河野太郎防衛相は、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の計画を停止すると発表した。
配備予定地の秋田、山口両県では15日、突然の通告に県幹部らが困惑の声を上げた。一方、配備に反対してきた住民らは歓迎し、改めて計画の白紙撤回を求めた。
計画停止の理由は、迎撃ミサイルを発射した後、ブースターが演習場外に落下する可能性を排除できず、演習場内に落下させるためには、ミサイル本体の改修が必要となり、その見通しがつかないためとのことだ。
今まで防衛省は、住民説明会で、演習場内にブースターを100%落とせると言ってきた。住民は、他の説明にも不信感が募る」と話している。
配備撤回を国に求めていた佐竹敏久秋田県知事は、「ミサイル本体の改修も必要となれば、さらに多額の費用と相当の期間を要することになる」とした上で、「プロセスの停止、すなわち現行の配備計画を停止することは賢明な判断と考える」とコメントした。
穂積志秋田市長もコメントを公表し、「閣議決定から2年半、地元が振り回されてきたことは誠に遺憾。全く無責任と言わざるを得ない」と防衛省を批判した。
山口県の村岡嗣政知事は、「周辺地域の安全を守ることは求めてきたので、その考え方で判断されたことは適切と受け止めている」と述べた。
予定地の同県阿武町では、配備反対を表明してきた花田憲彦町長が「町民の不安に対する切実な思いや反対の願いが伝わったと理解している。白紙撤回の決定につながることを期待する」との談話を発表した。
これで、「イージス・アショア」計画は事実上白紙に戻ったことになる。河野防衛相は今後アメリカと善後策を講じると言っているが、アメリカの出方が注目される。
「イージス・アショア」は、2基で6000億円以上になると言われ、装備について、安倍晋三首相がアメリカのトランプ大統領に求められたものだ。
今回の決定については、当然、安部首相が了承したものだが、常にトランプ大統領の顔色を伺っている安倍首相としては、事前にトランプ大統領に伝え、了承を得ているのか否かは分からない。
若しかしたら、現在、11月の大統領選挙運動で劣勢に立っているトランプ大統領なので、早くも見切りをつけ次期大統領を見据えての措置かも知れない。
レベルが全く違うとは思うが、「イージス・アショア」より格段に困難で、長期工事になり、且つ莫大な資金を要する沖縄の辺野古基地埋め立て工事の中止についても、この際、アメリカに打診することができないか。「関連:2019年6月7日」