花好きじじい

花を求めて山野を歩き回っています。
花好きの皆さん花にまつわる話をお聞かせください。

植物タカネトンボ

2016-07-30 06:33:27 | Weblog

 タカネトンボ(高嶺蜻蛉)という名を聴けば誰しもが昆虫を連想しますが、ここでお示しするのは同名のラン科(ツレサギソウ属)です。
 7月22日、八幡平畚岳に登った折、中腹のオオシラビソの樹下の湿った場所に生えた小さいが光沢のあるこの葉の植物を見かけました。

 基部についた楕円形で先端が鈍の対生した2枚の葉から直ちに思い浮かんだのはラン科フタバラン属ですが、検索してもどの種とも似ていないことが分り困惑しました。

 そこで、しばしば利用させて貰っている検索サイト画像掲示板・この花なあに】に載せたところ、直ちに返信があり、“タカネトンボ”の名であるとの指摘がありました。

 草丈が8〜15cmほどで、茎頂に固まって付ける淡黄色の小さな瘤状の花が特徴の見栄えのしないこの蘭は絶滅危惧 Ⅱ類 に分類される稀少種だそうです。


面影橋の下に咲くコウホネ

2016-07-15 15:55:37 | Weblog

 秋田市八橋本町の草生津川には面影橋と名付けられた小さな橋が架かっています。その名からは悲恋物語にでも係わるロマンなどを想い抱くのですが、秋田久保田藩時代に草生津刑場に曳かれてゆく罪人が名残の姿を水面に映した橋だったという不粋な由来を知り急に興ざめしたものです。
   
 この橋の下の川床には海草の様な水草が一面に繁茂していて6月から7月にかけて黄色の花が時々顔を出すことは前から知られていたようですが、誰もそれには気を留めず、それ以上調べられた形跡はなかったようですが、山野草同好会「秋田花の会」メンバーの一人の方がそれに注目して、秋田には有る筈のないシモツケコウホネではないかという意外なこと言い出したのです。

 私もこの方の想い付きに大いに興味を持ち、お願いして6月26日にそこの場所まで連れていってもらって見てきましたが、確かにこれまでに見たことのないようなコウホネで、数輪の花が波間に出たり沈んだりしているのに抽水葉(水上に延びた葉)も浮葉が全く無くて水中には沢山の沈水葉(水中葉)が水流に揺らめいているのが見られました。
  
  秋田県ではコウホネは各地の湖沼でかなり普通に見られ、ネムロコウホネ は八幡平の長沼で、そして、オゼコウホネも湯沢市の田代沼で見られるのですが、これまでに栃木県(旧・下野国)でしか見られていないシモツケコウホネが秋田で見られたとなると一寸した特ダネになるわけです。
 その後、梅雨空の晴れ間を選んで幾度となくこの花の撮影に出かけ、挙げ句の果ては長枝切り鋏を携えてこの川に行き、数輪の花と沈水葉を切り取ってきて撮影しました。 
 

 

 この画像を添付したメールをシモツケコウホネを専門誌に最初に報告した(つまり、名付け親)新潟大学教育学部志賀隆準教授に送り鑑定を依頼したところ、返信には『画像を見た限りでは、シモツケコウホネではなく、普通のコウホネである。水流の早い川で生育するコウホネでは沈水葉を多く付けるが、沈水葉だけというのは稀である』とあり、少なからず落胆しました。
 面影橋の下には珍しいドジョウはいなかったというお粗末な顛末を書きました。