私の生活圏にはキッコウハグマの生育する場所が何ヶ所かあることは知ってはいましたが、最近になって毎日通勤に通っている国道からあまり離れていない公園の散策路にも沢山生えることを山野草同好会の仲間から教えて戴いたので帰途に何度か立ち寄って観察しました。
キッコウハグマはキク科モミジハグマ属の中でも最も小さく、草丈も10〜15cmしかなくて見栄えのしない上に、閉鎖花が多いので見過ごされ易い花なのです。
頭花は総状に数〜10個つきますが、そのうち開花する解放花は1〜3個だけで、あとは開花しない閉鎖花のことが多いことが分かりました。
根は細かく分かれ、かなり深く広がっています。
葉は茎の下部に5〜10個輪生状につき、長い葉柄がある5角形で角には棘状の突起があります。葉表は緑色でやや光沢があり、葉裏は緑白色。両面に毛があります。
頭花は3個(稀に4個)の小頭花の集合体で各5枚合計15枚(時に20枚)の白色で先端が巻いた花弁をつけます(下の画像は小頭花を切り分けたものです)。
雌雄両性のこの花でははじめに3本(稀に4本)の雄蕊(葯筒)が表れ、その中から先端が二分した雌蕊(花柱)が突出してきて受粉するとされます。
下の画像の前方には葯をつけた雄蕊筒をつけた花、後方に花柱の突出した花が見られます。
葯をつけた雄蕊筒
雄蕊筒から花柱が突出した花
花が咲いた後、痩果をつけますが、解放花と閉鎖花とでは大きく違います。
花弁の萎んだ解放花では開花の終わりがよく分かりますが閉鎖花では開花が終了したのか蕾の状態のままなのか右の画像のように冠毛が表れてくるまで分かりません(右は全て閉鎖花)。
開花が終わった閉鎖花と解放花
下の画像は花筒から覆瓦状の萼片(十数片)を取り除いたものです。
解放花では
下の閉鎖花に比べて子房が極めて貧弱で成熟した種子となるとは思われません。
閉鎖花では
閉鎖花には花弁の痕跡のようなものは全く見られず、中央に棍棒状に見えるものがありますが、
これを取り出して袋状の幕を開いてみると褐色の先端が二分した花柱が出てきます。
恐らく、この花柱嚢(仮称)の中で自家自粉が完了したものと思われます。
熟すると萼片が脱落して羽状の冠毛をつけた風散布型の痩果が開いてきます。
冠毛を除いた種子の拡大像
種子を鉢に播き増殖を試みておりますので結果については後日書いてみます。