天久鷹央の推理カルテⅤ 神秘のセラピスト |
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読 了 日 | 2017/04/30 | |
著 者 | 知念実希人 | |
出 版 社 | 新潮社 | |
形 態 | 文庫 | |
ページ数 | 310 | |
発 行 日 | 2017/03/01 | |
ISBN | 978-4-10-180090-5 |
曜日の一昨日28日には、その前にネットで予約を入れてあった近くの歯医者さん、さくら歯科に行ってきた。右上の奥場と、左下の奥歯がしみることが1週間以上続いていた。4年ほど前に他の歯だったが、同様の症状があったとき、治療してもらい具合がよくなったので、同じ歯医者さんを予約したのだ。
シュミテクトという歯磨き剤を使っているのだが、一向に改善する気配はない。仕方なく歯科を予約することになった次第。しばらくぶりの歯医者さんは、以前と変わらず清潔な待合室だが、待っている患者はいなかった。診察カードを出すと、受付の若い女性から、「あら、4年ぶりですね!」と驚かれる。
4年ぶりでも5年ぶりでも歯医者にはあまりかかりたくない、と言いたかったが黙っていた。まもなく呼ばれて診察室に入り、ドクターは一通り口中を見てから、「写真を撮ります」と言ってX線撮影室に呼ばれた。身体に放射線を通さないよう思い防弾チョッキのようなものを肩から被されて、機具の前に立つ。
頭部を固定されて顔の周りをぐるりと撮影具が一蹴して、30秒ほどで終わる。
撮影したフィルムをシャウカステンにかけて、ドクターは「虫歯はないようですね、歯肉が大分後退して、歯根が出ていますので、そこから神経を刺激するので染みて痛いのですね」という。 その後、助手かあるいは歯科技工士のような女性に、歯の磨き方を指導されてから、痛む歯の根元に薬品を塗られる。何度か鋭い痛みが生じるが、まあこれは痛みや染みるのを防ぐための手立てなので、我慢するしかない。
10分ほどで終わったが、何度か繰り返し薬品の塗布が必要とのこと。次回は5月8日の午後になった。できるだけ医者通いをセーブしようと思った矢先に、眼科、歯科と2件続いたのは皮肉なものだ。
そして、昨日29日土曜日に、懸案だった天羽支部会報がようやく印刷・製本を終えて出来上がった。
天羽支部会報というのは、社会福祉法人薄光会が運営するケアホームCOCO(ケアホーム6棟を管理する事業所)、障害児・者の通所利用者の生活介護をする太陽(ひ)のしずく、この二つの施設利用者の保護者・家族の会を天羽支部会と言い、年4回開催される支部会の出席者に配布している小冊子のことである。
今回で第8号となる会報だが、このところ制作担当の僕からみても、大分マンネリ化して、というのもいまだにこれといった制作協力者に恵まれず、ほぼ“制作ひとり”(どこかで聞いたような名前だが)の状態が続いているのだ。
出来るだけ長く続けたいと思ってはいるが、僕とて大分年寄化?して認知症予備軍の一人だから、早急に協力者を見つけないことには。薄光会と保護者の間の橋渡しのような役割を、というようなコンセプトも多少持ちながら始めたものだから、できれば薄光会の内情に通じた人物がいいのだが、そうなると職員・それも古い職員しかいないから困るのだ。
元々こうした会報のようなものを作ろうと思ったきっかけが、事業所からのプリント(会議用の)が無いなら自分で作ってしまえ、というのが発端なのだ。なかなか思うに任せないことばかりだ。
約資料がご用意できました。」というメールが、木更津市立図書館から届いたのが、今月15日土曜日だった。都合がつかず取りに行ったのは翌々日の月曜日だった。前に借りていた、服部真澄氏の「天の方舟」を前日の夜読み終わったばかりだったから、ちょうど良いタイミングだ。
なんとなく知念実希人氏の作品を全部読もうと思って、途切れ途切れだが読み続けている。まだ図書館が貸出中で、読めないものもあるが、近々他の作品も読めるだろうと思っている。 この「天久鷹央の推理カルテ」シリーズのⅣを読んだのが、1722冊目の3月17日だったから、およそ1カ月半振りになるか。連作短編はどれも面白く、天久鷹央という天才女医の医学知識の博学ぶりと、傍若無人ともいえる物言いや態度のギャップが、ストーリーの面白さを支えており、次々と読みたくなる。
本書も発行前から、Amazonのデータを拾って、木更津市立図書館にリクエストカードを出しておいた。
他にも数冊の予約というかリクエストを出してある。そのうちの1冊「窓辺の老人」は、まだ読んだことのない作者・マージェリー・アリンガム氏の作品で、連作短編集のようだ。木更津市立図書館をはじめ、周辺の図書館を探したが、何処にも置いてなかった。まあ、図書館と言えどすべての本を置いているわけではないから、当然の事とはいえるのだが、以前一度だけ行った国立国会図書館のように、すべての出版社から発行本のすべてが送られてくる本を、どのように在庫しているのかと、考えただけでも気が遠くなるようだ。
小さな木更津市立図書館のようなところは、年に一度古い書籍や雑誌を無料で、あるいは処分価格で販売して、整理している。よくは知らないが、国会図書館でもそうした処分、整理をするのだろうか?余計な心配をしても始まらないか。
今回の天久鷹央の診断3件は、いずれも読みごたえのある内容だが、圧巻は最後の「聖者の刻印」だ。 一番のボリュームを誇るストーリーは、さすがの天才女医もお手上げか?と思わせるような前半から終盤に至るまでの内容。一見奇跡かと思わせるプロセスが、どうやってその謎が解明されるのかという、不安と期待がないまぜになって、迫る。 しかし、女医であるから当然のことなのだが、不可思議な現象に見合う病名を当てはめるという、その脳に詰まった知識はまるでコンピュータのようだ。人間の脳は一度見たり聞いたりしたことは、すべて記憶にとどめているというが―脳科学者などが言うこのことについて、あまり僕は納得していないが―その記憶を引き出す力がないことには、まさに宝の持ち腐れでしかない。 だが、たまにそうしたことのできるある意味天才ともいうべき人間が、テレビなどで特殊な能力を発揮するのを見ると、強ち学者の言うことも否定できないと感じる。 だから、このシリーズももしかしたら、天久鷹央医師のような人物も、この世に存在するのかもしれない、などと思って一層面白く読めるのだ。 度々僕はNHKテレビで放送された―今でも続いているのか?―ドクターG(総合診断医を意味する)に出演する医師たちの診断が、少し意味合いは違うが各医療現場でその腕前を発揮しているのが、近い現象か。 しかし、現実の医師の物言いは実に優しく穏やかなことが多く、その説明を聞いているだけで、病の半分は治ってしまいそうだ。 近頃―でもないか、天久鷹央のようなきつい物言いの主人公が、流行のようにあちこちに見られるが、作者たちが集まって、相談したかのようだ。まさかそんなことはあるまいが、そう思わせるような現象に喜んでいいのか、悲しむべきか。 いやいや主人公の性格や言動がどうあろうと、ストーリーが面白ければ文句を言う筋合いはない。 しかし、そうは言うものの主人公のキャラクターも、できれば惚れこむほどの魅力があってほしいものだ。
# | タイトル | 誌名・発行月 |
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プロローグ | 書下ろし | |
Karte01 | 雑踏の腐敗 | 書き下ろし |
Karte02 | 永遠(とわ)に美しく | 小説新潮 2016年6月号 |
Karte03 | 聖者の刻印 | 書き下ろし |
エピローグ | 書き下ろし |
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