隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1551.ラブ・ケミストリー

2015年10月13日 | ユーモア
ラブ・ケミストリー
読了日 2015/09/18
著 者 喜多喜久
出版社 宝島社
形 態 単行本
ページ数 305
発行日 2011/03/18
ISBN 978-4-7966-8001-1

 

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月10日土曜日にしばらく振りで精文館木更津店に行ってきた。国道16号沿いにある店舗は、レンタル店TSUTAYAを併設した書店で、木更津市内最大の面積を誇る店だ。このところ何か月か行ってなかったら、レイアウトや什器が一部変わって、新たな装いはまるで新店のような新鮮な感じで、休日のせいもあって大入りの客だった。
僕の目的はTSUTAYAでのDVDレンタルだったのだが、目的のDVDがなく書店の見学に代わった。たまに新刊書店の動向も見ておかないと、本の動きがわからないなんて、プロのようなことをいうつもりはないが、古書店ばかり見ている眼には、新しく刊行された単行本や、文庫化されたものなどを見て歩くと、心がざわめくのだ。
僕にとっては見て歩くだけというのは、目の毒だがそれでも読書意欲を起こさせて、積ン読本の消化に少しは役立つかもしれない。こうした店舗内装のリニューアルなどにも遭遇するから、たまには訪れてみるものだ。
昔、もう40年以上も前の話だが、カミさんが幼ない娘を連れて買い物に行くとき、娘に「今日は見るだけだよ、買わないよ!」と、よく言い聞かせてから行くという。
店内を見て回っていると、欲しいものがあっても娘は、カミさんに向かって「今日は見るだけだよね?買わない日だよね!」と言う。それを見て店員は「あら、お利口さんね!」と言って笑うそうだ。
僕も、書店の棚を見て回りながら、“今日は買わないよ”と心に言い聞かすのだ。そうしないと衝動買いをしてしまいそうになるから、まるで子供だね。

 

 

宝島社が主宰する「このミス大賞」では、対象以外に優秀賞に選ばれた作品も単行本として刊行されることがあって、そうした中にも面白く読める本があるから、時々はチェックする。
本書は多分BOOKOFFで買ったものだと思うが、以前書店で「化学探偵Mr.キュリー」とか「美少女教授・桐島統子」などというタイトルと一緒によく見かけており、どういう内容だろうと興味を持ったこともあった。
だからたまたまBOOKOFFのおそらく100円の棚で見かけて買ったものだろう。僕はそんなことで本を買うものだから、いつの間にか積ン読が溜まってしまって、と、同じことを何度も書くのだ。
それでもこうしてそれほど間を置くことなく読めばいい方で、おそらく買ってから何年も経つ本が何冊もあるだろう。

 

 

9回「このミステリーがすごい!」大賞に応募して、優秀作に選ばれた作品だそうで、応募時の「有機をもって恋せよ」に加筆したものだという。そうした大賞に届かなかった作品でも、僕が読んだ本では堀内公太郎氏や、七尾与史氏、佐藤青南氏、岡崎琢磨氏などという多くの作家を輩出している。
本書の作者・喜多喜久氏は、東大大学院の薬学系研究科修士課程を修了して、大手の製薬会社に研究員として勤務しているそうだ。本書の主人公・藤村圭一郎は著者自身を投影したものではないか?などと思ってしまうが・・・・。
まあ、それはともかくとして大学の研究員として、毎日研究に励む藤村は霊感のように頭に浮かぶ、それはまるで絵のように研究に必要な化学合成のルート、それによって確実に研究が進んでいたのが、ある時全くそうした現象がなくなってしまったのだ。
そんな彼の目の前の現れたのは、カロンと名乗る女性。だが彼女は人間ではなかった。「君の能力を取り戻してあげる」というのだが、その代償は?
茶目っ気たっぷりなカロンが藤村君に以前の能力を取り戻すことができるのか?彼の研究室に入ってきたきれいな助手との恋愛模様も絡んで、事態は複雑な様相を示して行く。

気の弱い藤村圭一郎に、あまり感情移入はできないが、ストーリーは可もなく不可もなくといった感じで、スムーズに読める。

 

 

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