花好きじじい

花を求めて山野を歩き回っています。
花好きの皆さん花にまつわる話をお聞かせください。

キッコウハグマの花

2018-11-19 21:15:17 | Weblog

 私の生活圏にはキッコウハグマの生育する場所が何ヶ所かあることは知ってはいましたが、最近になって毎日通勤に通っている国道からあまり離れていない公園の散策路にも沢山生えることを山野草同好会の仲間から教えて戴いたので帰途に何度か立ち寄って観察しました。

 キッコウハグマはキク科モミジハグマ属の中でも最も小さく、草丈も10〜15cmしかなくて見栄えのしない上に、閉鎖花が多いので見過ごされ易い花なのです。

  

 頭花は総状に数〜10個つきますが、そのうち開花する解放花は1〜3個だけで、あとは開花しない閉鎖花のことが多いことが分かりました。
 
 根は細かく分かれ、かなり深く広がっています。
 

 葉は茎の下部に5〜10個輪生状につき、長い葉柄がある5角形で角には棘状の突起があります。葉表は緑色でやや光沢があり、葉裏は緑白色。両面に毛があります。


  頭花は3個(稀に4個)の小頭花の集合体で各5枚合計15枚(時に20枚)の白色で先端が巻いた花弁をつけます(下の画像は小頭花を切り分けたものです)。


 雌雄両性のこの花でははじめに3本(稀に4本)の雄蕊(葯筒)が表れ、その中から先端が二分した雌蕊(花柱)が突出してきて受粉するとされます。
 下の画像の前方には葯をつけた雄蕊筒をつけた花、後方に花柱の突出した花が見られます。 


 葯をつけた雄蕊筒
 

 雄蕊筒から花柱が突出した花
 

 花が咲いた後、痩果をつけますが、解放花と閉鎖花とでは大きく違います。
 花弁の萎んだ解放花では開花の終わりがよく分かりますが閉鎖花では開花が終了したのか蕾の状態のままなのか右の画像のように冠毛が表れてくるまで分かりません(右は全て閉鎖花)。
  
          開花が終わった閉鎖花と解放花
 
 
下の画像は花筒から覆瓦状の萼片(十数片)を取り除いたものです。
                解放花では 
 
 下の閉鎖花に比べて子房が極めて貧弱で成熟した種子となるとは思われません。

                閉鎖花では 
 
 閉鎖花には花弁の痕跡のようなものは全く見られず、中央に棍棒状に見えるものがありますが、
 これを取り出して袋状の幕を開いてみると褐色の先端が二分した花柱が出てきます。
 恐らく、この花柱嚢(仮称)の中で自家自粉が完了したものと思われます。


 熟すると萼片が脱落して羽状の冠毛をつけた風散布型の痩果が開いてきます。

  冠毛を除いた種子の拡大像
 

 種子を鉢に播き増殖を試みておりますので結果については後日書いてみます。

 

 


秋田で見るハグマの名のついた植物

2018-11-19 20:45:41 | Weblog

 『ハグマ』とはチベットなどに生息するヤクの白い尾の毛を武将の采配、僧侶の払子、旗や槍の装飾に使ったものの名称であるが、花の形がこの白毛の装飾に似るキク科モミジハグマ属の一群につけられている。
 この属の植物は日本から中国にかけて30種ほど知られているが、日本で○○ハグマの名のつけられたものが10種あり、秋田でもオクモミジㇵグマ、クルマバハグマ、キッコウハグマの3種が見られる。

オクモミジハグマ
 草丈:40~80cm 
 葉は4~7個、茎の中央部にやや輪生状につき、腎心形または円心形、掌状に浅裂  し縁には鋸歯がある。長い穂状花序に多数の頭花を横向きにつける。小花は3個、花冠は白色で5裂する。総苞は筒形の覆瓦状。

                     (9月22日岩谷山麓で撮影)

クルマバハグマ
 草丈:30~60cm
 葉は6~8個、茎の中部に車状につく。先が尖り、基部が楔形。茎頭の円錐花序にまばらに頭花をつける。小花は7~10個、花冠は白色で5裂。総苞は鱗状に並ぶ。

                     (9月22日岩谷山麓で撮影)

キッコウハグマ
 草丈:10~30cm
 葉は下部にやや輪生状に5〜11枚、腎形または卵形で5角形。頭状花序は総状または複総状に10個内外つくが解放花は1〜3個でほとんどが閉鎖花。小花は3個で花冠は白色で5裂。総苞は狭い筒形で覆瓦状に並ぶ。


                    (11月3日国花苑で撮影)