隅の老人のミステリー読書雑感

ミステリーの読後感や、関連のドラマ・映画など。

1909.静おばあちゃんと要介護探偵

2019年05月28日 | サスペンス

  

静おばあちゃんと要介護探偵
読了日 2019/05/23
著 者 中山七里
出版社 文藝春秋
形 態 単行本
ページ数 302
発行日 2018/11/30
ISBN 978-4-16-390931-8

 

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々の書類の日付欄に印刷された令和元年の文字を見て、時代が改まった感じが強くなる。
昭和から平成に変わった時には、いささか戸惑いのようなものを感じたが、今回の天皇陛下の生前退位のもとに行われた新元号の制定ということで、左程違和感がなく新元号を受け入れることが出来たのか?
僕のような昭和生まれの単細胞の人間には、死ぬまで元号は変わらぬものと思っていた。だが、昭和、平成、令和と変わってくると、もしかしたら、令和の時代もそれほど長くないのでは?などという思いもわいてくる。少し不謹慎だったかな?
と言うような事はさておき、5月としては過去に例のないほどの厚さの毎日が続く中、僕は日に日にすべてにやる気をなくしているのだ。
歳をとるごとに体力も気力も減退して、とにかく何をするにしてもスタミナ不足で、一つ事を長く時間を掛けるということが、出来なくなっている。

 

 

僕の気まぐれな読書は万事こうした具合で、気の向くままにだ。借りてきた3冊は一気に読んでしまおうと、勇んで読み始めたのだが、なかなか思いと現実は一致せず、少し読んでは一休みということが続き、結局1冊読み終わるに2日以上掛かってしまった。
歳は取りたくないと思うが、いや80歳まではまだもう少しあるぞ!と思いながらページをめくり、物語を楽しむ。中山氏は自分で言うほどではなく、作品を愛しているのではないかと思わせるほど、シリーズ作品を多く書き続けており、本書もその一つだ。

 

 

が最初に読んだ中山氏の作品が『要介護探偵の事件簿』で、その主人公香月玄太郎と言って、下半身不随で車椅子生活を送る身だが、大きな声と人を人とも思わない話し方は、相手を圧倒してやまない。
そしてもう一人の主人公である高遠寺静は退官した元判事で、こちらも『静おばあちゃんにおまかせ』で、死後の活躍を見せているのだ。 そんな前の作品でおなじみだから、本書も面白くないはずがない。

読むことは読んでもブログへの投稿は、また別物で何を書けばいいのかと、そうした点が定まらず日一日と延びてゆく始末で、僕のスタミナ不足はあらゆる所で綻びを見せている。

 


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1906.運命のチェスボード

2019年05月20日 | 本格
運命のチェスボード
Wolf to the Slaughter
読了日 2013/01/15
著 者 ルース・レンデル
Ruth Rendell
訳 者 高田恵子
出版社 東京創元社
形 態 文庫
ページ数 317
発行日 1937/04/17
ISBN 4-488-24301-0

 

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国の本格ミステリーを担い、アガサ・クリスティの後継者の一人として、本格推理のほか数多くのサスペンスを書いているルース・レンデル女史。僕はこの名前を見たり聞いたりすると、1985年の事を思い出す。
当時はまだ高かった大型テレビを、取引先の家電担当氏の計らいで安く手に入れることが出来て、BS放送の契約もした。
暑い夏のさなかカミさんの具合が思わしくなく、近くの病院に入院していた時の事だった。夜テレビを見て いると、日航機の墜落事故のニュースが入ってきた。乗客の中に歌手の坂本九氏の名前もあって、大変な事故だという認識が頭を駆け巡った。話が横道にそれた。
そのテレビを買ったおかげで、当時まだ試験放送だったWOWOWの放送で、ルース・レンデル・ミステリーという番組があった。

 

 

その頃はあまりミステリーも読んでなかったから、というより慣れない営業職が、少し重荷だったころだ。
そして、その英国ミステリーの面白さに嵌った。本作のドラマは、シリーズのパイロット版ともいえる作品で、後に連続ドラマとして製作されたものとは、オープニングのテーマ曲や、導入部分などのフォーマットが異なっている。だが、ジョージベイカー氏、クリストファー・レイブンスクロフト氏といったメインキャラクターのいかにもといった警察の人物像が、重厚なドラマという印象だった。
僕はドラマを録画してDVDに残し、後に何度となく見返したからだろう、今も記憶にあるのは。

 

本書の冒頭から数ページを読んでいると、記憶力のいささかあいまいな僕にも、ドラマの場面がよみがえって、改めてドラマが綿密な作りだったことを認識せざるを得ない。
しかし今になって本場英国のミステリーと、その映像化の素晴らしさは、「シャーロック・ホームズの冒険」を始め、「名探偵ポワロ」、「ミス・マープル」等々、数え上げればきりがないが、手間と時間をかけて作られたことが分かる。
世界各国で歓迎されて、いずれも高い視聴率を誇っていたのがその証しだ。

 

 

名な画家の妹で、アンという女が行方不明となって、殺された。犯人はジェフ・スミスだ―そんな匿名の手紙がキングスマーカム署に届いた。ウェクスフォード警部は調査を開始したが、屍体さえ発見されない状況に困惑せざるを得ない。本当に殺人はあったのか?混迷する捜査陣の前に、やがて事件は意外な真相を明らかにする!
本書に記されたキャッチコピーだが、僕はドラマの印象とともに、このシリーズにははるか昔にテレビの前で、心惹かれたストーリーや各キャラクターを演じた俳優諸氏の、いかにもそれらしい役柄を見ながら満足していた自分を思い起こすのだ。
気まぐれな僕の読書は、このシリーズを前作読み通そうと、BOOKOFFの100円の文庫棚で見かける都度買い集めたものが、まだ数冊積ン読となって棚を埋めている。いつになったら読み終わるのか、全くわからないが、まあいずれは手にすることが出来るだろう。(と思っているが。。。。)
うっかりして、ブログへの投稿が済んでいるものと思っていたが、忘れていたことに今頃(2020年7月29日)まで気づかなかった。

 

 

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1907.編笠十兵衛

2019年05月19日 | 時代ミステリー
編笠十兵衛
読了日 2019/05/19
著 者 池波正太郎
出版社 新潮社
形 態 文庫
ページ数 (上)441
(下)427
発行日 1988/04/25
ISBN (上) 4-10-115646-0
(下) 4-10-115647-6

 

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ラマデータベースによれば、高橋英樹氏の主演は16-18回となっているが、僕の記憶の中にはもっと多くの回数に出ている。いずれにせよ1974年から1975年の事だから、僕の記憶もあまりあてにはならない。
とにかくその頃僕は連続ドラマ『編笠十兵衛』に、毎週引き付けられるように見ていた。今は亡き親友だったK氏とともに、よくそのドラマについて話し合っていたこともあって、いつかは原作を読みたいと思っていた。若くして亡くなってしまったK氏とは、一時期は会社発展に努力した起業の仲間でもあった。
死んだ子の歳を数えても仕方のないことだが、彼がもし今も生きていたら、僕たちの関係はどうなっていただろう?

この面白かったドラマは残念ながら、DVDやBDにもなっていない。今回ようやく原作を読んで、ドラマを思い起こそうとしたのだが、頭に浮かぶのは高橋英樹氏の颯爽と歩く姿が、翌週の予告へとなるところだけで、内容はさっぱり浮かんでくることがないのだ。

 

 

赤穂浪士の討ち入りを陰で支えるといった、実際の事件の推移を軸に、隠密行動をする編笠十兵衛の物語は、結論は分かっていながらも、スリリングなストーリー展開に、心を揺さぶられる。
昔から赤穂浪士の討ち入りについてのドラマや映画、そのほかにも講談など、数えきれないほど見たり聞いたりしているが、その時代にこのような陰の力が働いて、仇討が成功したのかとも思わせる、人物設定やストーリー設定が素晴らしく、もう一つの討ち入り外伝ともいえる物語はエンタテインメントの極致だ。
原作を読んで、もう一度ドラマを見たいと思っているが、何年か前に「時代劇専門チャンネル」という、スカパーの局で、放送していたことがあるものの、今では古い番組はどこでも放送していない。
ドラマ制作が東映となっているので、東映チャンネルを探したがダメだった。諦めざるを得ないのか?

 

 

ログの更新がまたまた大分遅れた。一度なまけ癖がつくと、かつての僕が恐れていた、見るともなしにテレビを見続けるという、悪癖に襲われて本を手にすることもなく、眠くなれば寝るという、繰り返しが続いている。
ヘルニアの影響で左足の痛みが、気になって読書もままならない毎日だ。
ようやく読みたいと思っていた本書を手に入れて、3-4日かけてやっとのことで読み通した。歳をとることがこんなにも不都合を喚起するということなど、思ってもいなかったから、いやなまじ健康に自信を持っていた から、余計に何も手につかないのかもしれない。
こんな毎日があとどのくらい続くのだろう?

 

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