隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0558.ソーンダイク博士の事件簿Ⅱ

2005年02月27日 | 短編集
ソーンダイク博士の事件簿Ⅱ
THE CASEBOOK OF DR.THORNDYKE Vol.2
読 了 日 2005/02/27
著  者 オースチン・フリーマン
Richard Austin Freeman
訳  者 大久保康夫
出 版 社 東京創元社
形  態 文庫
ページ数 323
発 行 日 1992/12/25
ISBN 4-488-17502-3

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

い先日読んだⅠが余りにも傑作だったので、またもやネットで探して、このⅡを購入してしまった。未読の本が200冊を超えているから、買うのを少し控えようと思っていた矢先なのに・・・。
シャーロック・ホームズに続けとばかりに、この当時続々と現れたホームズのライバル達の中で、第一に挙げられるという東京創元社の戸川社長が言われるように、ホームズとは一味違った名探偵の活躍は、次々読みたくなる名編だ。

 

収録作と原題
# タイトル 原題
1 パーシヴァル・ブランドの替玉 Percival Bland's Proxy
2 消えた金融業者 The Missing Mortgagee
3 ポンティング氏のアリバイ Mr. Ponting's Alibi
4 パンドラの箱 Pandra's Box
5 フィネス・アネズリーの受難 Phillis Annesley's Peril
6 バラバラ死体は語る Gleanings from the Wreckage
7 青い甲虫 The Blue Scarab
8 焼死体の謎 The Funeral Pyre
9 ニュージャージー・スフィンクス The New Jersey Sphinx

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0557.ためらう女

2005年02月24日 | リーガル
ためらう女
THE CASE OF THE HESITANT HOSTESS
読了日 2005/2/24
著 者 E・S・ガードナー
Erle Stanley Gardner
訳 者 三樹青生
出版社 早川書房
形 態 HPB284
ページ数 274
発行日 1998/06/30
ISBN 4-15-000284-3

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

面白そうな本を探すために、インターネットを利用することにしたのはもう4年も前になるが、次々と買いあさったお陰で、積ン読になっている本が200冊以上になってしまった。
そこで、読書のスピードがいくらかアップしている今、何冊かずつ消化しようと思い、年が明けてから実施し始めた。
本書はHPB284と、HPB(早川ポケットブック)の大分若い番号だから、たぶん前に一度読んでいるのだろうが、女優の日色ともゑ氏の父君ではないが、こうした本は時が経つにつれ忘れてしまうところが良いのだ(そうだ)。
というわけでもないが、僕の記憶にも全く姿を現さない。ペリー・メイスンシリーズ(だけでなく、ガードナー氏の著作はすべて)は、口述筆記で書かれたものだから流れるように読むことが出来るのが良い。
いつものように、全く逆転不能と思える依頼人の状況から、最後の最後でひっくり返すメイスンの活躍だが、今回はいきなり法廷の場面から物語が始まる。そして頼みの綱だった弁護側の重要証人である女性が、突然消えてしまうという、なんとも情けない状況に追い込まれるメイスン・・・。

 


0556.尾張路殺人哀歌

2005年02月22日 | トラベルロマン

 

尾張路殺人哀歌
読 了 日 2005/02/22
著  者 石川真介
出 版 社 光文社
形  態 新書
ページ数 434
発 行 :日 2003/05/20
ISBN 4-334-73482-0

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

ビュー作の「不連続線」を含め、著者の作品を読むのは4冊目となった。
4作品に共通しているのは数奇な運命をたどる女性が主人公であるという点だろう。それとデビュー作以外では、本格ものでありながら、あたかも倒叙型を思わせる展開となっているところだ。
特に本書では、物語の大半がこの形式をとっており、探偵側の犯罪捜査という視点からは、ほとんど終盤に入ってから、という形をとっており、例によってデビュー2作目から女流ミステリ作家となって、事件解決の手助けをする吉本紀子の登場も、ほんのわずかで、安楽椅子探偵の様相を示しているのが面白い。
今回は余りにも盛りだくさんなエピソードにより、収束しきれない感が多少残るものの、エンタテインメントとしてのサービス満点の読み物となっている。

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0555.ソーンダイク博士の事件簿Ⅰ

2005年02月20日 | 短編集
ソーンダイク博士の事件簿Ⅰ
THE CASEBOOK OF DR.THORNDYKE Vol.1
読 了 日 2005/02/20
著  者 オースチン・フリーマン
Richard Austin Freeman
訳  者 大久保康夫
出 版 社 東京創元社
形  態 文庫
ページ数 362
発 行 日 1992/12/18
ISBN 4-488-17501-5

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

イトルだけは前々から知ってはいたが、読むのは全く初めて。本書は創元推理文庫だが、シャーロックホームズのライバル達という企画で、刊行されたシリーズの中の1冊である。
探偵役のソーンダイク博士は、法医学者にして弁護士という特異なキャラクター。相棒のワトスン?役は医師のクリストファー・ジャービス。
東京創元社々長・戸川安宣氏の解説に拠れば、著者のオースチン・フリーマンは推理小説に初めて科学捜査を取り入れ、また初めて倒叙型のミステリーを世に問うた人だという。

こういう本を読むと、遥か昔の探偵小説に夢中だった頃の胸のときめきを思い起こす。
このような純粋な推理だけを頼りに、事件を解明する作品に接すると、シャーロック・ホームズを最初に読んだときの感激に似たものを改めて感じる。本格ミステリーはこうでなくては・・・と思うのだ。

 

 

収録作と原題
# タイトル 原題
1 計画殺人事件 A Case of Premeditstion
2 歌う白骨 The Echo of Mutiny
3 おちぶれた紳士のロマンス A Wastrel’s Romance
4 前科者 The Old Lag
5 青いスパンコール The Blue Sequin
6 モアブ語の暗号 The Moabite Cipher
7 アルミニウムの短剣 The Aluminium Daggar
8 砂丘の秘密 A Mystery of the Sand-Hills

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0554.御宿かわせみ(下)

2005年02月18日 | 時代ミステリー
御宿かわせみ(下)
読了日 2005/2/18
著 者 平岩弓枝
出版社 文藝春秋
形 態 単行本
ページ数 278
発行日 1980/8/30
ISBN 4-16-362600-X

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

上巻のところで書いたが(といってももう3年も前のことになる)、本書はその上巻とともに木更津駅前にあった松田屋書店で1990年頃に購入したものだ。
ドラマ化されたものを見て、原作を読んでみようと思って買ったまま、10年も積んだままにしておいたのは、単にゆっくり読書をするような気持ちに余裕がなかったのである。僕の読書は、目標を立てて読む様になってからでさえ、まことに気ままな読み方をしているから、この様に上巻を読んでから下巻を読むまで3年もおくような始末だ。

~~~・~~~・~~~・~~~・~~~

今回はドラマについて少し。
NHKのドラマは、第1第2シーズンを通して、47作が放送され、(前回46作と書いたが誤り)その後10年ほど前に、再々放送だったか?BS2で放送された時、ビデオに録画して殆どの作品を保存しておいたのだが、VHSテープが場所をとるため、つい廃棄処分してしまったのだ。その後あることがきっかけで、平岩ドラマを見直すことになり、テープを捨てたことを大いに悔やむことになる・・・。
本作は民放でもシリーズや、単発で何度かドラマになっているが、なんと言っても最初(正確にはTBSの日曜劇場枠で制作された「秋の蛍」(若尾文子、仲谷昇主演)が最初のドラマ化)のNHKドラマのキャスティングがあまりにもはまり役で好演だったため、それほど話題にならなかったと記憶している。NHKでも2003年になり全く新しいスタッフとキャストで、再びドラマ化されて、8話が放送された。昔と違い今では番組のホームページも完備され、掲示板では、視聴者の番組に対する意見がリアルタイムで、賛否両論渦を巻いたが、否定的な意見は、先のドラマの印象が残っており、新しいキャスティングに馴染めないという人が大半であった。それほど初回のドラマが良かったということか!
さらに2004年には前年に続き同じスタッフ、キャストで第2章と称して続編が10話放送された。今度は大分新しい視聴者の意見も増えて、番組に対する評価も好意的なものに変わっていたようだ。

~~~・~~~・~~~・~~~・~~~

さて本書を買った頃は、僕もまだ現役でもあり、本は単行本で買うことが多く、この本も単行本なのだが、その帯には、惹句の終わりに〈完結編〉となっている。この作品集(上巻も含め)は、昭和48年から52年にかけて小説サンデー毎日に随時掲載されたものらしいから、本書が刊行された頃には、物語が今日までも長く続けられるとは、考えていなかったのだろう。現在は、およそ何話くらいが書かれているのだろう?平成13年2月号のオール読物に掲載された「辰巳屋おしゅん」というエピソードが222話目だというからそれから年5話としても240話を超えているだろう。
捕物帳というよりは、どちらかといえば人情話といった形式が多いが、江戸時代の末期を描いた大河ドラマのようだ。本書上下卷合わせて33話が収録されておりいずれもドラマのほうを先に見ているので、初めて読むような気がしない。しかし平易な文章で、何気なく描かれた人情の機微には判っていながら泣かされる。ドラマとの相乗効果?だろう。江戸時代を背景に捕物帳と名づけられた物語は数限りなくあるようだが、先駆けとなったのは、何と言っても岡本綺堂氏の「半七捕物帳」だ。二番手は野村胡堂氏による「銭形平次」か。だが、本作はその2作に負けず劣らずの質量と人気を誇っている。
今回本書を読みながら考えたが、NHKで放送されたドラマを思い起こし、ドラマが好評だったのは、勿論原作が優れていたからに他ならないが、同時にこの原作の持ち味を生かした脚本も秀でていたからなのだと思った。その上で、演ずる役者や、それを支えるスタッフが脚本や原作の行間に潜む味までもかもし出すうまさが加わり、見ごたえのあるドラマを形成しているのだろう。ドラマも映画と同様総合芸術だから、どれがかけても見るものを感動させる作品は生まれない。(と思う)
近頃量産されるミステリードラマ(と称する)を見ると、ドラマ作りの原点に立ち返って欲しいと思うものが多すぎるような気がする。ちょっと理屈っぽくなったか?

 

初出誌 小説サンデー毎日
昭和48年2月号より隔月連載
ナンバーは上巻からの連続
# タイトル
18 江戸の初春
19 湯の宿
20 桐の花散る
21 水郷から来た女
22 風鈴が切れた
23 女がひとり
24 夏の夜ばなし
25 女主人殺人事件
26 山茶花は見た
27 女難剣難
28 江戸の怪猫
29 鴉を飼う女
30 鬼女
31 ぼてふり安
32 人は見かけに
33 夕涼み殺人事件




0553.O・ヘンリ短篇集(二)

2005年02月16日 | 短編集
O・ヘンリ短編集(二)
O・Henry Ⅱ
読了日 2005/02/16
著 者 O ・ヘンリー
O.Henry
訳 者 大久保康雄
出版社 新潮社
形 態 文庫
ページ数 239
発行日 1981/04/30
ISBN 4-10-207202-0

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動しま す。

 

の新潮社から出ている文庫、O・ヘンリー短編集Ⅰ~Ⅲの3冊は、発行日を見ると初版が昭和44年となっている。記憶があいまいだが、中学か高校の教科書に何篇か載っており、それに感銘して卒業後即文庫を買って読んだような気がしていた。
が、昭和44年といえば、高校を卒業してからだって11年も経っていることになる。人の記憶なんていい加減なものだ。(僕だけか!)

もしかしたら、その前にも発行されており、今手にしているのは新版か?
どちらでもいいことだが、いずれにしても教科書で読んだときの感動(驚きかも)がかなりの期間残っていたことは確かで、それが今また読み返そうという気にさせているのだ。
これらのショート・ストーリーは古きよき時代のアメリカそのものといった感じで、当時は未だ見ぬ国に憧れを抱いたものだった。そのアメリカを訪れたのは昭和51年10月のことで、羽田を飛び立つときの興奮はいまだに忘れられないものとなっている。
会社の業務での10日間の旅はかなりのハードスケジュールで、あっという間に過ぎ去った。今と違ってようやく外国為替の変動相場制が始まったばかりで、1ドルが270円の頃だから、アメリカの物価の安さに驚いたものだ。
まあ、時代は全く違うものの、今考えればその頃でさえ古きよき時代だったと思えるのだが・・・。

 

収録作と原題
# タイトル 原題
1 賢者の贈り物 The Gift of the Magi 1906
2 アイキイのほれぐすり The Love-Philtre of Ikey Schoenstein
3 手入れのよいランプ The Trimmed Lamp
4 睡魔との戦い At Arms with Morpheus
5 「黒鷲」の失踪 The Passing of Black Eagle
6 人生は芝居だ The Thing's the Play
7 ハーレムの悲劇 A Harlem Tregedy
8 詩人と農夫 The Poet and the Peasant
9 マディソン・スクエア・アラビアン・ナイト A Madison Square Arabian-Night
10 千ドル One Thousand Dollars
11 犠牲打 A Scrifice Hit
12 臆病な幽霊 A Ghost of Chance
13 失われた混合酒 The Lost-Blend
14 二十年後 After Twenty Years
15 運命の道 Roads of Destiny

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0552.わが一高時代の犯罪

2005年02月13日 | 短編集

 

わが一高時代の犯罪
読 了 日 2005/02/13
著  者 高木彬光
出 版 社 角川書店
形  態 文庫
ページ数 304
発 行 日 1986/07/20
ISBN 4-04-133818-2

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

こういう本を手に取ると、遥かな昔を思い出してほんの少し胸をときめかす。貧乏でほしい本を思うように買えなかった時代を。
そして、僕はその頃貧乏を恥じていた自分を、今とても恥ずかしく思い起こす。
「貧乏は恥にあらず・・・」これは刑事コロンボ「逆転の構図」の中で、ビトー・スコッティ扮するところの、哲学者と呼ばれるホームレスの酔っ払いが教会の救済所で、コロンボに向かって言う台詞だ。
が、僕にとってはそうでなかったことを、現在でも思い出すたびに切なくなるほどだ。

そうした時代にやっとの思いで本を手に入れたときの気持ちを、今もたまに思い起こすことがある。
文庫本を手にして初めてページを開いたときに、かすかに匂う印刷インキのにおいを今でも忘れることはできない。比較的安価に楽に手に入れることのできる古書店のチェーン店が幾つもある今は、あの当時と比べて幸せなのだろうか?

 

 

夢中で読んだ著者の作品を手にする時、万感の思いが去来する。
若い頃読んだ本は同じタイトルながら内容も同じ短編集であったかどうかは全く覚えていないが、本書は、表題作のほか、下記に示す如く、4ペンが収録された短編集だ。全頁のおよそ半分を占めている表題作は。短編というより中篇といったほうがいいだろう。
当時の僕は、国内の作品では高木彬光氏の作品を一番多く読んでいる。この作品もタイトルに引かれ読む前からある種の憧れのようなものがあって、夢中で読んだことを覚えている。
今回何十年ぶりかで再読して、昔の感動をいささかながらも蘇らせることができたようだ。

 

 

収録作
# タイトル
1 わが一高時代の犯罪
2 幽霊の顔
3 月世界の女
4 性痴
5 鼠の贄

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0551.華やかな魔獣

2005年02月11日 | サスペンス

0551.華やかな魔獣

華やかな魔獣
読了日 2005/2/11
著 者 平岩弓枝
出版社 集英社
形 態 文庫
ページ数 577
発行日 1994/02/15
ISBN 4-08-750048-9

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

しばらくぶりで平岩ミステリーの世界へと踏み込む。解説を読むと、昭和41~42年に掛けて「プレーボーイ」誌に連載された作品のようだ。僕は、昭和38年に結婚しているから、それから3~4年後のことだ。昭和42年には、長男が生まれている。が、当時は僕もまだ若く、結婚したとはいえ、どうも大人になりきれていなかった感じで、苦い思い出ばかりだ。だからという訳でもないのだろうが、その頃の世の中の情勢などというものが余り僕の記憶にない。
人の脳は実に都合よくできているらしく、いやな出来事や忘れたいと思うことは記憶の底に押し込まれるらしい。
しかし、こうした作品を読み進むうちに懐かしいような思いがこみ上げてくるのは、遠い過去となった当時の苦い思いも、今となっては浄化されてしまったのだろうか?
僕が著者の作品を好んで読むのは、一般にミステリーと呼ばれる作品から受ける印象とは違い、平易な文章と共に物語りに溶け込みやすいからだ。作品の書かれた時代にもよるのだろうが、しかし比較的新しい作品でも、彼女の作品には僕に遠い昔を思い起こさせるような不思議な魅力がある。一つにはアガサ・クリスティ女史の作品と共通するような、上流階級といわれる人々や環境が舞台となっている事も多い。僕の中にそうしたものへの憧れがあるのかも知れない?

~~~・~~~・~~~・~~~・~~~

し この物語は、戦時中、軍需工場だった溝上工場の一人娘・久仁子が代議士百瀬俊三の息子・秀彦に嫁いだことに起因する事件を描いたもので、この政略結婚の裏に隠された陰謀と、犠牲になった男の復習物語である。
著者の作品を読んで今更ながら気づくことは、当節流行のように多くのミステリー作家が手がける旅情ミステリの原型をなしている?ということ。

 


0550.誰も私を愛さない

2005年02月08日 | ハードボイルド
誰もわたしを愛さない
読了日 2005/2/8
著 者 樋口有介
出版社 講談社
形 態 文庫
ページ数 426
発行日 2001/10/15
ISBN 4-06-273286-6

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

刑事のルポライター・柚木草平シリーズの長編第3作だ。例によって手に入ったものから読むので、順不同になる。

 

~~~・~~~・~~~・~~~・~~~

 

一人娘の加奈子との会話が楽しい。寄稿先の編集者・石田からシティーホテルで絞殺された女についての調査とルポを依頼される。殺されたのは女子高生だという。そして柚木の担当が小高直海と言う新入社員に替わった。ちょっと小生意気なと思った新人は、思いのほか優秀で、柚木とのコンビは、仕事をスムーズに進めることが出来るか?

 

~~~・~~~・~~~・~~~・~~~

犯罪の動機という点では兎も角として、中ほどで犯人が推定できてしまう筋運びがちょっといただけないような気がするのと、柚木が気を引かれる相棒に余り魅力を感じないのは、僕の偏見か?それとも年をとったせい?
ちょっと前までには考えられないハードボイルドを続けて読むような読み方をしているが、藤原伊織氏の乱歩賞受賞作「テロリストのパラソル」から始まり、石田衣良氏のIWGPシリーズ、原氏の沢崎シリーズ等々に触発されて、ハードボイルドの魅力に目覚めたのか?
結局、登場人物や、文章に魅力があれば、ジャンルを問わず読む気を起こさせるという単純な問題か!

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


0549.探偵はバーにいる

2005年02月06日 | ハードボイルド

 

探偵はバーにいる
読 了 日 2005/02/06
著  者 東直己
出 版 社 早川書房
形  態 文庫
ページ数 394
発  :行日 1995/08/15
ISBN 4-15-030521/8

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

者の作品を読むのはこれで2冊目だが、本書がデビュー作とのこと。結構前からこの作品について、タイトルだけは知っていたが、ハードボイルドということと、例の食わず嫌いも多少あって敬遠していた。
このところ読書のスピードもそこそこアップしてきているので、この際呼んでおこうかといった感じで読む。
北大出身で、札幌在住の著者は作品のすべてが北海道を舞台としたものらしい。本作も札幌とその周辺、ススキノが舞台となっている。写真で観る著者の風貌と、主人公の「俺」がダブって見える。

バーに出入りする「俺」のところへ大学の後輩が相談事を持ちかける発端から、暴力沙汰や殺人事件に巻き込まれていくストーリーだ。ハードボイルド特有の主人公にストイックなところが見えず、軽い乗りで物語りはすすむ。

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

0548.陽だまりの迷宮

2005年02月04日 | 連作短編集
陽だまりの迷宮
読 了 日 2003/05/11
著  者 青井夏海
出 版 社 角川春樹事務所
形  態 文庫
ページ数 257
発 行 日 2003/04/25
ISBN 4-7584-3100-0

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

年5月にハルキ文庫から書き下ろしで刊行された著者の最新作。気になる作家の作品は気をつけているつもりだが、Easyseekの新着メールを見るまで知らなかった。最もハルキ文庫は書店でもめったに覗いてみるということはしないから、無理はないのだが。
小学3年生の男の子から見た日常のミステリー連作3篇。再婚同士の父母の間に出来た末っ子で、九人の姉と一人の兄のいる十一人兄弟の家庭で、もまれながら育つ生夫(いくお)と、下宿人ヨモギさんを探偵とするミステリー。

 

 

収録作
# タイトル
第一話 黄色い鞄と青いヒトデ
第二話 届かない声
第三話 クリスマスのおくりもの

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村

 


0547.幻の女

2005年02月02日 | サスペンス

訳 者稲葉明雄

幻の女
PHANTOM LADY
読了日 2005/01/31
著 者 ウイリアム・アイリッシュ
WILLIAM IRISH
出版社 早川書房
形 態 文庫
ページ数 452
発行日 1976/04/30
ISBN 4-15-070551-8

 

上の著者名をクリックすると、今まで読んだ著者の作品一覧へ移動します。

 

れを最初に読んだのはいつのことだったろう。高校生の頃か、あるいは卒業して間もなくのことだったろうか?その辺の記憶が全くない。
否、ないわけではなく、どこかにあるのだろうが思い出せないでいる。
途中まで読んだところで、最初に読んだ頃僕がこの小説に描かれている人物たちの人情の機微といったものをどれほど理解していたのだろうかという疑問が湧いた。
本書に限らず若い頃に読んだ本を再読すると、そうしたことはまま考えることで、理解の仕方がその時によって変わることは仕方がないだろう。
まあ、それは兎も角として、この偉大な名作が後世の作者や作品にどれほどの影響を与えたのかを改めて感じる。

 

 

妻殺しの容疑者として捕らえられ、唯一アリバイを証明できるはずのデートの相手の女は、気の動転した主人公の頭からきれいさっぱり記憶が消えている。
尋ね行く行く先々で、女の存在を否定されるという、なんともいえない不条理さや、無力感が伝わってくる描写は、全く今読んでも古さを感じさせないばかりか、先述のごとくこのシチュエーションは、その後数限りなく形を変えて使われている。

名作ミステリーにつきものの映像化は、1944年にアメリカで映画が製作されている。僕はまだ見ていないが、そのうちDVDにでもなったら見ようと思っているが。
我が国でも翻案されて、舞台を日本に変えてテレビドラマ化されているが、僕は1971年にNTVで6回に分けて放送されたドラマを見ており、原作の雰囲気が再現されていたように感じた。
このドラマはその後スカパーで再放送されたので、見ている方も多いだろう。

 

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村