日刊「NOCUSる」

たとえば5年後、あなたは何を食べている? それは、どこで誰が作る?

コラーゲン(異論歓迎)

2011-01-21 | たより
 
No.3759

鈴木サトさんの絵手紙
「里のギャラリィ」135から。

関連 → 「たまご新聞」No.655
そちらの記事からの転載です。
 いわき市の山間、入遠野で百姓をしている友人がいます。東北大学理学部の大学院を出て、いわき市には家も土地も縁もなかったのですが、そのまま同地に入植?して、25年くらい。毎週「百姓だより」を発行しているほか、インターネットに「じぷしい農園」というホームページを開いています。そこに載っていた記事を転載です。
 大学を出て百姓をやっていると、必ず言われるのは「もったいない」という声だ。特に農業とはほとんど縁のない物理屋出身だから(いちおう「生物物理」ということで、まったく接点がないとは言えないが‥‥‥)、余計にそう言われそうだ。オマケに私は大学院までずっと授業料免除を受け、大学の入学金以外は1銭も支払っていないから(大学院は入学金も免除)、税金をムダにするなとも言われそうである。私は国立大といえども、目に見える形で社会に利益を還元しなくてはいけないという考えはもっていないが、何にも役に立っていないとも思っていない。
 TVでは健康や美容をうたい文句にしたサプリメント類のCMが大量に流されている。中には怪しいものも少なくない。こうしたものにだまされない為にはある程度の科学的知識は不可欠である。たとえば、美容のためのコラーゲン。「年齢とともに減少するコラーゲンを」といって、顔に擦りこませるような商品を宣伝しているが、コラーゲンはかなり分子量の大きなたんぱく質で、動物の種によってアミノ酸の配列が異なるから、他の動物からとったコラーゲンが皮膚に定着するはずもない。もし、皮膚の奥まで入ったとしたら、免疫反応で拒絶されるだけだから、人間のコラーゲンでなくては意味がないことになる。とすれば、それは死体からとったコラーゲン? そこまで深く考えなくても、無意味なものは無意味で、腐りやすいコラーゲンを腐らないよう、防腐剤もたっぷり入ってそうだから、人間のコラーゲンでなくてもオソロシイのは間違いない。ある程度科学的知識をもっていれば分かることなのだが、この手の商品が多数宣伝されていることを見ると、やはり分からない人が大多数なのだろう。
 こうしたイカサマ商品は一般消費者向けだけでなく、農業分野にも溢れている。一見してイカサマかどうか分からない商品も多いのが農業資材の難しいところである。たいていは高価な資材なので、いちいち効果があるかどうか確かめて使えばいいものだが、私が見る限り、決して試すことなく大量に購入・使用する場合がほとんどである。私も聞かれれば知っている限りのことは説明できるが、こちらからでしゃばることもできない。ただ、電気柵の普及などはイノシシ被害の回避にかなり役に立てたのではないかと思っている(入遠野はいわきでも電気柵の普及率では桁違いだと思う)。
 米価暴落の上に、農業を壊滅に追い込むさらなる農産物自由化をもくろむ民主党。イカサマ商品を売りつける業者だけでなく、こうした政治屋にもだまされないよう、政治的知識も付けておかなくては。
 あんなに大々的に売ってるのに、まさかイカサマだなんて!? 異論など、お寄せいただければ面白くなります。
  
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