老人(としより)の目(『ある年寄りの雑感』)

「子どもの目」という言葉がありますが、「年寄りの目」で見たり聞いたり感じたりしたことを、気儘に書いていきたいと思います。

稀勢の里、賜杯を抱く

2017-01-23 20:06:00 | インポート
今年平成29年の初場所で、大関稀勢の里がやっと初優勝を成しとげ、第72代横綱に昇進することが確実になった。

新入幕から73場所かけての横綱昇進は、年6場所制となった1958年以降の入幕力士では最も遲いという。初優勝は14日目に決まっていたが、千秋楽で白鵬を破って横綱昇進を確実なものとしたと言える。千秋楽の賜杯拝戴で、稀勢の里は念願の賜杯を手にした。
その様子を、テレビのアナウンサーは、「さあそして、賜杯を抱(だ)きます。初めて抱(だ)く賜杯!」と言っていたが、これは「賜杯を抱(いだ)く」と言うべきではないか、と思う。赤ん坊を抱(だ)くわけではないのだから。

念のため常用漢字表を見てみると、「いだく」のところに、「抱 だく・かかえる・ホウ」とある。つまり、漢字の「抱」には、「いだく・だく・かかえる・ホウ」という音訓が示してある。したがって、常用漢字表によっても、「いだく」という読みは可能である。

問題になるのは、「抱」という漢字の「いだく」「だく」という二つの読みをどう読み分けるか、ということである。
先に例をあげた「赤ん坊を抱く」の場合は「だく」であろうが、「ある恐れを抱いた」の場合は「いだく」と読むのが普通であろう。
そして問題の「賜杯を抱く」の場合であるが、これはやはり「いだく」と読むべきである、というのが私の意見である。
この二つの読み分けにはどういう区別があるのか知らないが、既に研究がなされているのではないかと思う。

気になったので、取り敢えず記しておくことにする。
                                    (平成29年1月23日)




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