隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

0030.災いを秘めた酒

2000年02月28日 | サスペンス
災いを秘 めた酒
A DRINK OF DEADLY WINE
読了日 2000/02/22
著 者 ケイト・チャールズ
Kate Charls
訳 者 相原真理子
出版社 講談社
形 態 文庫
ページ数 472
発行日 1994/01/21
ISBN 4-488-29001-9

 

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ブリエルのもとにその手紙が届いたのは、聖アン祭の朝のことである。英国国教会の神父として完璧な人生を送る彼に、匿名の差出人は、過去のある事件を材料に聖職を放棄するよう迫っていた。
苦悩のあげくガブリエルは昔の恋人に助けを求めるが、調査の途上、事態は謎めいた変死事件へと発展した。

この本は、二つの理由から、著者も、内容も判らずに買った。
一つは刊行元が東京創元社ということ、二つ目は、訳者が相原真理子氏だったことである。僕は若い頃から東京創元社の推理文庫に親しんできたのでそれほどはずれはないだろうと思ったことと、「検屍官」シリーズの翻訳者相原真理子氏の訳書だからということで、不見転で手に入れた。

 

 

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0029.七人のおば

2000年02月24日 | 本格
七人のおば
THE SEVEN DEADLY SISTERS
読了日 2000/2/24
著 者 パット・マガー
Pat McGerr
訳 者 大村美根子
出版社 東京創元社
形 態 文庫
ページ数 216
発行日 1999/08/06
ISBN 4-488-16404-8

 

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結婚し渡英したサリーの許に、おばが夫を毒殺して自殺したことを知らせる友人からの手紙が届いた。ところが、彼女には七人の叔母がいるのに手紙には肝心の名前が記されてない。サリーと夫のピーターは、おばたちと暮らした七年間を回想しながら、犯人と被害者の見当をつけようと試みる。

~~~・~~~・~~~・~~~・~~~

ミステリーの定番は、事件が起きて(主として殺人)犯人は誰か捜すというものだが、この作者は、「被害者を探せ」とか、「探偵を探せ」といったユニークな視点で作品を描く。この作品は、そんな中でもさらに名作といわれているもので、いわゆる安楽椅子探偵モノだが、作中で描かれる七人のおばたちのキャラクターがなんと言うか、すさまじい。

 

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0028.死体は訴える

2000年02月22日 | 本格
死体は訴える
DEAD BODY LANGUAGE
読了日 2000/02/22
著 者 ペニイ・ワーナー
Penny Warner
訳 者 吉澤康子
出版社 早川書房
形 態 文庫
ページ数 418
発行日 1999/11/30
ISBN 4-15-171751-X

 

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たし(主人公)は耳が不自由。だけど言葉は話せるし、読唇術などを駆使して女性記者として多忙な毎日を送っている。
そんなわたしのもとに前町長の未亡人が訪れ、行方不明の妹を捜す広告を依頼してきた。だがその夜、広告は突然キャンセル、翌朝、彼女は死体で発見された。

 

聴覚障害児の教師でもある著者が、聴覚障害者の女性記者コナー・ウェストルをメインキャラクターとして登場させたミステリーで、'98年のマカヴィティ賞最優秀新人賞を受賞した作品である。
表紙絵からも想像できる通り、明るくコミカルなところもあるストーリーで、同様の探偵キャラクターであるドルーリー・レーン(エラリー・クイーンがバーナビー・ロスという別名で発表したXの悲劇を初めとする4部作の探偵役で聾者、元・シェークスピア劇の俳優)とは違った魅力でアピールする。

 

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0027.捜査官ケイト

2000年02月19日 | 警察小説
捜査官ケイト
A GRAVE TALENT
読了日 2000/02/16
著 者 ロ-リー・R・キング
Laury R.King
訳 者 森沢麻里
出版社 集英社
形 態 文庫
ページ数 512
発行日 1998/11/10
ISBN 4-08-760258-3

 

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と頃「3F」ということが言われて話題になった。女性(Female)作家が、自立した女性(Female)を主人公とした作品を書き、女性(Female)読者に支持されるという現象を言ったものだが、わが国では、それに加えそうした作品の翻訳も女性(Female)が携わり「4F」といわれた。
アメリカの作家スー・グラフトンが女私立探偵キンジー・ミルホーンを登場させた"アリバイのA"、同時期に「サマーターム・ブルース」で私立探偵V・I・ウォーショスキーを誕生させたサラ・ パレツキーなどがそのブームの走りだと言われている。昨年読書目標を掲げて読み始める前に両書ともに読んだが、こうした作品が女性の人気を得るということに認識を新たにした。余談だが、「サマーターム・ブルース」はその後キャスリーン・ターナーの主演で映画化もされた。「白いドレスの女」で鮮烈なデビューを果たしたキャスリーン・ターナーのキャラクターはこちらの女性版ハードボイルドの方にマッチしていると感じた。

 

本作も女性作家ローリー・キングが女性刑事ケイトを主人公にして女児連続誘拐・殺害事件に挑むストーリーだ。相棒のベテラン刑事を向こうに廻し、聞き込み捜査で浮かび上がった容疑者も、なんと女性だった。アメリカの風土そのものを象徴するような全体としてからっとしたストーリー運びで、面白い。

 

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0026.偽のデュー警部

2000年02月16日 | 本格
偽のデュー警部
THE FALSE INSPECTER DEU
読了日 2000/02/16
著 者 ピーター・ラヴゼイ
Peter Lovesey
訳 者 中村保男
出版社 早川書房
形 態 文庫
ページ数 442
発行日 1999/01/15
ISBN 4-15-074701-6

 

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屋の店員の恋の相手は歯科医だった。歯科医の妻は女優で、彼女は喜劇王チャップリンを頼ってアメリカに渡ると言い出した。二人の恋を実らせるためには、この妻を豪華客船上から海へ突き落とすことだ。偽名を使い、完全犯罪を胸に乗船した二人だったが・・・・。
コミカルな途中経過に騙されるが、古今のミステリーベストにランクされているのは伊達じゃない。

 

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0025.グリッツ

2000年02月13日 | ハードボイルド
グリッ ツ
GLITZ
読了日 2000/02/13
著 者 エルモア・レナード
Elmore Leonard
訳 者 高見浩
出版社 文藝春秋
形 態 文庫
ページ数 478
発行日 1994/06/10
ISBN 4-16-309120-3

 

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エルト・リコで休暇中なのに、だれもモーラ警部を休ませてくれない。ケチ な復讐魔につけ回され、女友達が不審な墜落死をしたとの報も放ってはおけない。早速事故の あった安ピカ(グリッツ)の街アトランティック・シティに飛ぶと・・・。

 

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0024.緋色の記憶

2000年02月10日 | サスペンス
緋色の記憶
THE CHATHAM SCHOOL AFFAIR
読了日 2000/02/10
著 者 トーマス・H・クック
Thomas H.Cook
訳 者 鴻巣友季子
出版社 文藝春秋
形 態 文庫
ページ数 398
発行日 1999/02/20
ISBN 4-16-721840-2

 

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年12月に読んだ「死の記憶」まだ未読の「夏草の記憶」と合わせて記憶3部作と呼ぶのだそうだ。だが、原題は記憶とは関係なく、本書も"THE CHATHAM SCHOOL AFFAIR"(チャタム・スクール事件)となっている。
だが老弁護士が、幼い子供のころ体験した事件を回想し、真相に迫るというストーリーは、和訳のタイトルにふさわしい。冒頭でバス停に降り立つ美しい女性の緋色のブラウスが目に浮かぶようだ。

 

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0023.タッチ

2000年02月08日 | メディカル
触手(タッチ)
THE TOUCH
読了日 2000/02/08
著 者 F・ポール・ウイルスン
F.Paul Wilson
訳 者 猪俣美江子
出版社 早川書房
形 態 文庫
ページ数 310,269
発行日 1996/10/15
ISBN 4-15-040483-6
4-15-040484-0

 

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店の店頭で文庫の帯の「医学ミステリーの傑作」という惹句に惹かれて購入。SFめいたストーリー展開と、不思議な感覚に引き込まれる。
この著者も現役の医師だという。

 

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0022.クライアントの遺言

2000年02月06日 | サスペンス
クライアントの遺言
FINAL OPTION
読了日 2000/02/06
著 者 ジニー・ハーツマーク
Gini Hartzmark
訳 者 高野裕美子
出版社 文藝春秋
形 態 文庫
ページ数 344
発行日 1997/01/10
ISBN 4-16-752731-6

 

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業買収専門の女流弁護士・ケイト・ミルホランドを主人公とするハードボイルド。読み終わって解説を読んだら、どうやらこの前にシリーズの第1作があるようだ。

日曜だというのに打ち合わせに出かけた女弁護士ケイトを待っていたのは、他ならぬクライアントの死体だった。先物取引の大物トレーダーである彼には黒い噂がつきまとい、殺される理由には事欠かない。だが、彼女は第一発見者ということのほかに、第一容疑者ともなってしまう。汚名を晴らすべくケイトの戦いが始まる。
魅力的なキャラクターで他の作品も読んでみたいと思わせる。

 

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0021.女を脅かした男

2000年02月01日 | 短編集
女を脅した男(英米短編ミステリー名人選集)
THE MAN WHO FRIGHTENED WOMAN,etc.
読了日 2000/2/1
著者 ルース・レンデル
Ruth Rendell
訳者 酒匂真理子・深町眞理子他
出版社 光文社
形態 文庫
ページ数 344
発行日 1998/10/20
ISBN 4-334-76104-6

 

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の作者の名を知ったのは本ではなく、TVドラマだった。WOWOWが本放送の前にある期間、試験放送として無料で放送していたことがあり、たまたまその時期にBSチューナー内蔵の大型テレビを買った僕は、番組の中に「ルース・レンデル・ミステリー」というタイトルで、ウェクスフォード警部シリーズが放送されることを知り録画した。そこで初めてルース・レンデルというのがミステリ作家であることを知る。

~~~・~~~・~~~・~~~・~~~

ドラマは本場英国のミステリらしく、よくできたドラマだったので、いつか原作も読もうと思っていた。この本は、会社の近くの行きつけの書店で、見つけて買ったもの。わが国で独自に編纂された作品集で、日常生活の中のちょっとした行き違いなどを題材とした、心理描写のよく効いたちょっと恐い短編集の中に、「ウェクスフォードの休日」他4篇のウェクスフォード警部シリーズが含まれているが、残念ながらドラマの原作はなかった。(後にミステリチャンネルで「ウェクスフォードの休日」が脚色されたドラマが放送された。邦題は同じ「ウェクスフォードの休日」だったが、原題は”Acilles Heel(アキレスの腱)”と改題されていた。

 

収録作品
# タイトル/原題 紙誌名・発行時
1 女ともだち
The New Girl Friend
EQMM '83年8月
2 女を脅した男
The Man Who Frightened Woman
EQMM '82年1月
3 父の日
Father's Day
EQMM '84年8月
4 時計は苛む
The Convolvulus Clock
EQMM'85年8月
5 雑草
Weeds
EQMM '89年3月
6 愛の神
The Man Who was the God of Love
EQMM '95年3月
7 カーテンが降りて
The Fallen Curtain
EQMM '74年8月
8 ウェクスフォードの休日
Inspector Wexford on Holiday
EQMM '78年7月
9 藁をもつかむ
Clutching at Straws
EQMM '79年10月
10 もとめられぬ女
An Unwanted Woman
EQMM '90年12月
11 追いつめられて
The Mouse in the Corner
EQMM '93年5月
註・EQMMはEllery Queen's Mystery Magazine
(エラリィ・クイーンズ・ミステリ・マガジン)

 

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