が見られます。
実体顕微鏡で花糸(雄しべ、雌しべ)の上部を観察してみました(20x)。
更に拡大(40x)して見ると、雄しべの先端の葯の部分に小さな花粉の粒子が認められました。
この粒子をスライドグラスに移して顕微鏡で覗いたら、桑実胚に似た形(集粒型)の花粉が
観られました。
8月11日秋田空港まで客を送って行った折、駐車場の隅の舗装の切れ目の所から出て枝分かれして舗装された歩道の上にまで広がって繁殖しているのはクルマバザクロソウだと知りました。
在来種ザクロソウはこれまでに何度か見ていますが、帰化種クルマバザクロソウは初めてなのでその違いを知るために撮影して比較してみました。
湿った荒れ地に一面に繁茂しているのはクルマバザクロソウと同じですが、根部から枝分かれし株となって増えているためやや違った外観を示します。
ザクロソウの葉は披針形〜倒卵形でクルマバザクロソウの線状披針形の葉に比べて幅広く、節に輪生する葉の数もクルマバザクロソウが多いという違いがあります。
花は花被片が5、内面に3脈があり、雄蕊3、花柱(子房)1と兩種に違いはないのですが、クルマバザクロソウでは雄蕊が花柱に接触するように湾曲しています。
エゾノギシギシはヨーロッパ原産の帰化植物で繁殖が旺盛で刈り込んでもすぐに再生して花を付ける厄介な雑草で何時でも花や実が観察できます。
雌雄同株で花は分枝した茎の先端まで節毎に10個以上の花が花柄で吊り下げる様に付けます。
節の部分を拡大してみました。葯のある両性花とない雌性花とが見られます。
両性花を拡大してのが下の画像です。 3っに分岐した雌蕊、5個の雄蕊(葯)、3個の内花被、3個の
の外花被からなります。
雄蕊(葯)を持たない雌性花も見られます。
雌性花だけを付けた節も稀に見られます。
また、稀だが雄性花のみのものも見られます。
エゾノギシギシでは株毎に付く花の構成が違っていますが、概して両性花が最も多く、次いで雌性花で、雄性花は少ない。