花好きじじい

花を求めて山野を歩き回っています。
花好きの皆さん花にまつわる話をお聞かせください。

パッションフルーツが咲きました

2018-08-31 20:05:56 | Weblog

 昨年8月中旬にたまたま出かけた駅前のデパ-ト地下の野菜売り場にパッションフルーツとドラゴンフルーツとを見かけ(後で、この売り場にはこの時期、常時並べられていると知りましたが)、これらの熱帯〜亜熱帯原産の果実を育ててみることを思い立ちました。

 寒冷地秋田でも冬期の管理にさへ気を配れば結実までには至らなくとも開花まではもって行けるのではないかと期待して両種から種を採集してそのまま播種してみました。
 取り出した種は水で種の周囲を取り囲むゼリー状の物質をよく洗い流してからキッチンペーパーに並べて一晩乾燥した後、プランターに播いて軽く土で覆い、直射日光を避けてやや湿らした状態にしておいたところ、約10日で発芽してきました。発芽率はドラゴンフルーツの方が可なり良かったのですが、その後の越冬の段階でドラゴンフルーツの幼苗は枯れてしまったため、ここからはパッションフルーツについてのみ書きます。

   種の実態顕微鏡による拡大像です
 

  この画像は本年8月1日再度の試みるとして播種して26日経過した新しい苗です。
 

  昨年播種し越冬し、成熟して繁茂したものとを並べて撮影してみました。
 

  8月31日夕刻にようやく念願の花を見ることができましたが、命の短い1日花で翌朝には萎んでいました。

 
  トケイソウ科の仲間特有の複花冠を持った花が美しい。

  花弁が5個、萼片が5個ありますが、前面から見るとどちらも白いため区別がつきませんが後面から見ると萼片が緑なので区別できます。

    (追記:秋田では花は沢山つけますが、開花後は全て落花してしまい結実しません。)



アギナシとオモダカの見分け方

2018-08-30 20:32:39 | Weblog

 私の職場の近辺にはジュンサイを栽培している浅い沼が数多く散在していますが、その中でも最も
近くにある1hrにも満たない小さな沼の周辺の土手の水際にはヒエ、イネ、イグサ科などの雑草など
に混じってアギナシがたくさん生えていてジュンサイ農家の嫌われものの一つになっています。

 

 農家ではジュンサイの摘み取り作業も8月中旬には終了し、下旬から9月上旬にかけて沼周辺の草刈
り作業とか沼の中に侵入したアギナシ、タヌキモ、ヒツジグサなどの抜き取り作業が始まります。
 こうした作業に取り掛かる前に、毎年沼の所有者の許可を得てこれらの植物を撮影をしたり採集さ
せてもらったりたりしていますから、除草作業に入る前に馴染みになった所有者が通知してくれます。
 

  今年は8月31日に除草作業をするとの連絡がありましたので、昼食後の休憩時間を利用して出かけ
てジュンサイ沼から抜き取られた雑草の中からアギナシだけを20株以上を選び出して持ち帰りました。
 なおこの折、この沼と村道を挟んだ水田の端に群生したオモダカも比較するために採集してきました。
 このように綺麗に刈り取られ、抜き取られてもオモダカ科の植物は生命力は強靭なため復活して翌年
夏にも同様の開花が見られるはずです。
 

  幸いにも、私の生活圏にはオモダカ科5種(オモダカ、アギナシ、ヘラオモダカ、サジオモダカ,マル
バオモダカ)の生息地がありますから、これら5種の形状、ことに花とを見るだけでほとんど間違いなく
見分けることが出来ます。
 通常、開花したオモダカ科に遭遇した場合、花冠サイズの大きい(4〜6mm)のオモダカ、アギナシと、
小さな(3〜4mm)のサジオモダカ、ヘラオモダカ、マルバオモダカとは見分けられ、さらに植物の全容
(ことに、葉の形)を観察することで区別することは容易です。
        オモダカ                  アギナシ
  

     ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー       

        サジオモダカ               ヘラオモダカ
 

                   マルバオモダカ
            
 

 とりわけ、オモダカアギナとを区別するのが困難だったとした記載も間々見受けられますが、
以下の各点に留意すればそれほど難しくはないものと思います。
 

 ⓵ 輪生総状花序はアギナシでは高く花も離れて付くため葉の上に出るように見え、オモダカでは
低く花も蜜に付くため葉の中に隠れるように見えます。
       ジュンサイ沼の岸に生えたアギナシ

    
       別のジュンサイ沼に群生していたオモダカ
 
  

 ⓶ は矢じり形をしていますが、アギナシでは葉身の狭いものが多くオモダカでは広いものが多
いという違いがありますが、両種とも変異が多いため葉身の幅だけで区別することは困難です。
       アギナシの葉は多様ですが、概して葉身の細い線形のものが多い。
 
      オモダカの葉身は幅広のものが多い。 
 

 きわめて特徴的なのは、アギナシでは頂裂片が側裂片よりやや長いのに対してオモダカでは頂裂片
の方が短いことで、葉身の幅の広狭に関わらずこの関係は変わらないことです。 
 頂、側裂片の先端はアギナシではオモダカより鈍とされていますが、それほどの違いが無く両種を
区別の有力な根拠とはし難いと思われます。

 「顎なし」の名称の元となったアギナシのヘラ状の葉は殆ど1割程度にしか見られれませんから、
この有無だけで両種区別の根拠とはなし得ないと思います(オモダカにも稀に見られることがあります) 
     下の画像の様にヘラ状の葉を多数出している極めて稀な株もあります。
      ヘラ状の葉が成長につれて3裂した葉に変わるということはない。
 

 ⓷ 秋には葉柄の基部に多数のムカゴ(零余子)を付けるとされますが、奇妙なことに、今年8月31日
にジュンサイ沼から抜き取った約20株以上のいずれにもムカゴの痕跡すらも見ておりません。その理由と
して、まだムカゴ形成時期に達していなかったのか、または今年の異常な暑さによりムカゴ形成が遅れた
ためなのかなど種々考えられますが、想像の域を超えていません。
 刈り取りを免れたアギナシが沢山残されているのが分っていますから今月中旬以降にもう一度調べてみ
たいと考えております。(なお、ここに掲げたムカゴの画像は何れも9月中旬以降に撮影されたものです)
 
                         2012.9.14  撮影                      2015.10.1 撮影
 これまで、アギナシのどれほどの割合でムカゴを付けるのかという知見も持っていませんのでこれも併
せて調べておきたいと考えております。 

 

 

 


ノラニンジンの中央花(その2)

2018-08-08 20:26:31 | Weblog

 前の記事には「ノラニンジンの暗紫色の中央花は何の役割も持たない無駄花であろう」と
書きましたが、ここでは少なくとも繁殖には関与していないらしことを示す証拠を示します。 

 ノラニンジンは複散形花序を形成し、大花序は50〜60個の小花序からなり、小花序は約
40個の小花からなっています。 小花は5片の花弁、2本の花柱が立った花盤(溝あり)、5個
の雄しべ、その下に有毛の子房とからなっています。なお、大花序の樹枝状に分かれた総苞片
は9~13個、小花序の苞片は6~8個あります。
  
  

  白小花より雄しべをスライドグラスに取り、水滴を滴下してカバーグラスで覆い圧迫して検
鏡しますと葯より多数の俵型をした花粉粒が出てきました。


 

  中央花には通常1個の雄しべしかありませんが、取り出して集めた暗紫色の雄しべについて
も調べてみました。
  

 中央花の葯の内容物は全く無いか、又は少なく、内容物が有っても正常の花粉粒も少々混
じってるものの、変形して崩れたものが大部分でした。

 

  結果して鳥の巣状の塊となった果序の中心部から萎れた中央花を取り出して撮影したのが
下の画像ですが、暗紫色の花では殆どが結果することなく萎縮傾向を示しているのに、中央
の暗紫色と白色との複数の花を付けたものの中の白花だけが結果しています。
 

  以上の観察から暗紫色の中央花は繁殖には全く関わっていない花だと考えました。