そして、警官は奔る | ||
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読了日 | 2008/06/02 | |
著 者 | 日明恩 | |
出 版 社 | 講談社 | |
形 態 | 単行本 | |
ページ数 | 522 | |
発  :行日 | 2004/02/29 | |
ISBN | 4-06-212255-3 |
年(2007年)9月に読んだ「それでも、警官は微笑う」(834.参照)の続編だ。
物語は独立しているから、続編というよりシリーズといった方がいいだろう。前作の笑いあり、涙ありの警察小説が面白かったから、またいつかこの著者の本を読んで見ようと思っていたところ、たまたま、ネットで単行本が安く手に入った。
その後、主人公の武本正純は池袋署から、新宿にある国際組織犯罪特別捜査隊を経て、本作では警視庁蒲田署刑事課の強行犯係に異動していた。蒲田署での相方は「冷血」と綽名される和田刑事だ。他にも、定年間近の温情派・小菅刑事や、徳田兄弟刑事等々、個性的な刑事が登場して、またもやにぎやかな展開となる。
発端は西蒲田の住宅街に住む主婦・谷久恵が持ち込んだテープレコーダーの雑音混じりの音声を署内に響かせたことだ。
運悪くつかまった武本が聞いてみると、主婦の申し立てどおり雑音の中にかすかに女の子の声が聞こえた。久恵の言うには、歯科医をしている三鷹健太郎の一人暮らしのはずの、隣の三鷹家の中から女の子の声が聞こえてくるというのだ。そうして、和田と武本が三鷹家を張り込むことになるのだが・・・。
前作で迷コンビ振りを示していた潮崎警部補は、故あって警察を辞していたが、今回も一市民として再び武本の前に姿を現す。
さて、今回は、アジアからの不法滞在の女性たちと、彼女たちと日本人男性との間に出来た子どもが話しの本筋となり、それに児童虐待や、児童ポルノなどが絡み合い、一大長編をなしている。
ここでも、無認可保育所もどきが出てきたり、世捨て人のような医師が登場したりと、波乱含みのストーリー展開を示す中、潮崎の言動と、武本の誠実さが、前回同様カタルシスを味合わせてくれる。
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