今日6日、原爆投下から70年を迎え、広島市の平和記念公園で過去最多の世界100カ国から要人らが出席して平和記念式典が開かれた。
原爆が落とされた午前8時15分、式場では鐘の音、当市ではサイレンが鳴って1分間の黙とうを行い犠牲者の霊を慰めた。
松井一実広島市長は平和宣言で「核兵器は非人道性の極み」とし、武力に依存しない安全保障の仕組み作りを各国に求めた。被爆者が高齢になり、体験を語れる人が減る中、「被爆の実相」を次世代に伝える取り組みを強化すると誓った。
多くの国民の反対の声に逆らって安全保障法制を進める安倍晋三首相は、平和宣言後の挨拶で、「核兵器のない世界の実現に向け、一層の努力を積み重ねていく」と述べ、今年秋の国連総会で新たな核兵器廃絶決議案を提出すると表明した。また、原爆症の認定申請に対しては「一日も早く認められるよう審査を急ぐ」と語った。
一方で、少なくとも1996年以降、歴代政権が広島の平和記念式典で言及してきた「非核三原則の堅持」については触れず、被爆国として、世界に非戦を訴えることもなかった。
折しも、甲子園球場では夏の高校野球100年を迎え、大正4年の第1回大会で優勝した京都二中の流れをくむ鳥羽高校の梅谷成悟主将(3年)が、「この100年、日本は激動と困難を乗り越えて、今日の平和を成し遂げました。次の100年を担う者として、8月6日の意味を深く胸に刻み、躍動することを誓います」と述べ、大きな感動を与えた。
広島市によると、式典には世界100カ国、国内の被爆者と遺族ら約5万5千人が参列。韓国などで暮らす在外被爆者と遺族も10年ぶりに出席した。核保有国では米国からキャロライン・ケネディ駐日大使のほかに、国務次官としては初めて核軍縮・不拡散政策を担うローズ・ゴットメラー氏が参列。英、仏、ロシアも大使らが出席したが、中国は欠席した。