自民党の武藤貴也衆院議員(滋賀4区・36歳)が自身のツイッターで安全保障関連法案をめぐる学生らの反対集会について、「戦争に行きたくないという考えは極端な利己的考え」と書き込み、ネット上で反論が相次ぎ、野党だけでなく与党の一部からも批判の声が続出している。
彼の口の裏は、「若者は戦争に行くのは当たり前」と言っているようなもので、安倍晋三首相らが、安保法制は「自衛隊を戦場に送り込むわけでない」としている国会答弁とも矛盾する。
武藤氏は自身のフェイスブック上でも、「世界各国が平和を願って努力する現代において、日本だけがそれに関わらない利己的態度をとり続けることは国家の責任放棄だ」としている。
民主党の枝野幸男幹事長は「自民党の強権的な姿勢が総裁から若手議員まで徹底している」と述べて批判。今後追及する姿勢を示した。
昔の自民党と違って、最近は安倍首相の右寄り路線に党内のほとんどの議員が追随している。しかも、世代交代が進み自民党内でも若手議員がどんどん増えているが、これらの多くが武藤議員と同じような「お国のためには犠牲もいとわない」という戦時中の玉砕思想を持った戦争議員が増えている感じだ。
これらの議員は、自らの思想が正しく、それに反する考え方は間違っていると決めつける独断的な意識の持ち主ばかりなのだろう。武藤議員も「戦争に行きたくないという考えは極端な利己的考え」と決めつけている。国会議員が若者に言う分けだからいかにも高圧的だ。
今の人々は憲法で人権が守られ、基本的には他者から一方的に考え方を押し付けられないことになっているが、戦時中は国家の意思を押し付けられこれに従わざるを得なかった。それがあの忌まわしい戦争時代の掟だった。武藤議員の意識は正に戦時中そのものだ。
恐れるのは、このような70年前の亡霊のような意識をもった武藤議員と、同じ思想の若手議員が政府・自民党の中にいっぱい居そうな感じだ。
もし、そうだとすると、憲法を踏みにじり自衛隊を海外に派遣することを厭わない安倍政権が、安保法制をきっかけにこれらの議員が増幅していく中で、また戦時中に回帰しないとも限らない。
人心一新は結構なことだが、戦時中の戦争少年のような危険極まりない思想を持つ若手議員は不必要だ。もっと右左のバランスがとれた若手議員を数多く国会に送り出さなければならない。