安倍晋三首相は消費税増税を見送ったことについては、居直ったのか一応謝罪のような形を取ったが、その口から増税再延期は「新たな判断」という意味不明の釈明をした。
政治家が公約を反古にした際、これは「新たな判断」と言って逃げれば公約など無いに等しいし、これでは政治とは言えない。
「新たな判断」などという言葉を使って国民を納得させることができると思っている安倍氏は、国民を甘く見ているし傲慢そのものだ。
ただ、今度の増税延期は、増税そのものに反対している共産党や社民党を含め総ての政党が延期、反対の方針だ。
それでは、2%の増税で約4兆円の税収を見込み、その金で社会保障制度の補強をしようとした政策はどうなるのか。
安倍首相は、保育士や介護士の報酬を増やす約束については、何とか財源をひねり出すと言っているが、その他については国債を発行してまでも対処するつもりはなく、我慢して欲しいとのことだ。
一方、今回増税を平成31年10月までの2年半見送ったため、安倍内閣が約束している2020年度にプライマリーバランスをとんとんにすることは難しくなった。
政府の試算では、消費税を10%にして、経済成長率を実質2%、名目3%にして初めて2020年にプライマリーバランスが平行になることになっている。
その経済成長率2%は、現在のマイナス成長率から考えれば達成は夢のまた夢で、加えて増税を見送ったことによりプライマリーバランスを平行にすることはほとんど困難になった。
そればかりか、税収不足を国債の増額で補うことにでもなれば、国の借金はますます増えるばかりだ。政府が財政規律を守らないと国際社会が判断すると、日本の国債等に対する格付けが下がり国債が暴落し、それこそギリシャのような立場に追い込まれないという保障はない。
安倍首相は、今回の増税再延期で厳しい立場に追い込まれる可能性がある。「関連:6月1日」